【一人暮らしの親のケア】無理をせず「しかたがない」という言葉を大事に

「忙しくて一人暮らしの親に何もしてあげられない」と自己嫌悪に陥ったときの対処法を、専門家がアドバイス。無理をせず、「しかたがない」という気持ちを持つことも大事。
ケアの基本を、3人の専門家がアドバイス!
特定社会保険労務士 池田直子さん

特定社会保険労務士 池田直子さん

いけだ なおこ●あおぞらコンサルティング所長。仕事と介護の両立および企業向け介護支援セミナーを実施。『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(KADOKAWA)監修。
介護作家・ブロガー 工藤広伸さん

介護作家・ブロガー 工藤広伸さん

くどう ひろのぶ●2度の介護離職を経験し、現在は、企業や自治体などでの講演や執筆活動をしつつ、母の遠距離在宅介護を続ける。著書に、『親が認知症!? 離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと』(翔泳社)ほか。
心理学博士 小野寺敦子さん

心理学博士 小野寺敦子さん

おのでら あつこ●’84年、東京都立大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士課程修了。現在、目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授を務める。近著、『女50代のやっかいな人間関係』(河出書房新社)が話題に。

心のケア編

《子の重さ》

自己嫌悪に陥ったら、「しかたがない」という言葉が有効

「忙しくて、親に十分なことをしてあげられないと、自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。でも、無理をしては、心身ともにすり減ってしまいます。親も、そんなことは望んでいないはず。ネガティブな気持ちから解放されるには、『親にとっても、私が元気でいるのが一番』のように、自分なりの“腹落ちする言葉”をもつのが効果的。私はよく、『仕事だから、しかたがない』と、自分に言い聞かせていました。仕事は、強制的に気持ちをリセットする手段にもなるので、たとえ本格的な介護が始まっても、可能なかぎり続けてほしいと思います」(池田さん)

親を世話する気になれず、そんな自分を責めてしまうケースもありそう。「親子関係が良好でないとしたら、いたわる気になれなくて当然です。あまり自分を責めないで。ただ、親子の役割が逆転する時期だという視点はもってほしいですね。親が、子供に頼る時期に入ったのだと認識することで、親への気持ちや行動が、少し変わるかもしれません」(小野寺さん)

親に対するきょうだい間の温度差も悩ましいところだけれど、「状況や立場の違いを認識し、それぞれ得意分野を生かして役割分担を」と、工藤さん。「きょうだい全員が同じようにかかわるのはむずかしいし、その必要もないと思います。話し相手になる係、IT化や手続きに関する作業を引き受ける係、費用面のサポートをする係など、役割分担すればいいのでは? ただし、親がどういう状況かという情報は、共有しておくと安心です」(工藤さん)

子の重さ
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