「博多で公演していたとき、桐材から手獅子のアウトラインを切りだした写真を江場さんが送ってきてくれたんですが、僕にはもう獅子にしか見えなくて。『もうそこに獅子がいる!』という感じで、ぼろぼろ泣けてきました。ちょうどお腹の中の赤ちゃんをエコーで見たときのお父さん、お母さんのような気持ちですかね(笑)」。
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最注目の歌舞伎俳優・尾上右近 「春興鏡獅子への熱き道のり」【手獅子・前編】~この手獅子を観るためだけに行く価値あり!~
尾上右近さんが歌舞伎俳優を目指すきっかけとなった「春興鏡獅子」(しゅんきょうかがみじし)。三才で夢見たその景色が、2025年4月の歌舞伎座で現実のものとなる。DREAMS COME TURE。後々、”尾上右近の鏡獅子の初演を観た”と語り草になるに違いない伝説の始まりの舞台。その熱量を「形にできるものは形にしたい」と、大事な小道具のひとつ、手獅子をあらたに自分のために作り、弥生役の衣裳も新しく作ることに。右近さんが求めたのはどんな手獅子なのか。そして衣裳の仕上がりは? まずは手獅子が作られた過程に密着する。