初めてだけど、懐かしいもの。

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懐かしい雰囲気の書体を発見! 1枚目は渋谷、2枚目は新宿にて。
デパートが親に連れていってもらう特別な場所だった小さい頃の、ワクワクした気持ちを思い出します。ずっと残してくださいますよう。

我が家のデパートの定番は、ふた山越えての京都髙島屋でした。いつ「たかしやま」という音位転換を卒業できたのか覚えていませんが、五つの音にちょっと呪文めいた力を感じたものです。

そんな子ども時代の京都の記憶を別ルートから思い出させてくれたのが、現在、国立新美術館で開催中の『東山魁夷展』(※会場での撮影はできません)。1988年、京都市美術館の展覧会以来のおつきあいで、「このひと、好き」という感想も相変わらず。こむずかしさを装うことのない、親しみやすくしみじみといい絵が並んでます。会期は12/3まで、どうぞお早めに。

東山さんとは、今年の2月にも「ご縁」がありました。

ダイヤ改正前に、八戸線の国鉄車両の乗りおさめついでに八戸の鮫ヶ崎岬へ行った時のこと。
ここの白い灯台をぐるっとめぐる線形はジオラマばりに完璧なのですが、 そこから隣駅を目指して南へ歩くとすぐ、小じんまりとした入り江(中須賀なる場所)に出ます。そこはサイズ感といい、草地と岩場のバランスといい、神の作りし庭というような居心地のよさが漂っていました。初めてとは思えない親しみを覚えながら進んだ先には銀色の柱が立っていて、この入り江に沿った道こそ東山さんの代表作『道』の原風景であると書かれていたではありませんか…。(※ 東山さんはかなり省略しています。ぜひ現地で確認を)

ある風景に人を惹きつける力があり、それに気づいた画家が巧みに描き、その作品を見た人物が偶然にもとの風景と出会い、さらに同じ年に展覧会場でまた画家の絵を見返すという、壮大なループ体験ができたのは、今年の収獲でした。

不勉強なまま出る旅には、ときどき「自分で発見する喜び」の大当たりがあるので、あながち悪いものとはいえません。何かしら自身の記憶とつながっているであろう「懐かしいもの」は、できるだけ見ておきたいと思います。
(編集B)
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