“眼差しオーラ”に胸キュン!除隊後のチャン・ギヨンから目が離せない【見ればキレイになる⁉韓流ドラマナビvol.43】

エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。今回は、除隊後第一作「ヒーローではないけれど」が話題となり、早くもその存在感を示した俳優チャン・ギヨンに注目!

チャン・ギヨン除隊後初作品にして代表作に⁉ 「ヒーローではないけれど」

「ヒーローではないけれど」のチャン・ギョン
「ヒーローではないけれど」の主演チャン・ギヨン。Netflixシリーズ「ヒーローではないけれど」独占配信中

韓国では“眼光職人”とも。そのセクシービームに誰もが虜に!

 好き嫌いにタイプはつきものですが、でも、真っ直ぐにこの眼差しで見つめられたら、タイプがどうあろうと間違いなく誰もが金縛りにあったかのごとく動けなくなるような気がしてならないのですが……。そう、この方、チャン・ギヨン。
 韓国では“眼光職人”とも呼ばれる人。やや腫れぼったい切れ長の一重まぶたからのぞく眼は、確かにナイフのように冷たそうだし、おまけに鼻筋も唇も細め&薄めのクールなお顔立ち。ただそこに立っているだけで、否応なしにゾクっとするようなセクシービームを浴びせられているような気になるというか。「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」では、ヒロイン役のIUをストーカーのごとくつけ狙うDVなクズ野郎を演じていましたが、そんな悪党な彼にビビりながらも妙に心惹かれていた……なんていうのも私だけではないと思うのですが、どうでしょう。ラストの展開で、やっぱり実は結構いいヤツだったんじゃんとわかり、なぜだかホッと胸をなで下ろしたりなんぞして。
 身長187cmのモデル出身。というとビジュアル先行型に思えるけれど、大学は100倍という競争率を勝ち抜いて龍仁大学校ミュージカル演劇学科に入学しており、意外にも勤勉家。俳優デビューしてからもその演技力には定評があったし、歌やラップも実はプロはだし。一見、おすましさんに見えるけど、バラエティでは愛嬌たっぷりにその実力を披露したりする場面も多々。初主演の「ここに来て抱きしめて」とか、年下男子役で一躍ブレイクした「恋愛ワードを入力してください 〜Search WWW〜」とかは、まさに正統派イケメン役でそのビジュアルの吸引力も半端じゃないなあと感じたけれど、映画「甘酸っぱい」では、そのイケメンビジュアルを逆手にとった展開で、めちゃいい味出していたというか。
「ヒーローではないけれど」のチャン・ギョンとチョン・ウヒ
「ヒーローではないけれど」の主演の二人。チャン・ギヨン(左)とチョン・ウヒ(右)。Netflixシリーズ「ヒーローではないけれど」独占配信中
 つまり、何が言いたいかというと、単なるイケメンで終わらない、きっと何かがあるぞ的いろんな顔をその眼の奥に隠し持っているというか。一瞬にして白い歯をのぞかせてにっこり微笑まれたりなんぞした日には、あんなに近寄り難そうだった眼差しオーラが一転、今度は優しげ&包容力ありそうな爽やかビームの雨嵐……。これはもはや確信の禁じ手戦法。抗うこと不可能なわけなのです。

