「夕立ち」のようなヨーロッパ特有の嵐“テンペスタ”を扱った楽曲3【夏の大人のクラシック】

暑さ厳しい夏こそ、元気の出る「クラシック」がうってつけ。指揮者の茂木大輔さんが選んだのは、ヨーロッパ特有の“テンペスタ”を描写した音楽。突然大雨が降りまたすぐ上がるという、日本の「夕立ち」にも似た激しさを表現した楽曲をおすすめしてもらいました。
「夕立ち」のようなヨーロッパ特有の嵐“テンペスタ”を扱った楽曲3【夏の大人のクラシック】_1_1

「夕立ち」にまつわる楽曲

1.ベートーヴェン『交響曲第6番「田園」』第3~5楽章

サー・ジョン・エリオット・ガーディナー/オルケストル・レボリュショネル・エ・ロマンティック 1992年

2.ヴィヴァルディ『四季』より「夏」第3楽章

レイチェル・ポッジャー(vn)、ブレコン・バロック 2017年

3.ハイドン『交響曲第8番 「晩」』第4楽章

トレヴァー・ピノック/イングリッシュ・コンサート 1986年

ヨーロッパ特有の嵐、「テンペスタ」。その襲来から再び晴れるまでを見事に描いたのが、ベートーヴェンの“田園”。5楽章中の4番目が「嵐」で、より時代の古いヴィヴァルディとハイドンは最終楽章に位置づけている。ベートーヴェンとヴィヴァルディの曲調はヘビーメタルも顔負けの激しさだが、ハイドンは優雅なのがおもしろい。今回選んだのは、すべて“古楽器”(作曲当時の仕様の楽器)による演奏。小規模な編成、ピッチが低くビブラートを使わないなど、独特な響きも聴きどころ。

夏の気だるさも壮大な自然も表現できる、多彩な音の芸術

興味深い「夕立ち」を彷彿とさせる作品の存在。
「突然空が曇って大雨が降り、またすぐ上がるというヨーロッパ特有の“テンペスタ”と呼ばれる現象があり、それが音楽で描写されています。ヴィヴァルディやベートーヴェンの作品が有名ですが、ユニークなのはハイドン。『朝』『昼』『晩』という連作交響曲の最後の曲が“嵐”だなんて、初演時の聴衆はビックリしたでしょうね(笑)」 

こうして推薦があると聴きたくなるが、新たな曲と“出会う”コツは?

「今や全集も廉価です。好みの作曲家の作品集を入手して、気に入った曲を分析してみては? ピアノ曲がお好きならほかの作曲家の似た作品を探したり、同じ曲の演奏者違いを聴いたり。確かにクラシックはとっつきにくいかもしれない。でも、一度その敷居をまたいだら、“人生のBGM”として一生付き合える深みと豊かさがありますよ」 

教えてくれたのは…

指揮者 茂木大輔さん

’59年、東京都生まれ。国立音楽大学卒業、ミュンヘン国立音楽大学大学院修了(オーボエ専攻)。シュトゥットガルト・フィルを経て’90年よりNHK交響楽団首席オーボエ奏者を務め、ソリストとしても活躍。’96年から指揮活動も開始し、「生で聴くのだめカンタービレの音楽会」など、クラシック音楽の魅力を幅広く伝えている。

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