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どう増やす?50代のための「あと10年でできるお金の対策」まとめ
年金だけでは老後暮らせない。その事実、“2000万円問題”が話題になる前から、実はみんなうすうす気づいていたのでは?特に、定年まで10年前後のアラフィー世代の中には、「将来のお金」に不安や焦りを抱えている人も少なくないはず。そんな重~い気分を解消してくれる“あと10年でできるお金の対策”とは?
【アラフィー女性の働き方】人生100年時代、折り返し地点にいる今こそチャンス!
①アラフィーのお仕事白書Q&A
Q.現在、仕事をしていますか?
Q.雇用形態は?
Q.今の仕事に就いて何年ですか?
Q.今の仕事に満足していますか?
Q.仕事をする主な理由は?(複数回答)
・家計の収入を得るため 127人
・自分のおこづかいを得るため 120人
・生きがい・やりがいを求めて 102人
・老後資金を貯めるため 78人
・働かないと時間を持て余すから 54人
・社会活動の一環として 51人
・その他 15人
お金がらみが多いものの、同様に「生きがい・やりがい」も重視。「社会活動の一環として」というのは、人生経験を積んだエクラ世代ならではといえそう。
Q.仕事に役立てようとこれまでに取得したスキルや資格は?
1位 簿記
2位 英語(英検、TOEICなど)
3位 秘書検定
4位 パソコンスキル(MOCなど)
5位 医療事務、司書、ファイナンシャルプランナー
若いときに取得したものを含めているからか、20年ほど前の鉄板資格がトップ3を独占。「今の仕事に役立っている資格」として「パソコンスキル」「医療事務」「簿記」をあげる人はいたものの、「資格が就職に直結した」という回答は少なかった。
▼こんな資格も!
ノルディック・ウォーク公認指導員、陸上特殊無線技士、呼吸療法認定士、雇用環境整備士、生活リズムアドバイザー、絵本専門士
Q.収入を得ること以外で、働いていてよかったと思うことは?
「社会とのつながりを感じられる」(会社員・46歳)
「毎日が新鮮!!」(自営業・51歳)
「誰かに必要とされることで、自分の存在を認めてもらえたように思える」(保育士・48歳)
「いろんな人に出会え、友だちができた!」(パート・47歳)
「働いている私を娘が尊敬してくれるようになった」(会社員・51歳)
「自分の年代に合った役割を自覚できたこと」(介護士・52歳)
「『ありがとう』といってもらったとき」「誰かの役に立っていると実感したとき」「新しい発見があったり、何かを学べたとき」、などの声が多数。仕事は自己実現であり、社会とつながる手段なのだと再認識。
Q.今の仕事を何歳まで続けたいですか?
・働けるかぎり 25%
・55歳まで 10%
・61~65歳まで 25%
・66~70歳まで 3%
・その他 19%
「61~65歳まで」と並んで「働けるかぎり」がトップという頼もしい結果に。「61~65歳」が多いのは、「定年がその年齢だから」「年金が受け取れるまで働きたい」といった理由から。「その他」には「介護など家族の事情によって変わる」という声も。
②あなたにとって「仕事」とは?
