品と色気と優雅さと。50代憧れの韓国女優の代表格!キム・ヒエ【見ればキレイになる⁉韓流ドラマナビvol.34】
エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。今回は、ドラマ「クイーンメーカー」が話題の、ますます脂がのっているアラフィー女優キム・ヒエにクローズアップ!
ソウル市長選を舞台に繰り広げられる壮絶なる攻防戦『クイーンメーカー』
56歳のエクラ世代女優は、凄まじいほどの表現力で、心を揺さぶる!
エレガントな大人服をこれだけ上品かつスタイリッシュに纏える人は、ほかにいないかもしれません。あの「夫婦の世界」(韓国ドラマ)の高視聴率女優キム・ヒエ。今年で56歳を迎えたお年頃ながら、モデル出身という均整のとれたプロポーションに、知性と色気を備えたビジュアルはまさにエイジレス。もちろん、その演技力に高い評価を得ているのは言うまでもなく。
でも、でもなんです。私個人としましては、好きか嫌いかと問われれば、どちらかというと好きではないというか、嫌いに振れるというか。え〜、マジか⁉
人の好みは千差万別で、それぞれに知ってか知らずか、自分なりの基準があるのではないかと思いますが、私の場合はどうやらそれが“湿度”らしい。もちろん、ある程度の湿り気は重要で、からっからに渇ききっているのもどうよ(私です)とも思いますが、私なりの基準を超える湿り気を感じると、急に嫌いに針が振れてしまうようなのです。
例えば、ソン・イェジン。そう、コメディもシリアスもキュートな、韓国でも日本でもみんなから愛されている大人気女優です。なのに、ドラマを観ていると、彼女からじわ〜っと絡みついてくるような湿気を感じて(個人の感想です)、私としてはそれが気になって仕方ないというか。本人は無意識なのかもしれないけれど、その湿気が程よいしどけなさと弱さを醸し出し、思わず手を差し伸べなければならないような気分にさせられるのが、ちょっと癪に障るというか(笑)。
「それ、完全に嫉妬ですよ」。とは、私をよく知る友人の弁。え、え、え〜?嫉妬〜!!!そうか、そうなのか、畏れ多いがなるほど。だからなのかぁ。彼女の出演するドラマは何よりも真っ先に見るし、うわー、うわーと言いつつも全集中でのめり込んでしまうのは! 妙に納得です。
で、私にとってその湿度が100%を振り切って土砂降り状態に感じてしまうのが、このお方、キム・ヒエなのです。となると、嫉妬指数もかなり高いということなのでしょう。
彼女の代表作である「密会」も「夫婦の世界」も、嫌い嫌いあのヒロインと言いながら、結局最初から最後まで目が離せなかったのはもちろん、私まで全身濡れ鼠でズブズブとその湿度沼に埋まりまくったのは正真正銘間違いなく。欲と悲しみと愛と執着と。表面は品よく、すんとすましているのに、そんな人間の業にも似た感情が雨霰のように降り注ぐ心の内。その凄まじいほどの表現力に、無条件に揺さぶられまくってしまうわけです。
彼女の代表作である「密会」も「夫婦の世界」も、嫌い嫌いあのヒロインと言いながら、結局最初から最後まで目が離せなかったのはもちろん、私まで全身濡れ鼠でズブズブとその湿度沼に埋まりまくったのは正真正銘間違いなく。欲と悲しみと愛と執着と。表面は品よく、すんとすましているのに、そんな人間の業にも似た感情が雨霰のように降り注ぐ心の内。その凄まじいほどの表現力に、無条件に揺さぶられまくってしまうわけです。
財閥家の汚い裏側を知る主人公が、清廉な弁護士を支える構図にシビれる!
