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どう増やす?50代のための「あと10年でできるお金の対策」まとめ
年金だけでは老後暮らせない。その事実、“2000万円問題”が話題になる前から、実はみんなうすうす気づいていたのでは?特に、定年まで10年前後のアラフィー世代の中には、「将来のお金」に不安や焦りを抱えている人も少なくないはず。そんな重~い気分を解消してくれる“あと10年でできるお金の対策”とは?
お金の専門家に聞く!家計の見直し・老後資金対策・相続関連...etc.自分にとってベストな方法は?
マネージャーナリスト 有山典子さん
相続コンサルタント 一橋香織さん
①こんなお金の失敗はもうしたくない!
【老後資金】家計簿だけでは成果なく老後が不安に…
老後資金2000万円にはほど遠いわが家。そろそろ本気でお金を貯めなくてはと思い、毎月細かく家計簿をつけ、食費を切り詰め、おこづかいも減らしたのに、目に見える成果はナシ。この先どうすればいいのか不安が募るばかり。 【保険の見直し】無料相談で保険加入したのに出番なし! 保険の見直しのために夫婦で無料相談を受けたところ、担当者の話を聞くうちに「やっぱり保険は必要」という気持ちに。結局、保障が充実した医療保険とがん保険、収入保障保険にも加入しました。でも、夫婦ともに健康体で今のところ保険の出番はなし。月5万円の保険料、貯金に回したほうがよかった!?
【投資信託】銀行のおすすめ商品を購入したが利息が…
投資を始めたという友人に触発され、どんな商品があるのかを聞きに、メインバンクの窓口に。そこですすめられたのが、投資信託とセットになった定期預金。通常より金利が高いというので申し込んだのだけど、それが適用されるのは半年のみ。利息は投資信託の購入手数料と運用手数料でほぼ消え、購入した投資信託は思うように値上がりせず。なんだかモヤモヤしています。
【相続税】ネット情報に頼ったら税金が想像以上に
節税対策をネットで調べた結果、父の遺産は母ひとりが相続し、「配偶者の税額の軽減」を利用することに。そのときは相続税0円に抑えられたのだけど、5年後に母が亡くなり、兄と私が母の遺産を相続したら、相続税が予想以上に高くなってしまい……。どうやら、父が亡くなったとき、私たちも相続したほうが税金が安かったみたい。ネットの情報のみに頼ったことを後悔。
【相続税】長年の顧問税理士に依頼で評価額にズレが
自営業だった父が亡くなった際、長年顧問税理士をしていたかたに相続税の計算をお願いしたところ、あまりに高くてビックリ! どうやら相続に詳しくなかったようで、父名義の土地を高額評価していたようです。後日、相続専門の税理士さんを新たに頼み、納税額は抑えられたけれど、税理士報酬が2倍に(泣)。
②有益なアドバイスをくれる「お金の整理のプロ」の選び方
自分に最適なアドバイスはお金を払ってこそ得られる
「テレビや雑誌などメディアに掲載されている情報を参考にする人は多いと思いますが、その大半は一般論。必ずしも自分に適しているとはかぎりません。状況によってとるべき対策は変わるので、自分に合った情報とアドバイスを得たいなら、プロに相談するのも一案です」というのは、お金の専門家として活躍する有山典子さん。
最近はプロが無料で相談にのってくれるサービスも見かけるけれど。
「保険や投資を中心に増えていますが、相談という名の“販売”も少なくありません。無料相談は情報収集の場ととらえ、その場では契約しないのが賢明。そこで得た情報をもとに、じっくり検討し、最終的な判断は自分で行ってください。判断に迷ったら、金融機関に属するプロではなく、中立的な立場にある“独立系のプロ”の有料コンサルティングを受けるのがおすすめ。本当に有益な情報は、お金を払って得るものだと、私は思います」(有山さん)
有料ならば、それに見合ったアドバイスをしてほしい。信頼できるプロを見つけるポイントはある?
