今、ここが気になる! 気になる相続のあれこれQ&A【今から考える相続のこと】

身近な問題である「相続」だけど、実は、なんの対策も講じていない人も少なくないよう。「親にどう切り出したらいいか」「遺言書は必要?」といった疑問や悩みから、税制改正の内容に相続税対策まで、気になる相続のあれこれに専門家が一気にお答えします。

Q.相続より贈与のほうが 節税できるって本当?

A.親の年齢や財産の額などケースバイケースです

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「ひとり当たり年間110万円まで非課税になる『贈与』は、相続税対策として有効です。ただし、そもそも相続税がかからない家庭には不要。早々と贈与したために、老後資金が不足するという事態にもなりかねません。また、贈与者が贈与を始めてから3年以内に亡くなった場合は、相続人に対する贈与財産は相続財産に加算されるので、相続財産の規模と親の年齢などを考慮することも大切」(一橋さん)
 家族間で行われる贈与であっても、贈与する側とされる側の合意は必須。子供名義の口座に振り込むなら、通帳や印鑑、キャッシュカードは子供に渡しておくこと。でないと、子供の名前を利用した〝名義預金〞と見なされ、相続税の対象になる場合も。
「贈与を確実に成立させたいなら、贈与内容と日付を書き、贈与する側とされる側が署名・捺印した、贈与契約書をつくっておくと安心ですよ」

Q.遺言書ってやっぱり用意するべき?

A.トラブルを避けるために、ぜひ用意しましょう

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遺言書が重要だとはわかっていても、親に作成を促すのは気が引ける。「死を連想させますから、当然だと思います。けれど、遺言書は遺書ではなく、自分の財産をどうしたいかという意思を、誰もが納得する形で示せる唯一のツール。遺言書がないと、基本的には法定相続分どおりになり、相続人たちがそれを不服とすれば、争族に発展しかねません。親が元気なうちに、『家族がもめるのは悲しいから』と、作成をお願いしておきたいですね。一度作成しても、気が変われば、作り直すことはできるのですから」(一橋さん)
 遺言書には左の3種類があり、おすすめなのは公正証書遺言。公証人が関与するため、偽造などを疑われる心配がない。遺言書の有無は、公証役場に問い合わせればわかるが、生前、家族に「公正証書遺言を作成している」と告げておくと、より確実だ。
「遺言書は、相続人が口座からお金を下ろしたり、不動産の名義書き換えをする際に提示する書類としても使われます。手続きをスムーズにするためにも作成をおすすめします」

Q.相続税を抑えるには、 どうすればいい?

A.生命保険や小規模宅地等の特例を活用して

「生前贈与以外に有効なのが、生命保険。法定相続人が受け取る生命保険には非課税枠があり、ひとりにつき500万円までは相続税がかかりません。しかも、相続税の基礎控除額とは別。例えば、母の遺産が現預金5000万円で、相続人が子供ふたりの場合、基礎控除額の4200万円を超えるので相続税が発生します。そこで、生命保険を、子供それぞれを受取人にし、500万円ずつ加入。一時払いにし、今ある現預金から保険料の約1000万円を捻出すば、相続税の課税価格は4000万円になり、基礎控除額の範囲内に」(一橋さん)
 なお、生命保険は受取人固有の財産なので、ほかの相続人と分ける必要はなし。また、相続税が発生しそうな場合、納税資金準備として、生命保険を活用するのも一案だ。
「不動産を所有しているなら、『小規模宅地等の特例』にも注目を。配偶者や同居の親族、持ち家のない別居親族で一定の要件を満たす者が、自宅の土地を相続する際、最大330㎡まで、評価額が20%に減額されます。また、事務所や店舗、アパート、駐車場といった土地についても、事業継承する親族に対して、土地の評価額が減額されます」

教えてくれたのは・・・

上級相続診断士 一橋香織さん

笑顔相続サロン代表。アフィリエイティッドファイナンシャルプランナー、終活カウンセラー上級、家族信託コーディネーター。これまで2000件もの相続問題を解決し、著書も多数。     




『家族に迷惑をかけたくなければ相続の準備は今すぐしなさい』

一橋香織 PHP 研究所 ¥1,000







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