昨年の大ヒット作「ムービング」とはまた違う、“超能力もの”の新たな傑作。

 そんなギヨンのきっと代表作になるんじゃないかなと思われるのが、彼の除隊後初のこの作品「ヒーローではないけれど」。実は、2024年上半期作品の中でも私的にはトップ1に挙げたいほど、ムジョコン(無条件)にドンズバタイプな作品なのです。とにかくいい。じわじわといい。
 チャン・ギヨンが演じるのは、代々超能力を持って生まれる一家の長男ポク・ギジュ。そう、いわゆる超能力家族のお話なのですが、というと昨年の「ムービング」という傑作にすっかり心奪われた私としては、二匹目のドジョウ狙いか? いやいや「ムービング」はなかなか超えられないぞ、なんて最初はかなり冷ややか目線で見始めたわけです。確かに、なんだかふわふわとつかみどころのない2話ぐらいまでは、「やっぱりね」とほくそ笑む余裕すらあったのですが、そこから真綿でぐいぐい締めつけられるかのごとく、じわじわズブズブ沼っていったといいましょうか。
「ヒーローではないけれど」のチョン・ウヒ
ヒロインのト・ダヘ役のチョン・ウヒ。Netflixシリーズ「ヒーローではないけれど」独占配信中
 というのも超能力。その視点というか、あしらい方が「ムービング」のそれとは全くの別物でかなり独特という。そうか、こんな手もあったのかぁぁ……みたいな。チャン・ギヨン扮するギジュが持っているのは「幸せだった過去に戻れる」というタイムトラベル能力なのですが、それだけ聞くと、え、なんじゃそれ? 幸せだった過去に戻って何か得することあるの? なんて思っちゃいません? ちなみにこのポク家の母(コ・ドゥシム)は予知夢の力があり、その夢の恩恵から株や宝くじで大金持ちになっているし、姉(スヒョン)が持っているのはどこにでも飛んでいける飛行能力だし、どちらもそれなりに得があるというか。なのに、幸せだった過去に戻って何する?って話なわけですよ。
 そんなギジュの一番幸せだった過去は娘が生まれた日。かつて消防士をしていた彼は、同僚に勤務を変わってもらって娘の誕生を見守るために病院に駆けつけるわけです。ところが、その日、女子高校で大きな火災が発生。交代した同僚はその火災現場で殉職してしまうのです。そう、つまりギジュの一番幸せだった過去は、一番悔やまれる過去となるわけで……。彼は、その日以来、娘が生まれたその過去に何度も何度もタイムトラベルして、火災現場に駆けつけるのだけれど、過去の世界ではギジュは誰も触れることもできないし、ギジュがそこにいることを誰も感じ取れないし、つまり戻ってもなす術がないというか、誰一人救うことができない……ということ。それでも救おうと彼が何度も過去に戻っている間に、なんと妻は交通事故死してしまうんですね。そのショックと絶望からうつ病を患い毎日アルコール漬けのギジュは、過去に幸せを感じることができず今ではその能力すら使えなくなっているのですが、彼だけでなく、予知夢能力の母は不眠症、飛行能力の姉はストレス性の肥満症という皮肉にも似た現代病でそれぞれ能力不能に陥っているのです。
「ヒーローではないけれど」のチョン・ウヒ
ヒロインのト・ダヘ役のチョン・ウヒ。Netflixシリーズ「ヒーローではないけれど」独占配信中
 そんななか、現れるのが今回のヒロインのト・ダヘ(チョン・ウヒ。主な作品に「恋愛体質」)。ギジュが海で溺れかけたところを、偶然(本当は偶然ではないのだが……)助けたのがト・ダヘなのだけど、彼女が関わることで、なぜか家族の能力が戻り始めていく……というのが今回の物語の発端。しかも、ト・ダヘは、過去に戻ったギジュが唯一触れることができ、過去に戻ったギジュを唯一認識できる人物だったんですよね、なぜか。もちろん、この“なぜか”が今回のドラマの鍵を握っているわけなのですが、ギジュの母はこれ幸いにとばかりにギジュとト・ダヘをくっつけようとするも、実は、ト・ダヘはト・ダヘで訳ありで、そのバックにはコワモテの養母(キム・グムスン)と妹(リュ・アベル)、叔父(ロイ)という曰く付きの一家が、虎視眈々と何かを狙っているわけで。
 はたして、ポク一家の現代病は癒えるのか? 彼らは能力を取り戻すことができるのか? そして、なぜ、ト・ダヘなのか? 

派手なアクションもサスペンスも一切なし。ラスト2~3話はただただ感涙の連続!

 ドラマはそれぞれの家族の思惑と想いを交錯させながら、ギジュとト・ダヘの過去と未来が交錯するちょっぴり奇妙なロマンスが展開されていきます。そして、次第に見えてくるわけです。一家の持つ超能力と、それを失ってしまった理由にはそれぞれ必然があり、意味があり、さらに、ポク家&ト・ダヘ一家のそれぞれの存在にもカラクリがあるということが。ドラマの至るところに伏線として仕込まれていたそれら全てのピースがギューッと一つにまとまってラストの深い感慨へと誘ってくれるその展開は見事としかいいようがありません。過去と今と未来と、不幸と幸せと、嘘と真実と、人と人の繋がりと、そして、生まれてきた意義と。もう、ラスト2〜3話は感涙の連続。派手派手しいアクションもサスペンスも一切なしの感動作。
「ヒーローではないけれど」のチャン・ギヨンとチョン・ウヒ
Netflixシリーズ「ヒーローではないけれど」独占配信中
 もう一度繰り返しますが、とにかくいい、じわじわといい。チャン・ギヨンは作品選びも上手いなあと、つくづく。彼と演技派チョン・ウヒの抑制効かせながら、確実にきゅ〜んとさせてくる大人ロマンスもたまりません。ちなみにチャン・ギヨンの娘役でちょっと大きくなった名子役のパク・ソイ(役名はポク・イナ)が登場するのですが、そのエピソードも泣けるんですよね。つーか、全ての登場人物にじわんと泣けちゃう、そんな作品です。
■Netflixシリーズ「ヒーローではないけれど」独占配信中