■「生きがい。自分磨きの場所」(会社員・52歳)
■「通勤=エクササイズ、人と接するのはボケ防止、若い人の中で働くのはアンチエイジング!」(官僚秘書・50歳)
■「仕事は生きていくためのもの。私は25年専業主婦で3人の子育てと会社経営の主人を支えてきました。家族は私のことをお気楽だと思ってる?かもしれませんが、この25年もしっかり仕事したつもりでいます」(主婦・52歳)
■「生活費のためにしかたなく働いています。お金があれば働きたくない」(会社員・44歳)
■「人生の修行」(会社員・45歳)
■「プライベートを充実させるための、生活の方便です。やりがいのある仕事をされているかたはうらやましいですが、私にはやりたい仕事など昔から何もなかったので」(求職中・54歳)
■「生活、人生の一部になっています。なので仕事がなくなったら、定年後のおじさんみたいに気が抜けそうで心配。今から、定年後もできるような副業を探しています」(会社員・56歳)
■「子供が巣立ったあとに残る芯みたいなもの」(主婦・53歳)
■「生きているならよほどの病気や事情がないかぎりはやってあたりまえのこと。生活していくために働くのは当然だと思います。働かざるもの食うべからず、ですね!!」(税理士・52歳)
■「ライスワークだけど、できるかぎりライクワークでライフワークにしたいと思っています。でもライスが必要じゃなくなったら損得抜きにやりたい仕事を極めてみたいとも思います。やりたいことがいっぱいあるので。趣味だとなかなか世の中は変えられない。やっぱり仕事だからこそ、変えられることもたくさんあると思います」(会社員・48歳)
■「人の役に立つことで自分の喜びとなるツール」(フリーPR・46歳)
■「今までは家庭を守ってきた。主人や子供たちのサポーターとして。これからは、第2の人生。仕事をして社会のサポーターになりたいなと。それが自分の成長につながるかなと」(主婦・49歳)
③輝くアラフィー4人のお仕事拝見
1.45歳で一念発起!パーソナルスタイリストに転身
根本有加里さん(エクラ 華組・51歳)のお仕事は「パーソナルスタイリスト」
同世代のファッションの悩みを解消する喜び
【お仕事の履歴書】
ʼ92年(23歳) 大学卒業後メーカー入社
ʼ96年(27歳) 海外ファッションブランドに転職
ʼ01年(32歳) メーカーに転職
ʼ07年(38歳) 出産のため退社。専業主婦に。
’14年(45歳) ブラッシュアップスクールに入校し、カラーコンサルタントや骨格診断士などの勉強を始める
ʼ15年(46歳) 社会復帰の一歩目としてパートに出る。1年半働いて退社
ʼ17年(48歳) イメージコンサルタントとして活動を開始
最初の扉を開けてしまえば次はもっと簡単に開く
今年新たにエクラ 華組に加入した根本有加里さん。「女性の社会進出をファッションでサポートしたい」と、講座主宰やショッピングに同行してのアドバイス、パーソナルスタイリスト養成講座講師など、幅広く活躍する。
「この仕事に就いたのは、私自身の悩みがきっかけでした。38歳ごろから何を着てもしっくりこず、大好きだったファッションが楽しめなくなって。数年おしゃれ迷子状態を続けたあと、45歳のとき思いきってスクールに入学し、カラー診断や骨格診断などを学びました」
自分に適した色、素材、デザインがわかれば、“今の自分”に合うファッションが見つかる。その楽しさをママ友たちに伝えたところ、大きな反響があった。「自分が好きなことで、こんなに喜んでもらえるなんて」。そのときのうれしさが根本さんの背中を押した。
これを仕事にしたいと、スクールで学び続けるとともに、授業料のためにパートで働きだしたのだ。なんとも行動的に見えるが、「もともとは理由をつけて動かないタイプ。特に年齢を言い訳にすることが多かったんです」と。
