からだの“変わりどき”が“調べどき”! アラフィーが受けておきたい“その先”の健康診断

更年期を迎えるアラフィー世代は、体の大きな変わり目。そこで、アラフィーが健康診断にプラスして受けておきたい最新の検査と、受け方を専門家がアドバイス。

健診はただ受けるだけでなくいかに生活に生かすかが大切

定期健診は受けているものの、本当にそれだけで大丈夫? アラフィーが受けるべき検査について医療ジャーナリストの増田美加さんにうかがった。

「最近、検診にはメリット、デメリットがあるため、デメリットが上回る検診は受けるべきではないという方針を厚生労働省が出しています。デメリットには精神的負担のほか、X線被曝の問題、受けても早期発見につながらないなどさまざま。最低限受けるべきは、自治体や企業で実施される健康診断や、メタボリックシンドロームに着目した特定健診です。どちらも自治体が行っているものを利用すれば主婦やフリーランスの人も無料あるいは安価で受けられます。これらの健診は国が推奨し、受けることで病気予防や早期発見につながるという科学的根拠があります。また、厚生労働省が死亡率低減効果があるとして推奨している胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんの5大がん検診(下記参照)はぜひ受けましょう。任意で受ける人間ドックもいいですが、これらの最低限の健診を受けたうえで補うべきものを追加すればいいと思います」 

補うべき、それ以外の検査とは?

「日本人の死因はがん以外に心疾患や脳血管疾患が多いので、家族にこれらの血管系の病気になった人がいる場合は脳や心臓のドックを受けておくのもいいですね。また病気を見落としがちな歯周病や緑内障など歯や目の検査もおすすめ」 

最近、酸化度や糖化度などを調べられる老化対策や将来の病気予防目的の検査もあるが、これはどう利用するといい?

「検査結果が悪かったとき、生活習慣を変えられない人は受けても意味がありませんが、生活改善のきっかけになるなら受けてもいいと思います。閉経を迎えるエクラ世代は、今までと同じ生活をしていると血糖値や骨密度なども大きく変わる年齢で、生活習慣の見直しどきです。ですから健診や検診はただ受けるだけでなく結果をいかに生かすかが重要なのです。上手に活用を」

厚労省の指針で定める、5大がん検診の内容

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アラフィー世代なら積極的に受けたい、定期健診や人間ドックにプラスしたい検査

加齢とともにかかりやすくなるのが、血管系の病気や、歯周病や緑内障などの歯や目の病気。これらの病気を詳しく調べられるのが以下のような検査。健診や人間ドックには含まれていないことが多いので受けておくのが理想的。
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検査することでわかるリスク→歯周病

歯につく“歯垢”によって歯茎などの組織に炎症が起き、進行するとあごの骨が溶け、最悪、歯が抜け落ちてしまうこともあるのが歯周病。気づかぬうちにすすんでいることが多いから、歯科で定期的に検査を。

✓動揺度検査

ピンセットで歯をつまんで揺らし、どれくらい揺れるかをチェックする検査。健康な歯の場合はわずかしか動かないが、歯周病になっていると歯と歯肉の間の組織の歯根膜が破壊されるのでグラグラ動く。グラつき度を0~3度までの数値で出す。

✓プロービング検査

プローブ(深針)という器具で、歯と歯肉の境目にある溝(ポケット)の深さを測定するとともに歯周組織の破壊度を検査。健康状態だとプローブがあまり溝に入らないが、歯周病がすすむほど溝が深くプローブが奥まで入る。溝からの出血の有無も調べる。

✓咬合力検査

プラスチックシートを口腔内に入れて上下の歯で噛み、咀嚼(そしゃく)力をチェックすることで、上手に食事をとれるかどうかを調べる。咬合(こうごう)力が弱いと歯周病が進行している可能性がある。
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血管

検査することでわかるリスク →動脈硬化 →脳梗塞、心筋梗塞など

加齢や肥満、高血圧、糖尿病などの要因でなりやすいのが動脈硬化。脳梗塞や心筋梗塞などの引き金になるから上記のような要因のある人や家族歴がある人は、循環器内科や血管外科などで血管の検査を受けてみて。

✓頸動脈超音波

首の頸動脈に超音波を当てて行う検査。動脈硬化で血管壁が分厚くなっていないか、壁にプラーク(血管内にできる膨らみ)がないか、血栓や石灰化がないかなどを調べる。全身の動脈硬化度の指標になり、脳梗塞や心筋梗塞など血管系疾患のリスクを調べることができる。

✓PWV/ABI測定

両腕と両足首の血圧を同時に測り、PWV(脈波伝播速度=脈が血管を伝わる速さ)を測定。健康な血管なら脈がゆっくり伝わるが、動脈硬化がすすんだ硬い血管だと速く伝わり、脳梗塞や心筋梗塞など血管系疾患のリスクが。ABI(足関節上腕血圧比)も同時に測定でき、足首の血圧が上腕より低いと下肢の閉塞性動脈硬化症の可能性が高い。
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検査することでわかるリスク →緑内障、加齢黄斑変性症

加齢とともに増える目の病気が緑内障。放っておくと失明の危険もあり、早期発見・治療が重要なので眼科で検査を受けて。同じく進行すると失明の危険がある加齢黄斑変性症などの病気も以下の検査でわかる。

✓矯正視力検査

近視・遠視・乱視のレンズを組み合わせて、最高視力(視力の限界値)を測る検査。目の矯正視力が1.0未満は眼科疾患の可能性が。矯正視力が低いと加齢黄斑変性症や緑内障につながる。また、網膜剝離などほかの病気が見つかる可能性も高い。

✓眼底検査

眼球の奥にある視神経や網膜の血管などを見る検査。網膜は体内で唯一、直接血管を観察できる。また、眼底を三次元解析できるOCT(光干渉断層計)検査が受けられる機関も。この場合、緑内障や加齢黄斑変性症の可能性をより高い確度で把握できる。

✓視野検査

白と黒の縞模様を交互に反転させたものを視標にし、視野の範囲や欠落部を調べる検査。片目ずつ行う。視野が狭かったり、欠落部があると緑内障の可能性がある。眼圧検査や眼底検査とあわせて緑内障の重症度や進行度を判定する。

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