「まずは、相談したい分野に特化している人を選ぶことですね」というのは、相続に詳しい一橋香織さん。
「例えば、弁護士の場合。相続専門の人もいれば、企業法務に特化しているとか刑事事件しか扱わないなど、得意分野が細かく分かれているんですよ。にもかかわらず、なかには依頼があれば専門外でも引き受けてしまう人も。そんな知識や経験が不足している人に相談しても、適切なアドバイスは得られません。なので、自分が相談したい分野に精通しているか、必ずチェックしてください」(一橋さん)
信頼のおけるプロかどうか、事前にしっかり確認を
気になる相談料は、プロの職種やキャリア、相談内容によって大きく変わる。いずれにしても、「その分野の相場」を知っておくことは重要。
「できれば複数のプロに料金を確認するなどして相場を調べるとともに、事前にはっきり費用明細を提示してくれる人を選んでください」(有山さん)
お金の専門家選びのポイント
《1》相談したい分野に特化している
その道のプロとはいえ、得意分野はまちまち。特に弁護士や税理士は、扱う分野が細分化しているのが一般的。依頼したい内容に精通しているか否かが、得するか損するかの分かれ道なので、必ず事前に確認すること。
《2》相談件数が多くて経験豊富
知識に加え、経験値もアドバイスのよしあしに関係。「相続」や「家計相談」といった看板を“とりあえず”掲げているだけのプロも中にはいる。受けている相談件数は年に数件で、キャリアが1〜2年など短いようなら再考を。
《3》考え方や意見に共感できる
知識と経験は申しぶんなくても、相手の考え方や提案に共感できないなら考えもの。プロの提案を実行するのを躊躇したり、実行後に後悔する危険性も。今ひとつ心を開けないなど、相性が合わない場合も担当替えを検討して。
《4》慣習に精通する地元の人が安心
冠婚葬祭をはじめ、お金に対する考え方は地域によって大きな違いがある。なので、地元の慣習や事情をわかっている人に依頼するほうが安心。長いお付き合いになる可能性も高いので、まずは地元のプロを候補に考えて。
《5》費用を事前に明示してくれる
最低でも3人以上に相談費用を聞くなどして、相場を調べることからスタート。また、基本料金は格安なのに、追加料金が多々発生し、結果的に高額になるケースもあるため、そのあたりもしっかりチェックしたい。
③家計の見直しや年金・老後資金について
家計にかかわるか否かで相談先が変わります
家計や資産運用の専門家はさまざまいるけれど、「家計や将来設計全体にかかわることは、顧客の家族構成やライフプラン、収入、資産状況などの情報を総合して、お金全般のアドバイスをするファイナンシャルプランナー(以下FP)に、家計に影響しないことやピンポイントで知りたいことはその他の専門家に相談するのがおすすめです。いわば、FPは広く浅く、専門家は狭く深く、というイメージですね」と、有山さん。
家計にかかわる相談は、収入や支出、所有する資産の情報をオープンにする必要があるため、金融商品の販売を目的としない“独立系FP”に依頼するのが安心。一方、投資や保険の基礎知識や具体的な商品説明などは、銀行や証券会社、保険会社の担当者に無料で相談してもOK。
「独立系FPを探す際は、日本FP協会のサイトにアクセスするのも手。地域や相談内容別に検索可能で、無料相談も実施しています。無料相談で担当してくれたFPとの相性がよければ、同じ人に継続的に相談するのもよいと思います」
ケース別、頼れる「お金の整理のプロ」はこんな人!
【ケース1】家計を見直したい
依頼できるプロ>>ファイナンシャルプランナー
“常識”どおりやっているのに効果がない…
「家計は身近な問題だけに、自分でなんとかできそうに思えますよね。けれど、これこそ各家庭で対策が違うので、一般論を参考にしても意味がないと思います。それどころか、『食費を切り詰めるのは必須』とがんばりすぎて節約疲れしたり、『住宅ローンは繰り上げ返済が得だから』と、余剰資金はすべてそちらに回して貯金ゼロなど、残念な結果になりかねません」
そうした誤った認識や思い込みを正すためにも、一度プロに家計診断してもらって。家計に関することなので、相談すべきプロはズバリFP!
