壮麗な音で構成された“山”、自由に表現された“海”にまつわる楽曲4【夏の大人のクラシック】

夏の暑さに負けないエネルギーを注入したい。そんなときこそ、弱音から大音量まで変幻自在はクラシックを。夏らしい「山」と「海」にまつわる楽曲を、指揮者の茂木大輔さんにおすすめしてもらいました。
壮麗な音で構成された“山”、自由に表現された“海”にまつわる楽曲4【夏の大人のクラシック】_1_1

「山」と「海」にまつわる楽曲

1.R.シュトラウス『アルプス交響曲』

ヘルベルト・ブロムシュテット/サンフランシスコso 1988年

2.ブラームス『交響曲第2番』

カール・ベーム/ウィーンpo 1975年

3.ドビュッシー『管弦楽のための3つの交響的素描「海」』

シャルル・デュトワ/モントリオールso 1989年

4.R.コルサコフ『シェエラザード』第1曲「海とシンドバッドの船」

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリンpo 1967年

オーケストラの壮麗な音は、崇高な山容をイメージさせるにふさわしい。『アルプス交響曲』は登山の過程を追う構成で、その気分は高地で書かれたブラームスの『交響曲第2番』の雰囲気とも通底している。甘美な第2楽章、盛り上がる第4楽章など、“ブラ2”は必聴の名作。一方の、海。ドビュッシーの波しぶきを思わせるいきいきとしたサウンドには、とにかく驚かされる。『シェエラザード』は冒険譚の始まりにふさわしい、堂々たる曲調。弦楽器が描き出す波のこまやかな動きに耳を澄ませて。

夏の気だるさも壮大な自然も表現できる、多彩な音の芸術

夏らしいといえば、やはり「山」と「海」。
「『アルプス交響曲』はテーマが“登山”。夜に出発して日が出て、山頂に到達して、下山中に嵐にあって、夜にふもとに戻るという流れを音楽だけで写実的に表現した、ひとつの達成です」

なるほど、まるでよくできたサントラみたい。こうした標題音楽ではないものの、「山」を感じさせるのがブラームスの『交響曲第2番』。

「特に第1楽章に顕著で、吹きおろしてくる山の冷たい空気が感じられて、とてもいい気分になれます。夏の短期間に避暑地で書かれたことが大きいでしょう。作品全体の穏やかさには、心を寄せていた女性(シューマンの妻・クララ)への思いをこめた『交響曲第1番』を書き終えたあとの、晴れやかな気分も影響していると思います」

“らしさ”では「海」も負けていない。
「“交響的素描”というタイトルのとおり、ドビュッシーの『海』は、誰が聴いても海そのもの。古典的な様式や構成、ベートーヴェンが表現するような崇高な理想などとは無縁の自由な音楽で、海の表情の変化を耳から楽しめます。『シェエラザード』は全曲聴いていただきたい素敵な作品で、その冒頭の海のシーンには雄大さを感じますよ」

教えてくれたのは…

指揮者 茂木大輔さん

’59年、東京都生まれ。国立音楽大学卒業、ミュンヘン国立音楽大学大学院修了(オーボエ専攻)。シュトゥットガルト・フィルを経て’90年よりNHK交響楽団首席オーボエ奏者を務め、ソリストとしても活躍。’96年から指揮活動も開始し、「生で聴くのだめカンタービレの音楽会」など、クラシック音楽の魅力を幅広く伝えている。

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