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【ヒルマ・アフ・クリントの世界へ】抽象画の歴史を塗り替える女性画家の“生涯と作品”
1980年代に再発見され、21世紀に入って話題となった抽象画のパイオニア、ヒルマ・アフ・クリントをご存じだろうか。本来ならば美術史に名を連ねてもおかしくない業績を残したアフ・クリント。なぜ表舞台に作品は登場しなかったのか、その謎に迫る。
【ヒルマ・アフ・クリントの世界へ】東京国立近代美術館で大回顧展開催!作品を味わうための3つのポイント
1.繰り返し描かれるモチーフ
この世に生きている自分は宇宙の中の原子で、発展する可能性が無限であることを、その可能性を探究したい
全26点で構成される本作は、初めて描かれた抽象的作品。アフ・クリントは、黄は男性、青は女性の象徴と考えていたが、本作は2つの色が混ざり合って生まれる緑が印象深い
《原初の混沌,WU/薔薇シリーズ,グループI,No.16》
1906〜1907年 油彩・キャンバス 53×37㎝ ヒルマ・アフ・クリント財団
By courtesy of the Hilma af Klint Foundation
《原初の混沌, WU/薔薇シリーズ, グループI, No.5》
1906〜1907年 油彩・キャンバス 53×37㎝ ヒルマ・アフ・クリント財団
By courtesy of the Hilma af Klint Foundation
暖かく包み込むようなパステルカラーの軽やかさに、花を思わせる生命感あふれる作品
《エロス・シリーズ,WU/薔薇シリーズ,グループII,No.5》
1907年 油彩・キャンバス 58×79㎝ ヒルマ・アフ・クリント財団
By courtesy of the Hilma af Klint Foundation
2.多用されたパステルカラー
世界の進化には多くのジレンマが伴う。光そのものが明と暗に分かれるのだ。2つの力で成立する盲目の世界
色の美しさに加え、ここでも多用される渦巻き模様やらせんが、勢いよく成長、発展していくさまを感じさせる
《10の最大物,グループⅣ,No.3,青年期》
1907年 テンペラ・紙(キャンバスに貼付) 321×240㎝ ヒルマ・アフ・クリント財団
By courtesy of the Hilma af Klint Foundation
3.対極の構図
《白鳥,SUWシリーズ,グループⅨ:パート1,No.1》
1914〜1915年 油彩・キャンバス 150×150㎝ ヒルマ・アフ・クリント財団
By courtesy of the Hilma af Klint Foundation
光と闇、生と死をイメージさせる。これらはシリーズが進むにつれて幾何学的な形態に置き換えられ、再び具象性に回帰していく。中心から放つ円は、相対するものを融合して高次元へと向かうことを示唆しているよう
《白鳥,SUWシリーズ,グループⅨ:パート1,No.13》
1915年 油彩・キャンバス 148.5×151㎝ ヒルマ・アフ・クリント財団
By courtesy of the Hilma af Klint Foundation
Information
『ヒルマ・アフ・クリント展』
東京国立近代美術館
’25年3月4日〜6月15日
今最も注目すべき近代画家のひとり、ヒルマ・アフ・クリントのアジア初の大回顧展。3m超の大作《10の最大物》全10点をはじめ、代表的な作品群を中心に、彼女の画業を経年で紹介する。展示されるおよそ140点の作品のすべてが初来日。
●’25年3月4日〜6月15日
10:00〜17:00(金・土曜〜20:00、いずれも入館は閉館の30分前まで)
定休日 月曜(3月31日、5月5日は開館)、5月7日
観覧料/前売り一般2,100円、当日一般2,300円
東京都千代田区北の丸公園3の1
☎050・5541・8600(ハローダイヤル)
DVD『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』
’22年に公開され、話題になった作品。キュレーター、美術史家、科学史家らが、遺族の証言とアフ・クリントが残した作品と言葉から、彼女が「目に見えるものを超えて見つめていた世界」を解き明かすドキュメンタリー映画。展覧会前に見るのもおすすめ。
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