そんなキム・ヒエの土砂降り湿度の演技が、これまで以上に冴えまくり&ハマりまくっているのが、そう、この作品「クイーンメーカー」。
その舞台となるのは、ソウル市長選。富も権力も自在に操る巨大グループ・ウンソン財閥を相手に、後ろ盾のない2人の女性が市長の座をかけて敢然と立ち向かう壮絶なる攻防戦が描かれるのですが、キム・ヒエが演じるのは、もちろん、そのひとり、タイトルロールとなるクイーンメーカー、ファン・ドヒ。
もともとは数あるコネなし平社員の中からウンソングループ戦略企画室のエースとして這い上がってきた生え抜きなのですが、エリート然としているものの、やっていることといえば、パワハラ、セクハラ、横領などなど、ウンソン財閥家の数々の醜聞事件をもみ消す汚れ仕事。
ハイブランドファッション(アラフィーがお手本にしたいコーデが次から次。それだけでも必見です)に身を包み、汚いこととは無縁ですとでもいうような華奢&おすましビジュアルとは裏腹に、自ら汚物を拾い上げては、どんな手を使ってでも、なかったことに消し去ってしまう凄腕。それゆえ、ウンソングループ会長(女優ソ・イスク)の厚い信頼を勝ち得るものの、裏では“ウンソンの水洗トイレ”とまで陰口を叩かれているのですが、あふれんばかりの成り上がりエネルギーを感じさせながら、見た目がとことん上品だなんて、やっぱりキム・ヒエさまの右に出るものなし。
その舞台となるのは、ソウル市長選。富も権力も自在に操る巨大グループ・ウンソン財閥を相手に、後ろ盾のない2人の女性が市長の座をかけて敢然と立ち向かう壮絶なる攻防戦が描かれるのですが、キム・ヒエが演じるのは、もちろん、そのひとり、タイトルロールとなるクイーンメーカー、ファン・ドヒ。
もともとは数あるコネなし平社員の中からウンソングループ戦略企画室のエースとして這い上がってきた生え抜きなのですが、エリート然としているものの、やっていることといえば、パワハラ、セクハラ、横領などなど、ウンソン財閥家の数々の醜聞事件をもみ消す汚れ仕事。
ハイブランドファッション(アラフィーがお手本にしたいコーデが次から次。それだけでも必見です)に身を包み、汚いこととは無縁ですとでもいうような華奢&おすましビジュアルとは裏腹に、自ら汚物を拾い上げては、どんな手を使ってでも、なかったことに消し去ってしまう凄腕。それゆえ、ウンソングループ会長(女優ソ・イスク)の厚い信頼を勝ち得るものの、裏では“ウンソンの水洗トイレ”とまで陰口を叩かれているのですが、あふれんばかりの成り上がりエネルギーを感じさせながら、見た目がとことん上品だなんて、やっぱりキム・ヒエさまの右に出るものなし。
ところがです。そのドヒの直属の部下がある日突然、転落死。ウンソン財閥の娘婿ジェミン(リュ・スヨン)のレイプが発端なのですが、人の死を目の当たりにしたドヒはこれまで行ってきた自分の罪の重さに押し潰されるように突然改心、その一件のもみ消しを命令されるものの敢然と拒絶してしまうんですね。
となると、財閥家なんて実に冷たいものです。もともと、社員を単なる捨て駒としてしか考えていないから、あれだけ手を汚させて自分達の窮地を救わせてきたエースの首だって、何の逡巡もなく、あっさりと切り捨ててしまうわけです。まあ、そこまではいいとして、土砂降りヒエ・ドヒを本気にさせたのは、あろうことか、そのスレギ(クズ)ジェミンがウンソン財閥を後ろ盾にソウル市長に立候補するというニュース。しかも、市民の味方、女性の味方と銘打って。胸の内の雨霰は、荒れ狂う嵐と化し(見た目はあくまでスマート然としているところも凄い)、ドヒはジェミンを当選させてなるものかと立ち上がるわけですね、人権派女性弁護士オ・ギョンスク(女優ムン・ソリ)を対立候補として出馬させて。
となると、財閥家なんて実に冷たいものです。もともと、社員を単なる捨て駒としてしか考えていないから、あれだけ手を汚させて自分達の窮地を救わせてきたエースの首だって、何の逡巡もなく、あっさりと切り捨ててしまうわけです。まあ、そこまではいいとして、土砂降りヒエ・ドヒを本気にさせたのは、あろうことか、そのスレギ(クズ)ジェミンがウンソン財閥を後ろ盾にソウル市長に立候補するというニュース。しかも、市民の味方、女性の味方と銘打って。胸の内の雨霰は、荒れ狂う嵐と化し(見た目はあくまでスマート然としているところも凄い)、ドヒはジェミンを当選させてなるものかと立ち上がるわけですね、人権派女性弁護士オ・ギョンスク(女優ムン・ソリ)を対立候補として出馬させて。
