「韓国文学の最前線」をブックカフェ『チェッコリ』店主キム・スンボクさんに取材!【韓国エンタメ新聞】

韓国文学(K文学)の仕掛け人であるキム・スンボクさん。そんな彼女に、次に話題になりそうなジャンルや、注目の作品など「韓国文学の最前線」を教えてもらった。
キム・スンボク

キム・スンボク

ソウル芸術大学卒業後、日本に留学。’07年、出版社クオンを設立、エージェントとして多くの韓国書籍を日本に紹介。ブックカフェ『チェッコリ』店主。

K文学の仕掛け人であるキム・スンボクさん。自身が営む出版社クオンの「新しい韓国の文学」シリーズは、その装丁の美しさも魅力だ。

「日本で出版される韓国関連本は、ステレオタイプな韓国のイメージのデザインが多くて。だからこのシリーズをつくるときは装丁にもすごくこだわりました。今の韓国の本は“インスタ映え”が大事なので、ちょっと先取りでしたね」

『82年生まれ、キム・ジヨン』などのフェミニズム系、日韓で大ヒットした『私は私のままで生きることにした』をはじめとするマインドフルネス系が日本では話題だが、それに続きそうなジャンルは?と聞けば「自分探しエッセー」「SF文学」「SNS発の詩集」などジャンルもさまざまだ。

「日本は文学の歴史が長く熟成していますが、韓国文学は日本文学より歴史が浅く、その若さがさまざまな作品を生み出すエネルギーやサイクルの速さになっているのかなと思います」

「新しい韓国の文学」シリーズでまずは読みたい、ブッカー国際賞作家ハン・ガン

2000年以降に登場した韓国文学の中から、まだ日本で知られていない作家のよりすぐりの作品を紹介するシリーズは、韓国文学のアンテナショップのような存在。最初に刊行した作品は、出版後にアジア初のブッカー国際賞を受賞することとなった、’70年生まれの女性作家ハン・ガンの小説。美しい文体で人間の痛切な心の傷に迫る受賞作『菜食主義者』をはじめ、本好きの女性にぜひ知ってもらいたい韓国文学を代表する著者だ。その美しい装丁も話題に。

右から『少年が来る』(井手俊作訳)、『菜食主義者』(きむ ふな訳)、『そっと静かに』(古川綾子訳)

右から『少年が来る』(井手俊作訳)¥2,750、『菜食主義者』(きむ ふな訳)¥2,420、『そっと静かに』(古川綾子訳)¥2,420。すべてクオン。

韓国語の勉強にも一役買うアイテムに! 「韓国文学ショートショートきむ ふなセレクション」

K-POPや韓国ドラマにハマり、韓国語を習いはじめる人も多いはず。そんな人に向けて作られたのが、日本語翻訳と原語の韓国語の両方で読むことができるこちら。巻末のQRコードでアクセスすれば、クオンのユーチューブチャンネルで作品の韓国語朗読も聞くことができるという充実ぶり。クオンが自信をもっておすすめする実力派作家による短編小説なので、日本語で読むだけでも十分に満足のいく作品ばかり。カラフルな表紙に箔押しのロゴもかわいい。

右から『私の生のアリバイ』(コン・ソノク著、カン・バンファ訳)、『ダニー』(ユン・イヒョン著、佐藤美雪訳)、『夜よ、ひらけ』(チョン・ミギョン著、きむ ふな訳)、『サパにて』(パン・ヒョンソク著、きむ ふな訳)

右から『私の生のアリバイ』(コン・ソノク著、カン・バンファ訳)、『ダニー』(ユン・イヒョン著、佐藤美雪訳)、『夜よ、ひらけ』(チョン・ミギョン著、きむ ふな訳)、『サパにて』(パン・ヒョンソク著、きむ ふな訳)。各¥1,320。すべてクオン。

《ヒットの新法則?》韓国ドラマの劇中に登場して話題になる本が続々!

街角や地下鉄のホームなどにしたためられるなど、韓国では日常の中に溶け込んでいる詩。ドラマのセリフに詩や詩集が使われることも多く、そこから火がついた作品も。例えばパク・ソジュン主演『キム秘書はいったい、なぜ?』では、インスタグラムから書籍化された『すべての瞬間が君だった』がキム秘書の愛読書として登場。本の中の一節がふたりの恋を代弁する小道具として使われ大ヒットした。パク・ボゴム主演の『ボーイフレンド』で同様に売り上げを伸ばした『花を見るように君を見る』は、韓国の国民的詩人ナ・テジュの作品。同詩人とともに写真詩集を出した俳優イ・ジョンソク、BTSのRM、BLACKPINKのジスなどが愛読していることでも話題に。

ナ・テジュ 黒河星子/訳『花を見るように君を見る』

『花を見るように君を見る』
ナ・テジュ 黒河星子/訳 かんき出版 ¥1,650
詩、エッセー、童話などを手がける76歳の詩人ナ・テジュの詩集で、SNSで多く引用された作品をまとめた集大成。

ハ・テワン 呉永雅/訳『すべての瞬間が君だった きらきら輝いていた僕たちの時間』

『すべての瞬間が君だった きらきら輝いていた僕たちの時間』
ハ・テワン 呉永雅/訳 マガジンハウス ¥1,540
SNSを中心に支持を受けデビューした作家ハ・テワンのエッセー。美しいイラストと言葉で、韓国で爆発的な大ヒットを記録。

《日本の芥川賞のような存在。》「李箱文学賞」受賞作家の作品ならはずれなし

20世紀初頭のソウルに生まれた李箱(イサン)は、難解で前衛的な作風で知られる韓国の天才作家。その功績をたたえる李箱文学賞は、日本の芥川賞に相当する韓国で最も権威のある文学賞で、大手出版社・文学思想社の主催により、毎年1月に受賞作が発表される。ブッカー国際賞作家ハン・ガン、ウィットとユーモアに富んだ感覚派パク・ミンギュ、著作が映画化されているキム・エラン(ソン・ヘギョ主演『世界で一番いとしい君へ』原作の著者)、コン・ジヨン(コン・ユ主演『トガニ 幼き瞳の告発』原作の著者)など、その受賞者の顔ぶれはK文学初心者の作品選びに役立ちそう。

パク・ミンギュ  ヒョン・ジェフン、 斎藤真理子/訳『カステラ』

『カステラ』
パク・ミンギュ ヒョン・ジェフン、斎藤真理子/訳 クレイン ¥1,870
洒脱なユーモアで、就職難や貧困など社会問題の中にある若者を描く著者初の短編集。李箱文学賞受賞作「朝の門」を含む11作品を収録。

キム・エラン 古川綾子/訳『外は夏』

『外は夏』
キム・エラン 古川綾子/訳 亜紀書房 ¥1,870
今を生きる若者たちの心象風景を描写するみずみずしい感性が魅力的。李箱文学賞受賞作「沈黙の未来」を含む7本の短編を収録。

ユン・イヒョン 古川綾子/訳『小さな心の同好会』

『小さな心の同好会』
ユン・イヒョン 古川綾子/訳 亜紀書房 ¥1,760
’19年に「彼らの一番めと二番めの猫」で李箱文学賞受賞。弱者たちの連帯を、SFやファンタジーの要素を織り込みながら軽快に描く。

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