「お金に対する価値観は人それぞれなので、同年代や地元出身など、自分と感覚が近く、考え方に共感できるFPを選ぶのがおすすめです。
また、家計相談は一度だけでなく、家族の状況が変わるごとに行うといいですよ。そうするうちに、“わが家に最適な方法”がわかるようになり、プロのサポートなしでも、上手にやりくりできるようになるはず」
【ケース2】年金について知りたい
依頼できるプロ>>年金事務所、ファイナンシャルプランナー
いくらもらえて、何歳で受給がベスト?
そろそろ気になるのが、将来いくらくらい年金を受け取れるかということ。
年1回、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」に保険料の納付状況や将来の見込額は記載されているし、日本年金機構が運営するサイト、「ねんきんネット」ならもっと詳しく試算できるけれど、「より正確に知りたいなら年金事務所の窓口を訪ねたり、電話で相談するのも手。もちろん相談料は無料です」と、有山さん。
「けれど、年金事務所では、受給する年齢を繰り下げたほうがいいのか、それとも繰り上げたほうがいいのかといった相談には応じてもらえません。資産状況や働き方によって異なるので、FPに聞くのがよいでしょう。年金受給額を増やす方法なども、あわせてアドバイスしてもらえるかもしれません」
【ケース3】老後資金の準備をしたい
依頼できるプロ>>銀行、証券会社、ファイナンシャルプランナー
iDeCoやNISAはやるべき?
老後資金を増やす&蓄える方法として注目されているのが、“自分でつくる年金”と称されるiDeCoや、税制優遇が魅力の「つみたてNISA」。どんな仕組みで、どういった利用条件があり、メリット・デメリットは何かといったことは、これらを扱っている銀行や証券会社など金融機関の窓口で教えてもらえるほか、サイトなどでも詳しい情報を公開している。ということは、有料相談の必要はない?
「iDeCoやつみたてNISAを利用したほうがよいか否かは、収入や家計状況、資産などによって異なります。自分で判断できなければ、FPに相談しては?」
家計全般のコンサルティングができるFPだけど、経歴によって得意分野に多少の違いがある。資産形成がメインの相談なら、銀行や証券会社でそうした業務を行っていたFPがイチ押し。
④保険、投資、退職金運用について
ケース別、頼れる「お金の整理のプロ」はこんな人!
【ケース1】保険を検討したい
依頼できるプロ>>保険会社、保険代理店、ファイナンシャルプランナー
無料相談ではなく、有料で相談するメリットは?
相談先としてまず思い受かぶのは、現在加入している保険会社の担当者。
「ただし、不要な保険があったとしても、ハッキリ告げてくれるかどうかは疑問。よほど信頼関係があれば別かもしれませんが、ほかの保険への乗り換えをすすめられるなどして、保険料はさほど減らない可能性もあります。
また、複数の保険会社の商品を扱う相談窓口もありますが、そちらも契約をとるのが主な仕事。保険を比較する材料集めには有効ですが、その場で契約せず、一度持ち帰って検討して」
となると、相談先は保険会社などの企業に属さない独立系のFPに?
「実は、独立系FPの中には保険の仲介を行っている人も。相談者の利便性を考えて多種多様な保険を扱っている人もいますが、保険仲介を行っていないFPのほうが無難。相談者のメリット重視でアドバイスしてくれるはずです。
なお、無料相談を行っているFPの紹介サイトもありますが、保険会社がバックについているケースも多いので、運営会社は必ず確認してください」
【ケース2】投資でお金を増やしたい
依頼できるプロ>>銀行、証券会社、IFA、ファイナンシャルプランナー
投資ブームに乗り遅れたら損しそう…
「低金利の今、『投資をしなければお金は増えない』という風潮が広がっています。けれど、知識がない人がいきなり始めるのは危険。まずは、投資のメリットやデメリットを理解し、現在の資産状況などに照らし合わせ、投資すべきか否かを判断することから」
投資の基礎知識は、金融機関の窓口で教えてもらえるし、無料セミナーに参加するという手もある。もっとも、投資すべきか否かを客観的にジャッジしてもらいたいなら、金融機関よりもFPに相談するほうが安心かも。
「ただ、FPは、『この株がいい』などと具体的な運用商品を紹介してくれるわけではありません。何に投資すべきかは、自分で決めるものなのです」