で、面白いのはこのオ・ギョンスク。いつも弱いものの側に立って、なりふり構わず全力で突っ走る正義の人なので、そう、ドヒとは正反対。見た目も全く構わない、着た切り雀状態だし、そして、その心の内は、もちろん一点の曇りなし。晴れ渡る空のように清廉オ・ギョンスクを、とことん汚い裏側を知り尽くすドヒが支えるという、くすぐられずにはいられない構図なのです。
オ・ギョンスクを演じる女優ムン・ソリは、「青い海の伝説」などドラマの脇役としてもピリリといい味効かせる役者さんとしてちょいちょい登場していますが、どちらかというと映画畑の人。かのヴェネツィア国際映画祭では、かつて新人賞を獲るなど、数々の映画賞を受賞する実力派なのですが、このキャラの立ち方の違う2人が相乗効果で、互いの湿度の違いをさらに際立たせているのがかなり痛快。
立ちはだかる財閥パワーをそんな2人がどう攻略していくのか。情報操作当たり前、権力も財力もほしいままのウンソングループの悪辣なる戦略の数々。当然何度も何度も窮地に立たされる2人。でも、安心してください。こちらにはウンソングループを知り尽くし、汚い手段も知り尽くすドヒがついています。その熾烈極める政治ショーのハラハラ・ドキドキのスリリングを存分に楽しめるのはいうまでもなく。
立ちはだかる財閥パワーをそんな2人がどう攻略していくのか。情報操作当たり前、権力も財力もほしいままのウンソングループの悪辣なる戦略の数々。当然何度も何度も窮地に立たされる2人。でも、安心してください。こちらにはウンソングループを知り尽くし、汚い手段も知り尽くすドヒがついています。その熾烈極める政治ショーのハラハラ・ドキドキのスリリングを存分に楽しめるのはいうまでもなく。
脇を固めるキャラクターも徹底していて、それを演じる俳優陣も見事。俳優リュ・スヨン演じる一見、イイ男風のジェミンのゲスっぷりといい、その妻でありウンソンの訳あり次女を演じたキム・セビョクの、ナッツ姫彷彿の「本人連れてきた?」と思わせるリアルといい、ウンソングループ会長を演じた女優ソ・イスクの威厳&迫力といい、そしてそして、出番は多くないけれどウンソン側に翻弄される女性労働者を演じた女優キム・ソニョンの泣かせの上手さといい、全てに震えます。
それにしても、選挙。政治理念や真実よりも、相手候補をいかに蹴落とすかが重要なんだな、と薄々は気づいていたけれど、ドラマではありますが、こうも戦略的イメージ操作や情報操作にいとも簡単に操られてしまう庶民という名の有権者の姿を垣間見せられてしまうと、マジで恐ろしすぎるというか。次回のリアル選挙では、そんな戦略に簡単に操られないように身を引き締めて臨まなければと、深く深く心に刻み込んだ今日この頃でございました。
それにしても、選挙。政治理念や真実よりも、相手候補をいかに蹴落とすかが重要なんだな、と薄々は気づいていたけれど、ドラマではありますが、こうも戦略的イメージ操作や情報操作にいとも簡単に操られてしまう庶民という名の有権者の姿を垣間見せられてしまうと、マジで恐ろしすぎるというか。次回のリアル選挙では、そんな戦略に簡単に操られないように身を引き締めて臨まなければと、深く深く心に刻み込んだ今日この頃でございました。
■Netflixシリーズ「クイーンメーカー」独占配信中
こちらも見逃せない!キム・ヒエの魅力を堪能できる傑作選!
「夫婦の世界」
言わずと知れた大ヒットドラマです。なんと韓国での最終回視聴率は驚異の28%超え。もはや社会現象です。とにかく、次から次へと画面に出てくるキャラクターが全てクズ&ゲス。不倫がテーマのドラマではありますが、これほど画面に向かって“おいおいおいおい”とか“てめえ最低だ(お下品ですみませぬ)”とか何度も何度もツッコミを入れながら観た作品はほかにありません。
キム・ヒエ演じるのは、もちろん不倫されてしまうヒロインの女医師ソヌ。勤め先の病院では次期院長候補と称され、家庭では映像監督兼経営者でもあるイケメン&優しい夫テオ(パク・ヘジュン)と可愛い息子。「私って成功者ね」と幸福そうに悦に入るヒエ・ソヌ。
ところが、そんな表層的な幸せは一瞬にして崩れ去ってしまいます。夫テオがあろうことか地元大物実業界の若い娘ダギョン(ハン・ソヒ)と不倫していたことが発覚。しかも、同僚の医師や隣人の友人たちもその事実を知りながら、みんなで自分を騙していたという……。マジか!
