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自分とは何者なのか。そして、どう生きるか。大人ならではの「これから」を考える人に、多様な業界で活躍する女性エグゼクティブからのメッセージを届ける新連載。第1回は、フランスの国民的コスメティックブランドの日本法人を率いるリーダーが語る、50代での転換点について。
カルティエ ジャパン プレジデント&CEO 宮地 純さん「ジェンダー、国籍、自分の役割にとらわれず 誰もが自分の充実や成長を目ざせる社会に」【エクラ トップリーダーズvol.02】
カルティエ ジャパン プレジデント&CEO 宮地 純さん
profile
●宮地 純(みやち じゅん)
’02 京都大学法学部卒業後、外資系証券会社に就職。
’06 INSEAD(欧州経営大学院)を卒業。翌年、ラグジュアリーブランドでのキャリアをスタート。
’17 リシュモン ジャパンに入社。カルティエ ジャパンのマーケティング&コミュニケーション本部長に就任。
’20 プレジデント&CEO(現職)に就任。
’21~’22 2020年ドバイ万博(延期して開催)にてドバイ公社と共同でウーマンズ パビリオンを出展。
フェミニズムはヒューマニズム。スイッチが入れば景色が変わる
永遠の輝きを放つジュエリー。身につける人の品格を引き立てる時計や小物。カルティエ ジャパンのCEOに就任して今年で5年、メゾンの一員として仕事をすることは「とてもすばらしい冒険」だと、宮地純さんはいう。
「ハイジュエリーメゾンとしての本業はもちろん、アートや文化、社会にも広く深くコミットしている。多角的な取り組みに加わることで、私自身、人間性の幅を広げてもらっていると感じています」
まもなく開幕する2025年大阪・関西万博において内閣府、経済産業省、博覧会協会と共催する「ウーマンズ パビリオン」もまた、ブランドの多様な一面を表しているといえるだろう。2020年ドバイ万博に引き続いての参画となる今回は「ともに生き、ともに輝く未来へ」をコンセプトに、現代に生きる女性の人生の物語を追体験するイマーシブ(没入)型の展示となる。
「さまざまな形で女性をエンパワーしてきたカルティエは、私を含め、地域や国ごとのトップの約半数は女性であり、カルティエ ジャパンの管理職の7割も女性。流行や周囲にとらわれず自立する“インディペンデンス”を大事にしています」
幼少時から海外で生活する機会が多かった宮地さん。キャリアのスタートとなった証券業界をはじめ、これまで「幸いなことにあまりジェンダーギャップを感じずにきた」こともあり、当初はフェミニズムという言葉にやや距離を感じていたと吐露する。その心境を変化させたのが、ドバイ万博を訪れた際の体験だった。
「"Feminism is humanism, feminismis universalism"という言葉を現地で聞き、女性を含めて誰もが自分らしく生き、可能性を最大限に拡張できる社会はヒューマニズムそのものなのだということが私の中でクリアになりました。意識のスイッチが入ると、見える景色も変わってきます。以降は自分からフェミニズムについて調べ、積極的に話を聞くように。大阪・関西万博のウーマンズ パビリオンでの体験が、どなたにとってもそんなプロセスになるのではないでしょうか」
幅広い領域を束ねるリーダーとして大事にしているのは「機能対等」。社長も一社員も固有の役割をもつ者同士として対等であるという考え方だが、一方で個人としては、役割からなるべく自由でありたいとも考えている。
「会社においてもそうですし、女性でいうなら母、妻……なにかしらの役割を担って私たちは生きていて、そのことで指針をもらえる面もありますが、日本においてはその縛りが少々強いと感じることも。社長だから、女性だから、母だからということにとらわれず、私は自分の成長や中身の充実を大事にしたい。むしろ、自分あっての役割なのだと思っています」
どんなときも自分らしく。好奇心で突き進んできた宮地さんには、人生の目標を定めるという発想があまりないという。
「未知の世界に惹かれます。だから、常に見えないものを……。ひとついえるのは、いつも自分から最も遠いものを選んできた気がしますね」
ジュエリーと時計はその日のファッションに合わせて。自社の香水入れには金柑の香りをセット。日本学の権威による『縛られる日本人』は考え方の指針に。「意識の切り替えが大切」という宮地さんの言葉を聞いてスタッフが手作りした“意識スイッチ”(赤いもの)も必携
子供たちから贈られたメッセージカードが宝物
判断はいつも直感。「あまり迷うことはないですね」と宮地さん
motto
ペンをとり、迷いなく一気に書き記した「Live well」は、羽根が宙に舞うような軽やかな筆跡。「悔いのないよう、人生を豊かに生きたいという願いをこめています」と宮地さん。
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