「スクールでは同じ志をもつ人に刺激されるし、先生にほめられるとモチベーションも上がります。それが、次の行動につながったのでしょうね。扉を開けるのは勇気がいりますが、ひとつ開くと、次はもっと簡単に開く。それを今実感しています。昔の私に、『年齢を理由にあきらめたら人生つまらないよ』といいたいくらい(笑)」
いずれは法人化し、ヘアメイクやエステなどトータルプロデュースを目ざしたいと、声をはずませる根本さん。この先も新たな扉が現われそうだ。
2.パティシエとして新たな一歩を踏み出したアラフィー女性
髙原 文さん(47歳)のお仕事は「パティシエ」
大好きなお菓子作りをプロとして極める
※写真は、取材時のみマスクをはずして撮影しています。
【お仕事の履歴書】
ʼ94 年(21歳) 短大卒業後、大手石油会社に入社
ʼ98 年(25歳) 同社を退職して渡仏。1年半滞在し、語学と製菓を学んだのち、帰国
ʼ99 年(26歳) イタリア料理店で菓子製造に1年半従事
ʼ00 年(27歳) メーカーに正社員として再就職。お菓子作りは趣味として続ける
ʼ07 年(34歳) 夫の転勤に伴い退職。以後11年間主婦業をメインにしつつ、お菓子作りを継続。SNSでの発信も行う
ʼ20 年(46歳) クラークシーゲルの製菓部にパートとして採用される
母や妻とは別の居場所があるという喜びは大きい
「お菓子作りは大好きでしたが、20年前の製菓業界は女性にはハードルが高くて。仕事でなく趣味で楽しもうと、ずっと気持ちを抑えてきました」
そんな髙原文さんが、念願のパティシエになったのは昨年11月。夫の転勤先が夫の故郷の広島県になり、4月に転居したことで事態が動きだしたのだ。「下の子が小学3年生になって少し手が離れたし、いざというときは近所に住む義理の両親に面倒を見てもらえる。このチャンスを逃したら次はない。そう思って就職活動を始めました」
パティシエの募集をしていた会社数軒にアプローチをし、採用されたのが現在勤務する洋菓子店、クラークシーゲル。「お菓子作りは続けてきたけれどパティシエ経験はなく、働ける時間帯も限られている。しかも46歳(当時)ですからね。こんな私を雇ってくれるところなんてあるんだろうかと、不安で不安で。でも、たとえダメでもがんばったという事実は残ります。夢に挑戦せず、逃げ続けるよりはずっといい。そう気持ちを奮い立たせ、社長との面接で、暑苦しいくらいの思いを訴えて(笑)」
インスタにアップしていた自作のケーキもアピールポイントになった。ところがいざ働いてみると、先輩たちとの力の差に愕然と。その差を少しでも埋めるべく、髙原さんは教わった技を日々自宅で練習。作ったものを製菓部門のグループラインに送ると、上司や先輩たちから「うまくなったね」「こうするともっとよくなる」といったメッセージが。それも励みになるという。
「会社が大切にしているのが、『寄り添って初心』という言葉。新人の技術が未熟でも、それに寄り添い、自分も初心に立ち返るという。だから、皆さんすごく温かい! クリスマスシーズンは戦場みたいで緊張感があったけれど、それすら『働いているんだ!』と実感できて、楽しかったですね」
妻や母とは違う居場所がある。「その喜びは格別!」と、髙原さん。「毎日忙しくてバタバタですけど、充実しているせいか、子供たちからは『ママ、前より優しくなった』っていわれます(笑)。転勤族なので数年後には違う土地に赴任するかもしれませんが、夫も『君と子供たちは広島に残って、仕事を続けたら?』と応援してくれていますし。挑戦して本当によかった。でもまずは、早く一人前にならないと。まだまだこれからです!」
※写真は、取材時のみマスクをはずして撮影しています。
3.定年後も働ける仕事を!“副業”という新たな選択肢
藤井聡子さん(52歳)のお仕事は「外資系金融の会社員、キッズコーチ」
【お仕事の履歴書】
ʼ89年(20歳) 短大卒業後、大手証券会社に入社
ʼ99年(30歳) 退職し渡米。インターンシップコースで1年間学び、その後一般課程に編入。資産運用会社にも勤務
