松たか子さんインタビュー「あのころあんなに愛していた! そんな気持ちを確認するのは素敵なことだなって」

甘くて苦くてしょっぱくて、クスクス笑えるけどやっぱりせつない。そんな映画が完成した。脚本は坂元裕二、監督は塚原あゆ子、そして主演がこの人ときたら、これはもう、必見だ。
松たか子
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ヒロインは松たか子さん演じる40代の舞台デザイナー、カンナ。離婚寸前だった夫(松村北斗)が突然事故死して、呆然としている。ある日偶然、15年前にタイムトラベル。出会ったころの夫を発見した彼女は、15年後の悲劇を回避しようと、行動を開始する。

「カンナは落ち着かない人なんです、自分を抑え込むことをしないで、まっしぐらに行動しちゃう。でもその根っこにあるのは、彼を好きという気持ちだろうな、と」

SFファンタジーであると同時に、これは純正ラブストーリー。素敵な恋で始まった結婚が、いつのまにか色あせていくのが現実だとしても、そうしないためのヒントが、じわじわと伝わってくる。「かつてはこの人を愛していたんだって自分の心を確認する、出会ったころの気持ちに立ち返るのは、素敵なことだと思います。それに、この映画では時空を行き来して未来を変えようとしていますけど、そんなことまでしなくても、生き直せる!(笑)。自分にとって何が一番大切か、気のもちようひとつで、人生は変わるのかもしれない。ささやかな気づきひとつで変えられることって、あると思うんです」

自身も結婚して今、15年目。40代をフルに楽しんでいるという。「若いころから必死にやってきましたし、これからもやっていくと思うんですけど。でも最近になって、ひとりでぶらぶら街を歩いてみたり、友だちと会って中身のない話をする時間がこんなに楽しいんだ!って、ようやく気づいたんです。そういう余裕をもつと、家事に追われる日々の時間も、なんか、楽しめるようになる。オンオフのさじかげん、大事ですね」

体力も若干、落ちてはきたけど。

「20代のころは焼き肉を食べれば大丈夫、だったんですけど(笑)。疲れたら鰻とか馬肉とかいろいろ変遷がありまして、最近は滋養になりそうな参鶏湯風(サムゲタン)の鶏スープを作ってみたり。あと、ジムでちゃんとトレーニングすると、マッサージに行く回数が減るなって実感しています。自分で体を動かすことで、なるほどねって」

さらに最近、長年挑戦したかったテニスのレッスンも始めた。

「自分のペースでやる趣味も楽しいけど、誰かに指導されてハアハアいいながらついていく、そんな時間をあえてもつと、めっちゃ楽しいですね。自分に足りないことを知って、それを補うためにがんばるって、おもしろいです!」

ハアハアいいながら、彼女は今も、進化の途中だ。

松たか子

松たか子

まつ たかこ●’77年、東京都生まれ。16歳で歌舞伎座公演『人情噺文七元結』で初舞台。’94年大河ドラマ『花の乱』でドラマ初出演。映画、ドラマ、舞台で俳優として活躍する一方、『アナと雪の女王』に声優として主演、劇中歌を歌い上げた。近年の出演作に映画『土を喰らう十二ヵ月』、舞台『NODA・MAP 兎、波を走る』、ドラマ『スロウトレイン』など。

『ファーストキス 1ST KISS』

『ファーストキス 1ST KISS』

結婚して15年目、事故で夫(松村北斗)を亡くした妻・カンナ(松たか子)は偶然、タイムトラベルする手段を発見。彼女と出会う以前の夫に近づき、未来の彼を救うため、思いきった行動に…。脚本は坂元裕二、監督は塚原あゆ子。 ’25年2月7日、全国公開。

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