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【映画「ディア・ファミリー」主演・大泉洋さんインタビュー】あきらめない、弱音を吐かない。家族のために全力でがんばる、父親の姿を演じきった
顔が、まるで万華鏡みたい。笑ったりとぼけたり、そんなイメージが強いけど、ふとしたときに哀しみやせつなさが現れる。時にはイケメンに見えたりもするから、目が離せない。
そんな大泉洋さんが主演するのが、映画『ディア・ファミリー』。実話をもとにした感動の一作だ。
生まれつき心臓に疾患を抱えていた娘が、余命10年と宣告される。父と母はそこであきらめるのではなく、娘のために人工心臓を作ろうと思いたつ。医療の知識も経験も、いっさいない。けれどいちから勉強し、私財を投げうって、経営する町工場で試作品を作り続ける。
「今回、モデルとなったかたにお目にかかったんです。80歳を超えてらっしゃるけれどパワフルで雄弁で。やっぱり昭和のあの時代、戦争ですべてを失っても、また立ち上がってきたあの世代にしかない、独特の強さがありますよね。困難を前にしても絶対あきらめない。弱音を吐かない。そのお姿を胸にしまって、演じました」
試行錯誤の連続、既得権益との摩擦、新技術をすぐには受け入れない、医療界の壁も立ちはだかる。演じるのがつらいシーンが続いた。
「私にも娘がいますから、とてもつらい役でしたね……。お涙頂戴の映画は苦手だっていう人もいますけど、でもね、この映画、それだけじゃないんです。あきらめずに、家族と一緒にできるまでやり続けることのすばらしさっていうかな。実際、この発明で多くの人の命が救われたわけですから」
〈家族〉は、大泉さん自身にとっても、とても大事なもの。
「こう見えて私、実は人付き合いが悪いほうです。誰かと飲みにいくよりも、家にいるほうがいい。外に行けば行ったで盛り上がるんですけど、それよりやっぱり家族と過ごすのが好きなんでしょうね」
さらには娘さんとの、こんなエピソードも。
「バレンタインデーの夜、家に戻って、外でいただいたチョコレートを見せたら、明らかに娘が『あ!』っていう顔をしまして。忘れていたんでしょうね、パパにチョコレートを。で、いきなりバタバタしはじめて、台所で板チョコを急に溶かしはじめたもんですから(笑)。私もつい、手伝ってしまいました」
顔中、ニマニマ。愛妻家であり、愛娘家だ。そして今、50代。
「ちょっとね、焦りはじめてます。40代と同じ働き方は、もう体力的に無理。この先、私はどれだけの仕事ができるだろう?って。このまま行くと、あっという間に60歳になってしまいますからね」
困った顔をしているけれど、よーく見ると、この先もやってやるぜ、の自信もちらり。さて、次に見せるのはどんな顔?
『ディア・ファミリー』
’70年代、心臓に疾患を抱えた娘が余命10年と宣告され、町工場を経営する父親は娘のために人工心臓を作ろうとする。医療には門外漢ながら、必死に開発に挑むのだが……。実話をもとに映画化。出演は大泉洋、菅野美穂、福本莉子ほか。6月14日、全国東宝系にて公開。
大泉 洋
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