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「ここに来て抱きしめて」

 その刃物のように切れ味鋭い眼光の下に隠されたチャン・ギヨンの、無限に変わる瞳の表情に吸い込まれたいならこの作品。想像絶する不幸と恐怖から必死で生き延びようと苦闘する狂おしいほど胸熱なスリラーサスペンスメロドラマです。チャン・ギヨンが演じるのは、世間を騒がせたサイコパスな殺人鬼ユン・ヒジェ(ホ・ジュノ)を父に持つユン・ナム(少年時代を演じるのはナム・ダルム)。
「ここに来て抱きしめて」のチャン・ギヨンと
主演のチャン・ギヨン(右)とチン・ギジュ(左)。©2018MBC
 彼は父とは正反対の聡明で善良な心を持っているのですが、そんなナムをヒジェは溺愛していて、自分の(殺人鬼)DNAを継ぐのはナムだと常から思っているわけです。中学時代、ナムはクラスに転入してきた女優の娘ナグォン(少女時代を演じるのはリュ・ハンビ)と恋に落ちるのですが、それを知ったサイコパス父のヒジェは、大事な息子をたぶらかしたと激怒。なんとナグォンの両親を殺害し、ナグォンも手にかけようとするのですが、すんでのところでナムが警察に通報。ナグォンは助かり、ヒジェは収監されたという経緯が。そんな二人がそれぞれに成人し、ナムはチェ・ドジンと名前を変えて警察官に、ナグォンはハン・ジェイ(チン・ギジュ)という名で女優となって再会を果たします。一方、ナグォン殺害に執念を燃やすヒジェは脱獄を企てて……ということで、怒涛のスリラーサスペンスメロが繰り広げられるわけです。
「ここに来て抱きしめて」のチャン・ギヨン
©2018MBC
 殺人鬼父に対抗する冷徹にして鋭く熱い眼光と、ナグォンを一途に愛する優しく切ないまなざしと。そして、自分の中にある父のDNAの脅威に怯える暗闇に沈んだ瞳と。その温度も色合いもさまざまに変化していく彼の眼の吸引力たるや。それにしても、あまりにも過酷すぎる運命を背負わされたナムとナグォン。痛々しいほどの純愛を貫く二人に果たして平穏な幸せは訪れるのか。胸をぎゅーっと握りつぶされながら、ぜひとも最後まで見届けてくださいませ。
■FOD他にて配信中

「恋愛ワードを入力して下さい 〜Search WWW〜」

 タイトルを見るとドンズバのラブロマンスという感じですが、原題は「検索ワードを入力してください:WWW」。生き馬の目を抜く韓国のポータルサイト企業を舞台に、そのトップの座を勝ち取るために熾烈な闘いを繰り広げる3人のエンパワメントなアラフォー女子の物語です。そう、実はお仕事ドラマ。過酷な現実、降りかかるトラブルに難題。そんな現状に何度となく叩きのめされながらも、挫けそうになりながらも、信念を奮い立たせて突き進んでいく彼女たちの姿は、超絶かっこいいし、働く女子ならずとも共感を呼ぶことしきりなのです。で、ロマンスはというと、そんな激烈なお仕事ドラマの中で、ふっと心安らぐ癒しを与えてくれる、どちらかというとサブストーリー的存在なのでありますが、その甘さとスパイスの効かせ方が絶品でサブとは思えないほどの充実感。つーか、こっちが主体と思って観る人も実は多いかもしれません。
「恋愛ワードを入力して下さい〜Search WWW〜」のチャン・ギヨンとイム・スジョン
チャン・ギヨン(左)とイム・スジョン(右)。© STUDIO DRAGON CORPORATION
 で、チャン・ギヨンですが、業界トップのポータルサイト企業を突然解雇され、ライバル会社に転職を余儀なくされたヒロインのタミ(イム・スジョン)に絡む年下の恋の相手パク・モゴンとして登場します。なんと二人の年の差は10歳! しかも出会いはゲーセンで、意気投合した二人がお酒を飲んで泥酔し一夜を共にするという、私的憧れてやまない酒の失敗から始まる恋というヤツなのです。当然、タミは「この年にして、やっちゃった」と思うわけなのですが、偶然仕事の現場で再会したモゴンは、本気でタミに惹かれていて、若さゆえ真っ直ぐに積極的にアプローチしてくるわけなのです。もう、羨ましいとしかいいようのない展開。
「恋愛ワードを入力して下さい〜Search WWW〜」のチャン・ギヨン
© STUDIO DRAGON CORPORATION
 しかも、付き合ってからは仕事で疲れ果てたタミを優しく癒し、一人暮らしのタミの家の切れた電球なんかもサッと取り替えてくれちゃったりするわけです。生まれ育った家庭事情もあって幸せな家庭を持つことが夢のモゴン。当然、仕事に情熱を注ぎ込みたいタミとは意見が合わず……。そこらへんの切ないモゴン・ギヨンにはぜひとも母性本能をくすぐられてくださいまし。実は、この作品、今ではトップ俳優となったイ・ジェウク(「還魂」「予期せぬ相続者」など)と、「ソンジェ背負って走れ」ですっかり時の人となったビョン・ウソクもタミ以外のそれぞれの恋の相手として出演しており、いい味と爪痕をしっかり残しておりますので、そちらもぜひ〜。
■U-NEXTにて配信中
山崎敦子

山崎敦子

旅行記事に人物インタビュー、ドラマ紹介、実用記事から、着物ライターとさまざまな分野を渡り歩き、今では美容の記事を書くことも多くなったさすらいのライター。襲いかかるエイジングと闘いながら、ウキウキすること、楽しいことを追い求め続ける日々を送る。今年に入って、インスタ(@harurikuumi)も始動。ドラマシーンのイラスト&勝手な解説を挙げてます。
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