初めての銅版画体験。

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発売中の『エクラ』2021年1月号では、山本容子さんの銅版画制作の過程を追った記事を掲載しています。作品を目にする機会はあるけれど、技法や制作過程はよく知らない銅版画。「やってみたら?」というお言葉に甘えて、ソフトグランド・エッチングに挑戦してみました。

試作してよくわかったのは、防蝕剤を掻き落とし、酸を使った腐蝕によって銅板を"間接的に彫る"プロセスの奥深さ。

銅板に塗るソフトグランドという防蝕剤は、実に繊細です。ぐにっと軟らかいので、押し当てた帯締の房の質感まで克明に再現できるほど。それゆえに、筆圧の強い私には扱いがむずかしい。阿弥陀さまを描いてみたのですが、ぐいぐい防蝕剤を落としてしまって、出来上がりの線はちょっと単調でした。また、肉身の線(9H鉛筆)と蓮台の線(色鉛筆)と、仏身の周囲に軽く入れたつもりの後光の線との強弱差が大きかったので、後者は腐刻に至らずじまい(右下の方だけ)。

もちろんできないことはないのですが、そちらを待っていると腐蝕が進みすぎて、その間に線の強い蓮台や阿弥陀さまの姿は崩れてしまうという次第。腐蝕を1回で終えるのであれば、描画段階で素材や技法の特性を前提とした"読み"が必要なのだと思い知らされました。

山本容子さんの銅版画の軽やかでじわっとにじむような独特の線の調子は、防蝕剤に引いたごく細い線から生まれています。いわば山本さんはきっかけを与えていて、腐蝕によってじっくりと線を育てているような印象がありました。(※山本さんが腐蝕にかけた時間はこちらの3倍以上)。

最後にタイトルの入れ方までご指導いただき、手持ちの「なんでも額」に入れてひとまず完成。いずれご来迎くださる阿弥陀二十五菩薩ご一行様にお配りできるくらい、色々作ってみたいものです。これもひとつの"印仏行"といえましょうか。
(編集B)
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