ʼ02年(33歳) 帰国し、現在勤める外資系投資信託運用会社に入社
ʼ07年(38歳) 通信制を利用し、四年制大学商学部学位を取得
ʼ12年(43歳) 妊娠5カ月で入学した通信メインのオーストラリアの大学で、3年8カ月かけてMBAを取得。
ʼ17年(48歳) コーチングを学び資格取得
ʼ19年(50歳) 副業としてキッズコーチングを会社に申請。知人を中心に活動をスタート
働くことと学ぶことは人生を豊かにする両輪
藤井聡子さんが、週末を中心に、子供の自主性を育むための「キッズコーチング」を始めたのは2年前のこと。
「現在勤めている会社の定年は60歳。あと8年で退職ですが、できれば死ぬまで働き続けたい。そう考えると、今のうちに、退職後もできる仕事の準備をしておいたほうがいいかなと思って。ちょうど’19年3月に会社が副業OKになったので、申請をしました。ただ娘がまだ小学生なので、今は彼女との時間が最優先。本格的に行うのはもう少し先になりそうですけど」
もっとも、藤井さんがコーチングを学ぼうと思ったのは、本業に生かすため。会社でセミナー講師も務めており、「役立つかもと考えて」のことだった。それが期待以上におもしろく、興味があった子供向けコーチングの資格までとってしまったのだという。
「勉強は、出勤前や昼休みなどに、オンラインも活用しながら行いました。この年齢なので、記憶力はもちろん錆びついています。でも、単語ひとつでも覚えられれば、昨日より自分が成長していると感じられてすごくうれしい。忙しくはありますが、すき間時間を上手に利用するのも楽しくて。家族には、『ママは止まったら死んでしまうマグロだね』といわれていますが(笑)」
働きながら、自身の成長のために学び続ける。そのベースになっているのが、アメリカ留学での体験。日中働き、夜間学校で学ぶ人は珍しくなく、なかには50代や60代の人たちも。
「今の私にとって、学ぶことと働くことは人生の両輪になっています。それに働くこと自体も学びですよね。本業と副業、どちらからも学ぶことはたくさんありますし、一方で得た知識や体験が、もう一方に役立っています」
実は、副業のコーチングの対象を子供にしたのにも、本業での経験が関係しているのだとか。
「セミナーでは若い人と接することも多いんですが、彼らの自己肯定感が低いのが気になって。子供のころに自己肯定感を育む経験があれば、もっと自信をもって行動できるんじゃないかと思ったんです」
藤井さんにとって、学びと仕事はリングのようにつながりながら、人生を豊かにしてくれるものなのだろう。
「今は、本業と副業、どちらもできるかぎり続けていきたいと思っています」
4.社会とつながることが新たな世界を知る入口に
柏木真由生さん(47歳)のお仕事は「Get in touch事務局員」
【お仕事の履歴書】
ʼ96年(23歳) 大学卒業後、渡米
ʼ99年(26歳) 帰国し、大手広告会社入社。広告制作部門で、アシスタントプロデューサー職に従事
ʼ02年(29歳) 結婚。パートナーがマレーシア駐在になったのを機に会社をやめ、同行
ʼ07年(34歳) 駐在を終えて帰国。ちょうど出産したこともあり、8年間は仕事をせず、育児に専念
ʼ15年(42歳) 一般社団法人Get in touch事務局での活動スタート
不思議な縁で導かれた仕事が今はとにかく楽しい!
障害、病気、国籍、LGBTQといった生きづらさを抱える人たちを含め、すべての人が自然に、自由に暮らせる“まぜこぜ”の社会を、創作や表現活動などを通してつくる。それを目的に設立された「Get in touch」で、事務局員として働く柏木真由生さん。
「事務局は常に人手不足なので、スケジュールや予算の管理から動画への出演までやれることはなんでもやります。私にかぎらず、どのスタッフもひとり何役もこなしているんですけどね」
そういいながらも、柏木さんの表情は明るく、楽しげ。熱望した仕事だからかと思いきや、「活動も業務内容もよくわからずに応募したんです」と!
