古都奈良の最新リゾート「ふふ奈良」へ

緑の芝生に鹿が群れ遊ぶ奈良公園。名勝の地に隣接して、6月5日に開業した「ふふ奈良」は、随所に奈良らしさを散りばめた、落ち着きあるリゾートホテル。おおらかな気分に満たされる、奈良の休日を満喫して。

香りもアートも。奈良らしい趣に満ちて

墨色の格子造りが印象的なエントランスからロビーに入ると、ふわりと鼻をくすぐるのは、ちょっとスパイシーで温もりあるよい香り。レセプションでは、かつてこの地に根付いていた大きなクスノキのカウンターがゲストを待ち受けています。
墨色の格子造りが印象的なふふ奈良のエントランス
ふふ奈良のロビーにある大きなクスノキのカウンター
中庭を眺めるロビーでいただくのは、ほどよく冷えたひやしあめ。心がほっと落ち着く、うれしいお出迎えです。
ふふ奈良のロビーでいただく冷えたひやしあめ
二階建ての建物に、全30室のみを備える「ふふ奈良」。建築の基本デザインは、隈研吾氏。中庭は、日本を代表するランドスケープアーキテクトである宮城俊作氏が手がけたもの。石、土、木、水を用いて平城京の造りからインスパイアされた庭は、京都の庭とは趣を異にする、野趣に富んだ景色です。
ふふ奈良の中庭は日本を代表するランドスケープアーキテクトである宮城俊作氏が手がけたもの
墨や古木、晒など、奈良の歴史を思わせる素材や色味が随所に用いられていて。雅ではなくて、麗し。はんなりではなくて、おおらか。そんな奈良らしいしつらえが「ふふ奈良」の魅力です。

渋い色彩に落ち着ける客室。和漢の香りの湯も楽しみ

客室はすべてスイート仕様で、色彩トーンは同じながら異なる造り。床を彫り込んだリビングなどもあり、「座る」をテーマにデザインされています。奈良晒を用いたベッドサイドのランプは、やすらぐ穏やかな光。
ふふ奈良の客室はすべてスイート仕様で色彩トーンは同じながら異なる造り
渋い色合いの壁や家具に、真鍮や鉄などをアクセントにした内装デザインは、ちょっとオリエンタルな雰囲気もあるのが素敵。シルクロードの終着点でもあった、古の奈良を想わせます。部屋によっては、オリジナルのアートが配されているところも。
すべての客室には、風を感じられる、ゆったりとした露天の湯船が備わり、運び湯をした温泉で満たされています。

奈良は、日本における薬の発祥地。大和当帰の葉をはじめとする数種類の和漢植物が入った袋を湯船に浸して、よい香りに包まれる、プライベートな温泉浴を楽しんで。きらきらとした朝の光を浴びながらの和漢の香りの風呂は、至福の心地よさ!
ふふ奈良の客室にあるゆったりとした露天の湯船
大和当帰の葉をはじめとする数種類の和漢植物が入った袋

食事処「滴翠」では、ここだけでいただける味わいを

竹などの樹木が植わる敷地内を回遊できる庭園は、奈良公園内の瑜伽山園地に隣接しており、往時の文化人や実業家が愛した、歴史ある日本庭園です。
竹などの樹木が植わる敷地内を回遊できるふふ奈良の庭園
鉄板焼きの「久璃(くり)」を併設する日本料理の「滴翠(てきすい)」
メイン棟から竹林の中、石階段を降りていくと、鉄板焼きの「久璃(くり)」を併設する日本料理の「滴翠(てきすい)」へ。二つのレストランは、外来ゲストも利用することができます。
八寸にお目見えする奈良漬とフォアグラの春巻き、オマール海老を使った贅沢な飛鳥鍋など、シグネチャーな味もさまざまに登場
「滴翠」でいただくコース料理は、大和野菜や大和牛などの地元素材を用いて、大和当帰(とうき)、芍薬、ウイキョウなどをアクセントにした、ここでしか味わえない美味しさ。八寸にお目見えする奈良漬とフォアグラの春巻き、オマール海老を使った贅沢な飛鳥鍋など、シグネチャーな味もさまざまに登場します。器の趣味も、奈良らしく、渋みがある美しさ。
プライベート感を大切にした、ゆとりある個室に準じる空間
日本料理も鉄板焼きも、プライベート感を大切にした、ゆとりある個室に準じる空間でいただけるのが、うれしいところ。他のゲストに出会うことなく、食事をゆっくりと楽しめます。
レストラン「滴翠」の朝食
朝食も、「滴翠」で。まずは、大和真菜スムージーで、朝のお腹を整えて。野菜、魚、肉をバランスよく配した、ほどよい量のおかずがうれしい御膳が登場します。選べるご飯は、大和茶粥がおすすめ。
目玉焼きをのせた納豆汁
「ふふ河口湖」では、納豆と豆腐のグラタンがでてきますが、ここ「ふふ奈良」で出てくるのは、目玉焼きをのせた納豆汁。和のような洋のような、新しい味わいの納豆ディッシュで、人気です。

シスレーのスパでは、薬湯付きトリートメントを

スパでも奈良らしい、ゆったりとした癒しの時間を味わうことができます。フランス発のSISLEY社監修による「SPA by sisley」では、「ふふ奈良」だけの限定で、薬湯入浴付きの施術「Time of Pleasure」を用意。
ふふ奈良のSPA by sisley
まずは、薬湯に入ってリラックスしながら体を温め、ゲストの体調や好みに合わせて施術をカスタマイズ。薬湯の香りに包まれながら、体の芯から温もった後でのトリートメントは、じんわりと心身に沁みわたり、癒してくれます。

翌朝の散歩では、清々しい奈良の土地柄を体感

「ふふ奈良」に宿泊したら、翌朝は、ぜひ、奈良公園から春日大社を散歩してみてください。レストラン棟から、すぐ通りを渡ると、そこは鷺池に浮かぶ檜皮葺きで六角形の浮見堂が。さらに浅茅ヶ原園地を抜けると、鹿が群れ遊ぶ草原を通って、春日大社の参道へと続きます。
奈良公園
春日大社
よいリゾートホテルの条件とは、周囲の自然や文化と溶け込む時間が持てて、ホテルが立つその地の歴史を感じられること。「ふふ奈良」は、そんな価値ある時間をゆったりと過ごすことができる古都のリゾートです。

ふふ奈良
奈良県奈良市高畑町1184-1
☎︎0742-81-7738
全30室
¥38,650〜99,150(2名1室利用の1泊1名料金、税サ入湯税込み)
(取材・文/坪田三千代)
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