キム・ヒエ演じるのは、もちろん不倫されてしまうヒロインの女医師ソヌ。勤め先の病院では次期院長候補と称され、家庭では映像監督兼経営者でもあるイケメン&優しい夫テオ(パク・ヘジュン)と可愛い息子。「私って成功者ね」と幸福そうに悦に入るヒエ・ソヌ。
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そこから、恐ろしいほどに愛憎渦巻く“夫婦の世界”が繰り広げられるわけですが、マフラーについた1本の長い髪を見つけたことから始まる疑念が確信へと変わっていく展開は、そんじょそこらのサスペンスよりもスリリング。幼い頃に夫の浮気で絶望した母が夫を巻き込んで無理心中したという過去をもつソヌ。努力に努力を重ねて今の地位まで這い上がってきた経緯もあり、それゆえ完璧な家庭、完璧な人生に執着する心情は理解できますが、めちゃくちゃクズ&ゲス野郎の夫に、なぜあれほどまでに後ろ髪引かれちゃうのか、結婚経験のない私にはあまりにも奥が深過ぎて完全に理解不能。
ああ、夫婦って、男と女って……。迷路にはまったまま出てこられない自分を持て余すしか手立てなく。
ああ、夫婦って、男と女って……。迷路にはまったまま出てこられない自分を持て余すしか手立てなく。
■U-NEXTにて配信中
「密会」
20歳の天才ピアニストと40歳の人妻の愛を描く大人のラブストーリー。こちらも不倫ものではありますが、我が子と言えるほど歳の離れたピュアな若者を夢中にさせてしまうリアルは、さすが、100%超えのむせかえるような湿度です。
キム・ヒエが演じるのは、もちろんそのヒロインの人妻オ・へウォン。ソハン音大に併設されているソハン芸術財団の企画室長で、本来はピアニストを目指していたのですが、学生時代に腱鞘炎を患い、その道を断念。でも、野心は厚く、利害が一致するソハン音大教授の男性ジュニョンと愛のない結婚をして今の地位に上り詰めたという女性。
そういえば「クイーン〜」でキム・ヒエが演じたドヒが所属していたのも企画室。韓国ドラマに出てくる企画室と名のつく部署は、何やら危ない仕事をしている率高く、その例に漏れず、へウォンもまたソハン財団の暗部を秘密裏に処理している気配ムンムンなのですが……。で、そのへウォンですが、音楽的才能を見出す力は誰もが認めるところで、夫が見つけた青年ソンジェ(ユ・アイン)の才能を一瞬で見抜き、その演奏に魅せられ彼のピアノ指導をすることになるのですが、そこから次第に……という展開。
キム・ヒエが演じるのは、もちろんそのヒロインの人妻オ・へウォン。ソハン音大に併設されているソハン芸術財団の企画室長で、本来はピアニストを目指していたのですが、学生時代に腱鞘炎を患い、その道を断念。でも、野心は厚く、利害が一致するソハン音大教授の男性ジュニョンと愛のない結婚をして今の地位に上り詰めたという女性。
そういえば「クイーン〜」でキム・ヒエが演じたドヒが所属していたのも企画室。韓国ドラマに出てくる企画室と名のつく部署は、何やら危ない仕事をしている率高く、その例に漏れず、へウォンもまたソハン財団の暗部を秘密裏に処理している気配ムンムンなのですが……。で、そのへウォンですが、音楽的才能を見出す力は誰もが認めるところで、夫が見つけた青年ソンジェ(ユ・アイン)の才能を一瞬で見抜き、その演奏に魅せられ彼のピアノ指導をすることになるのですが、そこから次第に……という展開。
何と言っても息を呑むように見入ってしまうのが、2人が初めて出会って、連弾するシーン。呼吸と心を合わせて、感性を溶け合わせていくその過程がめちゃくちゃエロチックで、大人の秘め事を壁の穴から覗き込んでいるような、いけないものを見てしまっているような罪悪感さえ感じてしまうほど。
キム・ヒエのガラス細工のように壊れやすい危うい美しさとねっとりと絡みつく湿度。ユ・アインの若さと情熱と優しさと野生。2014年の作品は、少々古臭さもありますが、壮大で繊細なクラシックの調べにのせて繰り広げられる究極のラブストーリーを、キム・ヒエのエレガントファッションとともにじっくりご堪能くださいませ。
キム・ヒエのガラス細工のように壊れやすい危うい美しさとねっとりと絡みつく湿度。ユ・アインの若さと情熱と優しさと野生。2014年の作品は、少々古臭さもありますが、壮大で繊細なクラシックの調べにのせて繰り広げられる究極のラブストーリーを、キム・ヒエのエレガントファッションとともにじっくりご堪能くださいませ。
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山崎敦子
旅行記事に人物インタビュー、ドラマ紹介、実用記事から、着物ライターとさまざまな分野を渡り歩き、今では美容の記事を書くことも多くなったさすらいのライター。襲いかかるエイジングと闘いながら、ウキウキすること、楽しいことを追い求め続ける日々を送る。
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