【最近のベストセラー&話題の本にクローズアップ】日本でもブーム!ノーベル文学賞受賞の“ハン・ガン”おすすめ作品3冊

文芸評論家・ 斎藤美奈子さんが解説する、変わる世界と「本」の現在地。韓国のノーベル文学賞受賞作家ハン・ガン。韓国の背景を知るにはこの3冊を。

アジア人女性初のノーベル文学賞受賞!韓国の作家、“ハン・ガン”が日本でもブームに

『菜食主義者』『すべての、白いものたちの』 『別れを告げない』

『菜食主義者』

ハン・ガン きむふな/訳
クオン ¥2,420


『すべての、白いものたちの』

ハン・ガン 斎藤真理子/訳
河出文庫 ¥935


『別れを告げない』

ハン・ガン 斎藤真理子/訳
白水社 ¥2,750

「アジアの女性作家の中では図抜けた感があったのがハン・ガン。受賞は意外と早かった気がしましたが、彼女ももう50代なんですね」と斎藤さん。

「多彩なハン・ガン作品ですが、『別れを告げない』には抑圧の歴史を経て民主化を勝ち取った人々の思いがしみ込んでいる。『菜食主義者』は突然肉食を拒否しはじめた主人公が衝撃的。『すべての、白いものたちの』は詩的な断片が集まった一冊です。K-POPが世界中を席巻している今ですが、彼女の小説などを通して日本とは成り立ちが違う韓国の背景も知っておきたいですね」」

文芸評論家・斎藤美奈子さんが解説!変わる世界と、「本」の現在地

文芸評論家・斎藤美奈子さん

文芸評論家・斎藤美奈子さん

さいとう みなこ●’56年生まれ。’94年『妊娠小説』でデビュー。’02年『文章読本さん江』で小林秀雄賞を受賞。著書に『あなたの代わりに読みました』(朝日新聞出版)、『ラスト1行でわかる名作300選』(中央公論新社)など多数。

災害や物価の高騰など、不安要素が多かったこの一年。世の中を見渡せば「普及当初は誰でも意見を発信できると期待されたSNSですが、最近は選挙や事件の際にデマが拡散されるなどマイナス面も。“民主主義って何?”と考えさせられましたね」と斎藤さんは語る。

「芸能界だけでなく社会的にも大きな問題になったのが性暴力。ここ数年続けざまに表面化していますが、それを防ぐための本が出てきています。また最近はオンラインカジノの話をよく耳にしますが、ギャンブル関連の本には長く売れているものもあるんです」

一方、本の売り上げに目を向けると、’24年のベストセラーには今までになかった現象が。「ランキング上位の本は前年のベストセラーの続編がほとんど。子供向けの本も多く、“世の大人たちが読んでいた本”という感じがあまりしない。とはいえ、小説の世界では新感覚の日本語を使う作家が登場したり、韓国の女性作家、ハン・ガンがノーベル文学賞を受賞したりと明るい話題も。ネットでは得られない本独自の魅力に今後も注目していきたいですね」

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