忙しい合間のリフレッシュに!すきま時間に楽しめる「短編集」5選

雨の日は、雨音を聞きながら読書でもしてみませんか。今回は、50代に読んでほしいおすすめ本をご紹介。毎月お届けしている連載「今月のおすすめ本」でこれまで紹介してきた本の中から、すきま時間に楽しめる短編集をピックアップ。

『藍を継ぐ海』

『藍を継ぐ海』

科学のスパイスで広がりを増す5つの人間ドラマ

伊与原 新

新潮社 ¥1,760

地球惑星科学の研究者から転身した著者による小説は、自然科学との幸せな融合。萩焼き、オオカミ、原爆、隕石、ウミガメという5つのカギで、未知への扉を開く。ビッグバンから始まる悠久の時の流れや命の連なり、自分が生きて今ここにいるという奇跡に胸打たれる短編集。

『新しい恋愛』

『新しい恋愛』

毒をはらんだ短編集にザワザワ、モヤモヤ、そして共感

高瀬隼子
講談社 ¥1,760

5編とも恋愛をめぐる話なのに、トキメキは皆無。好きな人への思いが他人の評価で少しずつ削られてしまったり、26歳年下の女性と結婚した上司の好感度が激落ちしたり……。自分でも認めたくないいびつな感情や、漠然と感じていた違和感を、芥川賞作家が見事にすくいとる。

『動物哲学物語 確かなリスの不確かさ』

『 動物哲学物語 確かなリスの不確かさ 』

“哲学する”動物たちにクスッ、ズキッ、ホロリ

ドリアン助川

集英社インターナショナル ¥2,000

命の不確かさと確かさについて考えるリス。どちらの生活が過酷かを議論するウミイグアナとリクイグアナ。心の進化を問うアリクイ……。作家、詩人、歌手としてマルチに活躍する著者が、動物たちの生態に哲学のエッセンスをからめて描く21編は、ユーモラスでいて深遠だ。

『禍(わざわい)』

『禍(わざわい)』

不気味さもおもしろさも超弩(ど)級、想像力の極限に迫る短編集
小田雅久仁

新潮社 ¥1,870

書物を読むのでなく食うことで得られる快楽を描く「食書」、人体の一部を苗のように畑で育てる「農場」など、吐き気を催すほど気味が悪いのに、とてつもなく蠱惑(わく)的な7編を収録。吉川英治文学新人賞と日本SF大賞をダブル受賞した気鋭が生み出す悪夢は、読む者を虜(とりこ)にする。

『うそコンシェルジュ』

『うそコンシェルジュ』

人間関係のストレスをやわらげる11篇の物語

津村記久子

新潮社 ¥1,980

誰かのちょっとした言動で、私たちの心は容易にダメージを受けてしまう。だからこそ、自分を守り傷を修復するヒント満載の短編集を。特に秀逸なのが表題作とその続編。困っている人に頼まれ次々と大がかりな嘘を考え演出する、実は正直な主人公の奮闘&葛藤がいとおしい。

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