「誰にも頼らず、本心を見せず、ひとりで生きて行く覚悟を決めている女性です。けれど愛に枯渇して埋められない寂しさ、孤独感を身にまとっている厚い殻があるので、感情を表に出さない。でも心は動いている。そんな須藤を演じる難しさはありました。」
主人公は、堺雅人さん演じる50歳の中年男性・青砥健将。妻子と別れて地元に戻り、印刷会社で働いている。体の不調を感じ、検査に訪れた病院で偶然出会ったのが、売店で働く須藤葉子。中学生時代にフラれた、初恋の相手だった。青砥の記憶にある須藤は、〝太い〟女性。芯の通った、ゆるがない、動じない何かを持っている、ということ。
「本作の土井裕泰監督とお話した際、「井川さんには須藤のような”太い〟部分があると前作ご一緒して感じました」とおっしゃって。私自身は末っ子で兄弟を見て育ってきたせいか、周りから見るとしっかりしているように見えるらしいですが、全くそんなことはない(笑)。実際は人に甘えるということが昔から苦手なんです。臆病なところがあるし、人見知りしがちですし、ちょっと慎重ですし、ひとりでいるのも嫌いじゃない。でもその反面、人を笑わせたり人に喜んでもらうのが好きな一面もあるんです」