麗水は海辺の海洋公園に夜になると屋台がたくさん出ていて、まるで毎日がお祭りのよう。賑わう浪漫屋台(ナマンポジャ)を横目に(もうこれ以上は食べられないので)公園のベンチで缶ビールと袋菓子で(まだ食べるのか!)、旅仲間たちとのガールズトークもまた楽しい思い出となり、ホテルまで散歩がてら戻った。(ちなみに大概コンビニでロング缶が4本1万ウォン、と安い)
オーシャンビューで麗水エキスポ駅からも近い、7月にオープンしたばかりのホテル「VENEZIA」を翌朝出発。高速鉄道KTXでソウル、ヨンサン駅へ向かった。約3時間の長旅だったため、一般室ではなく特室席に初めて乗る。ゆったりしたスペースでとても快適だった。風光明媚な海の街、麗水はカンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け)や焼き鰻などでも知られるそうで、ゆっくりまた滞在してみたい。
空港に向かう前に、ミシュランでも紹介されている「駅前会館(ヨッチョンフェグァン)」で昼食をとる。こちらも全羅道出身の先代が1962年に創業、3代目が営み、4代目が厨房で腕を振るう。どうしたら煙まみれにならずにプルコギを楽しんでもらえるか、考えた末に生み出されたのが、名物のパサップルコギ(カリッと焼けたプルコギ)。味付けして炭火で焼かれたプルコギは香ばしく、エゴマの葉で巻いて。ユッケも全羅道スタイルはごま油ではなくコチュジャンで味を整えている。梨と貝割れ大根と一緒に海苔で巻いて食べれば口福!!名物のソンジスルグッ(牛の血を固めたものの入ったスープ)もコンソメのように上品で、目から鱗だった。
全羅道の人々は美味しいものを食べ慣れているため、故郷以外の食事に満足できない、という贅沢な悩みを抱えているそうだ。噂通り、テーブルの脚が折れるほどの多彩な料理のもてなし、食の奥深さ、食材の豊かさに駆け足でも触れることができ、全羅道の味覚にすっかり魅了された”千年の美食旅”だった。