岸田 家中で応援して達成感を味わえましたから、やはり家族を巻き込んで良かったと思いました。それに、息子にもよい経験になったんです。息子はそのころ高校を中退して、自信を失っていました。A君にかかわったことで彼もまた、危機を脱したのだと思います。
富岡 そして去年の春、この「猫の足あとハウス」を建てられたんですね?
岸田 それまでは中3の少人数しかかかわれなかったけれど、今は小学生も。養護施設を卒所しなければならない子や、奨学金の返済で苦労している若者にも対応できるようになりました。
富岡 エクラの読者の中にも、子どもの貧困が気になっている人はいます。私たちに何ができるでしょうか?
岸田 こうして何か始めますとね、そう言って力を貸してくださる人は多いです。ここで食事支援もしているので、野菜やお米、お菓子を寄附してくださったり。小学生の相手をして、逆に癒されたと言って帰るかたもいます。そういう善意を、もっと表に出していいと思いますよ。それぞれの地域で〝お節介なおばさん〟になって下さい。困っている人に声をかけたり、できることから始めてくだされば。
富岡 まず一歩踏み出すこと、ですね。
岸田 私は団地育ちですが、当時はご近所みんな貧乏でした(笑)。でもそれが恥ずかしいわけではなく、助けあえばいいとみんな思っていた。今の貧困は貧しさだけでなく、孤立が問題なんです。地域のつながりを意識してつくっていくことが大事。ここも、子供たちにとってのいい居場所にしたいですね。
富岡 だからお節介なおばさん、なんですね。はい、私も目ざします!(笑)