「途中下車しても食べたい味」(2)、「高原野菜とカツの弁当」。

「途中下車しても食べたい味」(2)、「高原野菜とカツの弁当」。_1_1
言わずと知れた中央本線・小淵沢駅の超名作駅弁「高原野菜とカツの弁当」。駅弁なのにたっぷりの生野菜サラダを主役にした稀有な一品です。先日、「今なら念願の八ヶ岳とのツーショットが撮れる!」という好機に恵まれ、途中下車していただきました。

細かい事ながら、かつての小淵沢駅では、駅弁を買うのに(改札外に出るという意味での)途中下車をする必要はありませんでした。各ホームに売店があり、そこでお弁当類を購入できたのですが、コロナ禍以降は開いていない模様。しかしながら、いったん改札を出て、駅舎屋上で八ヶ岳や南アルプスを眺めながら味わうというのがなかなかオツなので、新たな楽しみとして提唱したいと思います。

レトロなデザインのパッケージをよくよく観察すると、弁当の名称のそばに「八ヶ岳名物」の5文字が添えられています。それを見れば、たいていの人は「へえ、そうなの」と思うはず。一方で、「八ヶ岳名物といえば?」という逆方向からの質問に対して、この駅弁を挙げる人は100人にひとりもいないでしょう。そのことがちょっと悲しいのです。

「途中下車しても食べたい味」(2)、「高原野菜とカツの弁当」。_1_2
以前、"お米が主役の駅弁"というくくりで東西の名作をご紹介したことがありますが、単純なご飯の美味しさにおいてもこの駅弁は優れています(炊き加減は柔らかめ)。ジューシーに揚がったチキンカツに添えられる調味料がマスタードに塩、ウスターソースと幅広いのもありがたい。その塩は野菜にも使えますし、もちろんドレッシングもついています。サラダにはリンゴが、カツの下にはケチャップスパゲティが添えられ、脇の固め方も万全(レモンも大事)。この総合力の高さは、20以上の連峰からなる八ヶ岳を思わせないでもありません。
 
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調整元は大正7年創業の「丸政」さん。他のどのお弁当もハズレがなく、陶製の汽車土瓶まで現役で扱っている駅弁文化のトップランナーです。その自信ゆえに、この「小淵沢の名物は駅弁です」の文言。いや、力強い"宣言"というべきか。以前は中央線のホーム売店正面にも掲げてあったはずですが、今や4・5番ホームのこちらのみ。個人的には大事にしてもらいたい看板です。仮にここから外した際に利用するあてがないのならば、いっそ引き取りたいほど。小さめのキーホルダーに仕立てたら、ニッチな層に喜ばれる小淵沢土産になるはずですし。

「高原野菜とカツの弁当」は夏の休日には売り切れることもあるので、予約がおすすめ。昔ながらの紐がけで、一折¥1,100の「八ヶ岳名物」。ほどよく晴れた涼しい日に途中下車してどうぞ。
(編集B)

※中央線のお話は、次回に続きます。

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