「娘が小学生になり、少し時間ができたときに、知人から『友だちが人を探しているんだけど』と声をかけられて。軽い気持ちで履歴書を送ったところ、事務局から『一度見にきませんか』と誘われ、出かけていったら、前職の先輩や同僚がいたんですよ。プロジェクトのサポートとして会議に参加していたようなんですが、もうビックリ(笑)。縁のようなものも感じて、その場で働くことを決めてしまいました」
今でこそ仕事に慣れ、マイペースでできているというが、最初の1年は無我夢中で土日もなく働いた。それでもやめなかったのは、持ち前の責任感に加え、「楽しかったから」。
「久しぶりに社会とつながった感じがうれしかったし、初めて知ることや学ぶことが多くて充実していました。なにより人と人がどんどんつながっていくこの活動にワクワクしたんですよね。私は志をもって参加したわけではないけれど、だからこそ“一般の人”の視点や感覚をもって携われる。それも意味があるのかなと。そう考えると、“導かれた”ような気もします」
うれしいことがもうひとつ。当時小学生だった娘さんを、「留守番させられないので、いたしかたなく」会議やイベントに同行させているうちに、彼女が“まぜこぜ”の社会を、ごく自然なものとして受け入れていたのだ。
「教育の一環なんて考えもしなかったけれど、親が楽しんで活動している姿に、娘なりに感じるものがあったのかも。最近は夫も、この活動に賛同してくれているんですよ」
自分だけでなく、家族にも新たな視点を与えてくれる。仕事には、そんな側面もあるのかもしれない。
写真/三浦宏之
週1ペースで更新するYouTube「スナックげっと」は、Get in touch代表・東ちづるさんやマメ山田さんらが、テレビでは聞けない“まぜこぜトーク”を展開。この回はゲストにブルボンヌさん(右端)を迎え、柏木さんも出演。
④お金とお金以上の価値がある!アラフィー女性の仕事とやりがい
薬膳講師 I・Fさん(57歳)
介護事業正社員 ゆみポンタさん(54歳)
小児科医 ハッシーさん(44歳)
カービング教室主宰 N・Sさん(52歳)
自営業 タマゴさん(52歳)
コールセンター契約社員 C・Hさん(51歳)
エディトリアル デザイナー あぽちさん(50歳)
官僚秘書 K・Tさん(50歳)
農業&子育て支援 めかえさん(52歳)
鍼灸師 吉祥天女さん(48歳)
派遣会社正社員 T.Tさん(47歳)
百貨店勤務 ミエルさん(54歳)
⑤ アラフィーのお仕事の「今」と「この先」
松本すみ子さん
仕事=会社員という固定観念を捨てれば、仕事の幅は広がる
「日本女性の平均寿命は87・45歳(厚労省’19年調査)。60歳や65歳で仕事をやめたとしても、あと25~30年は人生が続くのです。しかも昔と違って、60代70代はまだまだ元気。経済面を考えても、リタイアするのはもったいない!」というのは、50代以降の仕事事情に詳しい松本すみ子さん。
「少子高齢化が進む中、今後さらに中高年の労働力が求められます。今はコロナ禍で求人が減っていますが、2年ほど前までは、エクラ世代は引く手あまたでしたしね」
つまり、定年後どころか、現在無職のエクラ世代の再就職先があるということ?
「ただし、大半が非正規雇用ですし、仕事内容も介護や飲食中心に、スーパーやコールセンターなどが多くなります。それ以外の仕事に就きたいとか正社員を希望するなら、早めに準備することが大切。キャリアを積む、知識や技能を磨く、資格が必要なら取得するといったところです」
うーん、なんだかハードルが高そう。「企業に雇ってもらうことを前提にすると、確かに厳しいと思います。けれど、好きなことや関心のあること、得意なことを生かして、起業したりフリーランスや業務委託で働くというかたちだってあるのです。そう考えると、仕事の幅はぐっと広がるのでは? 私自身、50歳を前に会社をやめて独立しましたが、おかげで70歳の今も、好きな仕事を楽しく続けられていますよ」
今から将来の仕事について考えることが、道を切り開く
50代以降は、養育費などからも解放され、出費も減るはず。ということは、収入にこだわることなく、本当に自分がやりたいことを仕事にできる絶好のチャンスなのかも。
「そのとおりです。もっといえば、定年以降こそ、好きなように楽しく働けるすばらしい年代だと、私は思っています。極端な話、やりたいことがあるならボランティアでもかまわないわけですから。有償のボランティアだってあります」
この先私たちが“幸せに働き続ける”ために、まずすべきは、「自分が得意なことやできること」を客観的に見つめ、「興味があることは何か」を確認すること。
「この年代からでも、好きなことや関心のあることのためならがんばれるでしょう?」
と同時に、今後世の中でどんな仕事のニーズがあるかのリサーチを。それらが重なるところが、ねらい目の仕事。会社勤めが長く、人と接するのが好きなら、この先需要が高まりそうなシニア向けのキャリアコンサルタントといった具合だ。
「資格は知識や技術の裏づけにはなるものの、大事なのは実力。資格が仕事に直結するわけではないということは肝に銘じて」
逆に、活用したいのが口コミ。周囲に「働きたい」と公言することで、チャンスが舞い込むケースは少なくないそう。
「準備は早いに越したことはありません。今のうちに将来の仕事について考えておくことをおすすめします」
エクラ世代からの仕事探し「4つのアドバイス」
1.世の中のニーズと自分のキャリア、興味のあることをベースに
2.資格は単なる裏づけ。大切なのは実力
3.口コミ効果を利用する(働きたいと公言することでチャンスが生まれる)
4.“就職する”ではない働き方にも目を向ける
働く先輩に聞きました!
