一生に一度は愛でたい、京都の“名桜”【「京都」桜にまつわる10の愉しみ】

2019年3月4日
桜の名所や銘木が多く、どこに行こうかと迷う京都。府内はもちろん日本全国の桜を見守り続けた、御年91歳になる桜守の佐野さんが、一生に一度は愛でたい京都の名桜をご紹介。
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年齢を重ねた姥桜は色気を超えた色香が

日本に自生する桜といえば、山桜、彼岸桜、大島桜。育つ土地によってそれぞれ違うが、京都の桜は特別の風情があるという桜守の佐野藤右衛門さん。長年、京都の桜を見守ってきた佐野さんにおすすめの桜をうかがえば、「そんなこといえるかいな。人それぞれ感じ方は違うからな。自分がええと思った桜が一番やな」と。

名桜はどれも長い歴史と物語があり、それらをきちっと調べてみると桜を見る楽しみはさらに増すという。「桜が咲く場所のいわく因縁やその桜を愛でてきた人の心とかは、代は変わっても引き継いどる。それが京都の桜の魅力やろな。そやから京都に来たら、この土地に育てられた枝垂れ桜や里桜、山桜を見にいったらええ。染井吉野? あれは接ぎ木で育ったもんで一種のクローン。みんな同じ顔して、東京で見ても京都で見てもみんな同じ顔。自然というものが感じられへん」。

そして、大事なのはどんな環境の中で見るか。「夜露が残って初々しい素顔の桜、昇りかけの日の光を受ける朝8時ごろまでの桜が一番美しいなあ。昼間は疲れとるし、夜はきついライトアップでびっくりしとる。桜も人間と同じで若さや色気を通り越し、年齢を重ねた姥桜(うばざくら)は特にええ。少しずつ枝や幹を枯らしながら大きくなり、色香が出てくる。そうなったら本物や」。また、咲いたときだけでなく、好きな桜を決め、毎年眺め見続けてほしいと。「咲いたときは一年の成果みたいなもん。春になったから桜、ではなく、愛情をもって自然に溶け込む気持ちで見てほしい。人間がじゃまになったらあかん」と。一生に一度の桜といわず、一生かけて桜を愛でる佐野さんの心に習いたい。
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天下にうたわれた「祇園の夜桜」。円山公園の桜は、昭和22年に枯れてしまい、現在は2代目。佐野さんの父親が先代の枝し垂だれ桜から種をとり自園に育てていたのを移植したもの。10年かけて大きく育ち、現在も多くの人の心を奪う。

佐野さんが手がけた鴨川沿いの「半木(なからぎ) の道」。当時の知事の依頼を受け、’72年ごろから約70本の紅枝垂れ桜を植樹。植えて5年は花が咲かなかったが、今では京都屈指の名桜に。
平安時代より名桜として知られる「御室の桜」は代々仁和寺の人足だった佐野家にとって特別な桜のひとつ。背の低い桜と背後の五重塔が織りなす古都ならではの春景色が楽しめる
教えてくれたのは…

桜守 佐野藤右衛門

’28年、京都市生まれ。天保3年創業の「植藤造園」の16代目。祖父の代からの桜守を継ぎ、全国の桜の保存や生育に携わる。

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