綿矢りささんに最新作『オーラの発表会』についてインタビュー!

史上最年少で芥川賞を受賞してから18年。綿矢りささんの最新作『オーラの発表会』は、空気を読めない女子大生が主人公の青春小説。“あの頃”の自分を思い出しつつ、親子で読むのもおすすめの一冊だ。
綿矢りささん

空気を読めない女子の心の平安と悩みを書きたかった

19歳で芥川賞を受賞してから18年。着実に作家としての歩みを続けてきた綿矢りささんの『オーラの発表会』は、他人の気持ちを想像するのが苦手で、ひとりで充足できる大学1年生・海松子(みるこ)の不器用な成長を描いた最新作。エクラ読者なら大人の入口に立ったころの自分を思い出しつつ、SNSの使い方が多様な“今どきの子たち”について考えさせられそう。親子で読むのもおすすめの一冊だ。

「海松子のイメージは、クラスにひとりくらいはいた“周囲に流されない人”。空気を読めずにからかわれたりすることがあっても、私はそういう人を“落ち着いていてうらやましい”とひそかに思っていました。ただ海松子の場合、精神年齢が幼少期で止まっている。大学入学を機に親からひとり暮らしを言い渡された彼女は、親のプロデュースをはずれて本来の自分で生きることになりますが、それだと周囲と衝突することに初めて気づくんです」

同じクラスの女子との会話を盛り上げようとして、彼女の口臭から昼食メニューを当てて逃げられるなど、仲よくなりたい気持ちはあるのに裏目に出る海松子。そのマイペースさは唯一の友人・萌音(もね)に「鈍すぎる」といわれるほどだが、萌音もある意味似たタイプ。インターネットをほとんど使わない海松子とは対照的に、SNSの情報を駆使して人気者をまねる彼女は“女子力向上のため”と悪びれない。それゆえ周囲から引かれることもあるのだ。

「若いいとこに取材したりSNSを見たりして気づいたのは、私のころも今も、大学入学後のいろいろな変化についていける子といけない子がいるということ。海松子と萌音は変化についていけない理由も性格も違うけれど、正直さという点でウマが合う(笑)。ふたりがあけすけに言い合うところは、書いていて楽しかったですね」

物語は海松子に近づくふたりの男性の登場で思わぬ展開に。恋愛感情がイマイチわからない海松子が変わるのか、彼らやクラスメートたちとの関係を自分らしく築けるのか、親目線で気になって……。
「海松子は自分らしさが強いけれど、それをつかみきれない。だからあせって“私には特別なオーラが出ている”と思い込むんです。多分自分らしさって簡単にはつかめないもの。海松子もずっと考えていくのでしょうね」

結婚して一児の母になったが、「自分の経験より想像力を大事にして書きたい」とほほえむ綿矢さん。
「ただコロナによる、今まであたりまえだと思っていたことの変化には感じることが多くて。それを直接書きたいわけではありませんが、この時代を生きた人にしかわからない転換点を小説に織り込んでいけたらいいなと思っています」
綿矢りさ『オーラの発表会』

『オーラの発表会』

他人の気持ちを読むのが苦手な海松子は、大学入学後、周囲とかみ合わない。そんなとき幼なじみの奏樹と社会人の諏訪にアプローチされ、人を好きになる気持ちについて考えはじめるが……。女子同士の辛口批評、海松子の両親の親心など、細部の描写も光る青春小説。集英社 ¥1,540

綿矢りさ

綿矢りさ

わたや りさ●’84年、京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒。’01年『インストール』で文藝賞を受賞しデビュー。’04年『蹴りたい背中』で芥川賞を受賞。『かわいそうだね?』で大江健三郎賞を、『生のみ生のままで』で島清恋愛文学賞を受賞。『勝手にふるえてろ』『ひらいて』『私をくいとめて』『意識のリボン』など著書多数。
  • アラフィー女性に読んで欲しい「2021夏の文芸エクラ大賞」

    読書の魅力を発信し、本を手にとる機会を増やしたい」との思いから始まった文芸エクラ大賞も今年で4回目。新型コロナ感染症の流行が続いているが、本の世界ではその影響を受けたものがさまざまなかたちで登場。一方で、現実を離れて浸れる小説や旅の気分を味わえる本も人気で、「どこへでも連れていってくれる本の可能性を再発見!」との声が高まった。自分のペースでできる読書は、身近で奥の深い楽しみ。ぜひあなたの暮らしの一部にしてほしい。

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