最近は、個人の資産運用アドバイスを行うIFA(独立系資産運用アドバイザー)も増えてきたけれど、証券会社など金融機関と提携して活動しているのが現状のよう。
「誰に相談するにしても、投資は自己責任。その覚悟がなければ、手を出すべきではないと思いますよ」
【ケース3】退職金を運用したい
依頼できるプロ>>銀行、ファイナンシャルプランナー
魅力的な商品を用意する金融機関は多いけれど
退職金を元手に老後資金を増やしたいと考える人は多いよう。そんな状況を反映してか、銀行などが退職金運用のための専用プランを展開している。窓口を訪ねれば、商品の内容や、ライフプランに合わせた運用などを教えてくれるけれど、有山さんは、「契約前提で訪ねるのは要注意」と。
「退職金専用プランの多くが、通常より高い金利の定期預金に外貨預金や投資信託などを組み合わせています。しかも、高金利が適用される期間は3カ月や6カ月など短期で、その後は通常の金利に戻るのが普通。そのため思ったほど利息がつかないうえ、利息分は、外貨預金や投資信託の手数料でほぼ消えてしまうんですよ」
退職金の運用もFPに相談できるけれど、ネット専業銀行などが行っているオンライン相談を利用するのも一案。
「特に、担当者を目の前にすると、情にほだされて契約してしまいそうな人におすすめです」
⑤遺言書の作成、遺産分割について
上手にプロを活用し、家族が笑顔になる相続を
「相続の手続きは自分でもできますが、不安ならプロに依頼を。誤った手続きをしてしまうと大損害につながるおそれがありますから」と、相続に詳しい一橋さん。
相続にはさまざまな分野があり、弁護士や税理士など、適したプロも異なる。
「弁護士は、税金以外の相続全般に携わることができますが、費用がかかるのでピンポイントで依頼するのが賢明。もし、何をどんなプロにお願いすべきかわからなければ、まずは、相続全般の相談にのってくれる相続診断士に相談しては?」
相続診断士は、相続関連で最も普及している民間資格。家族の抱える問題点を明確にし、関係者全員が笑顔で相続できるようサポートするプロで、必要に応じて弁護士や税理士を手配するコーディネーター的役割も果たす。
「相続は法律や税金だけでなく、家族の絆にかかわるもの。節税はできても家族が不仲になってしまったら、故人は浮かばれません。“争族”を避けるためにも、プロは、知識や経験に加え、家族の思いを大切にしてくれるかを重視して選んで」
ケース別、頼れる「お金の整理のプロ」はこんな人!
【ケース1】遺言書を作成したい
依頼できるプロ>>弁護士、司法書士、相続診断士など
不備があると無効になるって本当?
「遺言書で一般的なのは、自分で書く『自筆証書遺言』(財産目録はパソコン作成も可)と公証人が作成する『公正証書遺言』。書き方にはルールがあり、不備があれば無効になってしまいます。もしも雛形を参考に自分で自筆証書遺言を作成するなら、細心の注意を払ってください。また、自分たち家族に適した雛形を参考にすることも重要です」と、一橋さんは指摘する。
例えば、雛形どおりに、遺言の内容を実行に移す遺言執行者の欄に「長男」などと相続人を記載してしまったら。煩雑な作業で手に負えなくなり、結局は専門家に依頼することになるなど、二度手間に。また、財産の書き方があいまいだったり、「相続させる」と「遺贈する」といった言葉の使い方により、遺産を受け取った人にかかる税金の額が変わるケースもあるとか。
「費用はかかりますが、弁護士や司法書士、相続診断士など、専門知識をもつ人に相談するのが安心です」
【ケース2】遺言に沿って手続きしたい
依頼できるプロ>>弁護士、相続診断士など
何をすればいいかわからなくて不安
遺言の内容をスムーズに実現するのに有効なのが、遺言執行者の存在。
「必ず必要というわけではありませんが、手続きが滞りそうとか、相続人同士で意見が対立しそうなら、遺言執行者を立てたほうがよいかもしれません」
遺言執行者が担う具体的な業務は、相続人全員にかわって行う財産の名義変更や金融資産の解約手続きなど。ただし、遺言に関して相続人の間でもめた場合、仲裁や意見の調整などは行わない。
「未成年者と破産者以外は誰でもなれるので、相続人の中から選ぶこともできますが、中立性を考えると、弁護士や相続診断士など、信頼できる第三者を選ぶのがおすすめです。遺言書に遺言執行者の記載がない場合は、家庭裁判所に申し立てをして指定してもらうことになるため、あらかじめ遺言書に記しておくことを推奨します」
【ケース3】もめずに遺産分割したい
依頼できるプロ>>弁護士、司法書士、行政書士、相続診断士など
“争族”を避ける秘訣は?
