【富岡佳子×森下洋子 スペシャル対談1】舞踊歴70周年を迎える森下洋子さんがコロナ自粛を経て思うこととは

3歳からバレエを始め、今もなお、第一線の舞台に立ち続けるバレリーナの森下洋子さん。同じ表現者として「一途に続ける姿に憧れていた」という富岡佳子さんとの“現役同士”の対談が実現! Webでは4回に分けて掲載します。
【富岡佳子×森下洋子対談】

来年、舞踊歴70周年を迎える森下洋子さん。海外の名門バレエ団からの数多くの誘いを“日本人だから日本でやりたい”と断り、ご本人いわく“純国産”として日本バレエ界を牽引してきた。そんな森下さんに、同じく長年モデルとして活躍してきた富岡佳子さんは“現役”の先輩として憧れを抱いていたという。実は2月に森下さんに対談をオファーしたものの、新型コロナウイルスの感染拡大で延期に。今回、森下さんの活動再開を機にようやくふたりの対面がかなった。

 

「森下さんの舞台を拝見して、指の先の先まで行き届いた美しさと、圧倒的な存在感に感動しました」富岡佳子

富岡佳子
ワンピース¥180,000/ユア サンクチュアリ(シクラス) ピアス¥18,000/ショールーム セッション(マリハ)

コロナ自粛を経て、数カ月ぶりの公演が実現

富岡 8月の松山バレエ団の始動公演『新・白鳥の湖』を見にいかせていただきました。私はバレエの素人なので上手な感想がいえないのですが、先生の踊りは指の先の先まで魂が通っているというか……、体のラインが本当に美しくて! 踊っている姿がとても大きくて、その存在感を目(ま)の当たりにしました。私なんか足元にもおよびませんが、同じ体を使って表現する仕事をしている者として、生涯現役を続けられる秘訣をいつかうかがいたいと思っていたので、今日はやっとお目にかかれてうれしいです。

森下 私もお会いできて光栄です。実際に会うと、私、小さいでしょ?(笑)。舞台では大きく見えるとよくいわれます。

富岡 はい、びっくりしました(笑)。

森下 150cmくらいなのよ。ふだんは団員と一緒にいても感じないのですが、舞台での集合写真を見ると、「ああ、私って小さいんだな」って実感するのね。

富岡 舞台に立たれたのは5カ月ぶりとのことでしたが、皆さんの踊りもぴったりと息が合っていて、それはまた別の迫力があって素敵でした。

森下 私は幸いなことに、コロナ自粛中もバレエ団で変わらずレッスンを続けていたんですが、団員たちは自宅でオンラインレッスンでしょ。各自いつも以上に自分を律する必要がありました。そんな時間を経ての公演でしたから、みんなでまた一緒に舞台に立てる喜びが大きかったですね。松山バレエ団では、金メダリストのような誰かひとりが活躍する、というような舞台づくりはせず、みんなで心を合わせて作品をつくるんですね。やっぱり芸術というものは、人々の幸せのためにあるものだと思いますから。

富岡 その熱量、伝わってきました。本当に感動しました。

エクラ2020年12月号には富岡佳子さんと森下洋子さんのスペシャル対談を掲載。ぜひ手に取ってみてください。

【INFORMATION】
松山バレエ団 ’20年Xmas 公演『くるみ割り人形』

松山バレエ団では初演から39年目を迎える『くるみ割り人形』を森下洋子を中心に全幕公演。11/14、15 東京文化会館、11/28 さいたま市文化センター、12/6 府中の森芸術劇場、12/13 世田谷区民会館、12/19 神奈川県民ホールにて開催予定。詳しくは松山バレエ団ホームページを。チケットの申し込みは、☎03・3408・7939、またはticket@matsuyama-ballet.comへ。

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