【50代の悩み】心に抱く母娘関係の葛藤 いろいろな形がある「私と母」

重い、恋しい、離れたい…など。eclatでは、専門家がエクラ世代が抱く母娘関係のお悩みに対して、心のもちようをアドバイス。
【50代の悩み】心に抱く母娘関係の葛藤 いろいろな形がある「私と母」_4_1

お嬢様育ちで人に頼って生きる母。今でもしょっちゅう電話してきて相談やグチ。ストレスでどうかなりそう。(Sさん・53歳)

若くして10歳以上年上の裕福な父と結婚し、私たち姉妹を出産。でも実際に子育てをしたのは祖母と父で、母はまるで私たちと三姉妹のような生活でした。しかも物心ついたときから母は守るべき存在で、私が長女で母が末っ子のような関係。それは今も変わらず、父が亡くなって以来ささいなことで電話してきては愚痴や相談。朝晩かまわずの電話が、ストレスです。

専門家からのアドバイス

「"わかって"は通用しない。いつなら電話できるのか具体的に伝えることがコツ。」

 確かに電話に支配される生活はたまらない。かといって、自分ひとりでうんざりしているだけでは、問題は解決しない。「"親なんだからわかって""私だって忙しいんだからわかって"は通用しません」(香山さん)。「電話そのものを止めることはできません」(信田さん)と、専門家も手厳しい。けれど娘の出方ひとつで、状況が改善する余地はある。
「0か100かではなく、ほどほどの距離感を自分でつくっていくことが大切。"もう電話してこないで"ではなく、"今はダメだけど〇時に電話するね""今週は忙しいけど来週なら大丈夫"のように、具体的に伝えることが大切」(香山さん)
「断ることは勇気がいるかもしれませんが、自分でできることは自分でしてもらうように促さないと。母親からはなんて冷たい娘だとののしられるかもしれないし、陰であなたの悪口をいうかもしれない。けれど、子育てと同じで、自立を助けることこそ母親を尊重することなのです。あなたの態度しだいで関係は変われます」(信田さん)
【お話をうかがったのは…】
精神科医 香山リカさん
立教大学現代心理学部映像身体学科教授。『さよなら、母娘ストレス』(新潮文庫)など著書多数。

臨床心理士 信田さよ子さん
原宿カウンセリングセンター所長。著書に『母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き』(春秋社)など。
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