老後資金の目安が具体的に見える年齢だからこそ決断できた
起業によって定年に縛られず、自由な働き方を手に入れた
退職金や将来受け取れる年金額などの目安がついたことも後押しになった。
「この先仕事に縁がなくて収入が途絶えたとしても、実家に戻ればなんとかなるかななんて。根が楽天的なんです(笑)」
会社に迷惑がかからない時期を選んだこともあり、退職したのは52歳になった’16年3月末。翌月には結婚相談所に登録し、周囲にも婚活中だとアピール。すると、仕事仲間が現在の夫を紹介してくれ、すぐに意気投合。半年の交際を経て入籍した。
「結婚はタイミングですね。私の適齢期はこの年齢だったんだなとも思いました」
同時期に舞い込んできたのがPRの仕事。資生堂のグループ会社に所属する友人から、『フリーランスとして手伝ってほしい』と声がかかったのだ。
「そのときに思ったのは、見てくれている人はいるんだなということ。実は資生堂在職中も、ありがたいことにオファーされての異動もあったり。目の前にある仕事をまじめに、楽しみながら取り組んでいれば、次の道が開けるのかもしれません」
もともと仕事が好きだったうえに、結婚も決まったため、高山さんは迷わず受諾。3月に退職し、12月には会社設立と入籍を果たしたというから、まさに激動の一年に。
「忙しさに波はありますが、今は仕事とプライベートのバランスがとてもいいですね。年齢とともに体力は衰えてくると思いますが、自分で仕事の内容や量を調整することもできますし、自営業なので定年もありません。人のご縁をつなげることにやりがいを感じているので、これからも自分のスタンスで、じっくり楽しみながら、できるかぎり働きたいと思っています」
結婚が目的での早期退職だったが、結果的にそれが、大好きな仕事を長く続けられる道を開いてくれたようだ。
少し上の先輩はこうしてる!早期退職・ 定年退職事情
●ずっと東京オリンピックのボランティアに参加したいと思っていましたが、仕事を休めないからとあきらめていました。そんなとき、会社が早期退職希望者を募ったので迷わず応募。オリンピックは延期になりましたが、今も研修や交流会にZoomで参加し、同じ目的をもったかたがたから刺激を受けています。(59歳)
●定年後しばらく自由を満喫していたものの、それに飽きて、去年シッター紹介会社に登録。子供と接するのは楽しいし、一日数時間と負担も少なく、お金ももらえる。70代のシッターも多いので、私もできるかぎり続けたいと思います。(63歳)
●定年延長は選ばず、60歳で退職しました。ここ数年、両親の介護と仕事の両立で心身ともに疲弊していたけれど、仕事をやめたおかげで時間と心に余裕ができ、自分のために時間を使えるように。しばらくは、この状況を楽しみたい。(61歳)
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