<パリマダムに聞いた>STAY HOMEからの今の暮らしは? 「社会は変化しても心は変わらない」

世界中で猛威を振るうCOVID-19。STAY HOMEを余儀なくされた私たち。そんな今、海外のアラフィーは何を考え、どう過ごしているのかを取材しました。今回は、パリ在住の映像プロデューサー ローレンス・バゴさんをご紹介します。

世界のマダムに緊急取材! Paris 

Laurence Bagot

ローレンス・バゴさん

映像プロデューサー

 

街の市場が閉鎖したのをきっかけに、パリ近郊の農家にトラックで野菜販売を依頼

❶瞑想とヨガのあとには、自宅のテラスや中庭の植物、菜園の手入れが毎朝の日課となったローレンスさん
❶瞑想とヨガのあとには、自宅のテラスや中庭の植物、菜園の手入れが毎朝の日課となったローレンスさん。
❷イル・ド・フランスのイブリー県で野菜を生産するジャン=ミシェルさんと。
❷イル・ド・フランスのイブリー県で野菜を生産するジャン=ミシェルさんと。市場閉鎖の直後に交渉して新鮮な野菜を販売してもらった。
❸ステイホーム中は家族や友人へのお裾分けにジャムを大量に手作り
❸ステイホーム中は家族や友人へのお裾分けにジャムを大量に手作り。

できごとを自然に受け入れる柔軟さが身についた

医療関係者に30枚の手作りマスクを感謝のメッセージとともに市内の病院へ配達。ひとり暮らしのお年寄りのために食品や日用品の買い物を代行。また集合住宅のエントランスと中庭に毎朝手を入れて丹精した美しいガーデニングで、住人や地域の人のための癒しの空間をつくる……。これらは外出制限令中にローレンスさんが自発的に起こしたアクションの数々。さらに、近所で開催されるマルシェが閉鎖されたのをきっかけに、ひいきにしていた野菜生産者の連絡先を調べてコンタクトし、パリ近郊からトラックで週に一度、新鮮な野菜を届けてもらう交渉に成功。SNSの呼びかけで告知をし、野菜販売会をオーガナイズした。それが口コミで評判となり、行列のできるベジタブルトラックとして話題に。納品先を失った生産者にとってもこの申し出はまさに渡りに船だったと感謝された。

「思い立ったらすぐに動かないと気がすまない」という彼女の行動力は、自然とまわりの人たちをハッピーにするパワーを秘めているようだ。

「映像プロデューサーというのは、チームがよりスムーズに働ける環境づくりをするのが重要な仕事です。全体を見ながらいつも、今誰が何を必要としているのかを考えて行動するくせがついているんですね。だから今回も考えるより先に体が勝手に動いていた感じです(笑)」

❹設置した餌箱に餌をついばみにくるかわいい小鳥に癒されていた毎日
❹設置した餌箱に餌をついばみにくるかわいい小鳥に癒されていた毎日。
❺中庭の菜園コーナーではミニトマトやミント、セージなどのハーブ類を収穫。
❺中庭の菜園コーナーではミニトマトやミント、セージなどのハーブ類を収穫。ガーデニングエプロンや道具はイギリスから取り寄せたもの。

外出制限令中、彼女の的確でスピーディな実行力が地域住民をはじめ、多くの人に希望と癒しを与えていた。

現職前は15年間、旅行ジャーナリストとして活躍し、今の映像の仕事では国内外のロケ撮影が多く、世界を慌ただしく飛びまわる日々。だから、彼女にとって“旅”は人生で最も大切なことだと語る。

「でも、今は出張もできないし、リモートで仕事ができるから、身支度を整えてオフィスに通わなくてもいい。そのぶん、毎朝瞑想をしたり、庭の手入れをしながら季節を感じたり。

この歴史的なできごとを通じて、メンタルが鍛えられたみたい。“人生は自分で決めるもの。だから、どんなに社会が変化しても自由な心は変わらない”。そんなふうに素直に感じられるようになりました。人とのコミュニケーションも実際に会う頻度は以前より少なくても、より深く有意義な時間を共有できるようになりました」

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