遺言がなく、複数の相続人がいる場合、誰がどの遺産を受け継ぐかを話し合い、全員が同意する必要がある。
「遺産をもれなく調べられ、相続人たちでの話し合いがスムーズにまとまるなら、プロの出番はないかもしれません。けれど、問題が生じそうなら、相続診断士のようなコーディネーターに相談してみては? 遺産内容に基づき、必要な専門家を手配すると同時に、相続人それぞれの思いを聞き、気持ちに寄り添ってくれます。ただし、協議がまとまらず裁判になってしまうと、弁護士に依頼することになります」
なお、実際に相続する際は、内容を記載した遺産分割協議書が求められる。その作成のみ、行政書士や司法書士などのプロに依頼することも可能。
⑥相続の手続きや相続税について
ケース別、頼れる「お金の整理のプロ」はこんな人!
【ケース1】相続資産の名義変更をしたい
依頼できるプロ>>司法書士、弁護士など
誰でも手続きできる?
誰がどの財産をどれだけ相続するかが決まったら、次にすべきは財産の移行。特に預貯金や株式、不動産、生命保険、自動車、ゴルフ会員権などは、換金するにしても、一度は名義変更する必要がある。
「名義変更に必要な書類が多岐にわたることもあれば、相続する人の本人確認が厳しく行われることも。もちろん、やり方さえわかれば自分でできますが、想像以上に手間や時間がかかるものもあります。特に不動産は、提出書類が多く、不備があってやり直しといったケースも少なくありません」
財産が多い、忙しくて自分でやる時間がない、確実に行える自信がないなら、行政書士や司法書士に依頼することも考えて。なお不動産の名義変更ができるのは司法書士か弁護士のみ。
【ケース2】相続税を申告したい
依頼できるプロ>>税理士
相続税の計算、自分でやるのはむずかしそう
相続財産が、基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると、相続税が発生する。預金など評価額が明快なものだけなら、自分で申告書を作成できるし、税務署の無料相談を利用するという手もある。
「厄介なのは相続財産に不動産が含まれるとき。土地や建物の評価額を求めるには、路線価方式と倍率方式という2つの計算式があるうえに、土地の形状や立地によって評価額が減額されるケースもあります。計算が複雑ですし、活用の仕方しだいで相続税の額が大きく変わってしまうので、心配ならばプロに相談して」
もっとも、プロの中でも税金に関する作業を行えるのは税理士のみ。
「とはいえ税理士のすべてが相続に詳しいわけではありません。正しい知識や、さまざまなケースを扱った経験がないと、有益なアドバイスどころか、損する危険性もあるので、依頼するなら必ず相続専門の税理士を選ぶこと」
【ケース3】相続税対策を考えたい
依頼できるプロ>>税理士
早めにとっておくべき対策はある?
「都心に家があるとか、多額の金融資産をもっているなど、相続税が発生しそうな家庭は、早めに対策をとっておくのが得策。なんの対策もとっていなかったせいで、仲がよかった家族がもめたり、多額の相続税が納められず、自宅を泣く泣く売却という事例は多数見受けられますから」
相続税には、自宅を相続した際に利用できる「小規模宅地等の特例」などの優遇措置がある。こうした知識をもち、どう活用するかが、“損得”の分かれ道に。また、財産が不動産しかない場合も、あらかじめ策を考えておけば、“争族”を避けられる可能性が大。こうした相続税対策も税理士が専門だ。
「相続税の納付は、相続開始日の翌日から10カ月以内。そのときになって慌てないよう、自分たちに相続税が発生するか、税理士に依頼して対策をとる必要があるか、まずは調べて。判断がむずかしければ、相続診断士などに相談するのもよいと思います」
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