「父親不在などといわれていました。男性が仕事に没頭していた陰で、家庭では母親と子供は一心同体のような密接な関係に」(信田さん)
そんな強固な母子関係の中で、母親の気持ちは同性の娘に向かった、と精神科医の香山リカさん。
「自立を目ざしながらも、社会に翻弄されて夢を果たせなかった母親世代。大学に行きたかった、バリバリ働いて社会で輝いていたかったという願望を、同性の娘に託すようになった部分があります」(香山さん)
そうした母たちのおかげで、私たちはもしかしたら母も夢見ていた、進学や就職を後押ししてもらえたのだ。それをわかっているからこそ、母のこれまでの苦労をねぎらい、今度は母に幸せになってほしいと願うのかもしれない。