【一人暮らしの親のケア】親に対する不満解消には、“アンビバレントな関係”である認識が必要

「一人暮らしの親が依存してきて重い」と感じる人や「尽くしたことに応えてくれない」と、不満を抱く人などさまざま。解消するには、親とは“アンビバレントな関係”と割り切ることが大事。
専門家がアドバイス!
心理学博士 小野寺敦子さん

心理学博士 小野寺敦子さん

おのでら あつこ●’84年、東京都立大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士課程修了。現在、目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授を務める。近著、『女50代のやっかいな人間関係』(河出書房新社)が話題に。

心のケア編

《親の重さ》

親へのモヤモヤ解消は“アンビバレントな関係”と認識することから

ひとり身の寂しさや不安からか、なにかと依存してくる親を重いと感じる人もいれば、いろいろつくしているのに応えてくれない親に不満を抱く人も。「今の50歳前後は、趣味に仕事にと、まだまだ忙しい年代。その親世代は、老後は子供、特に娘に世話してほしいと考えている人が少なくありません。また、親の老後は自分がみると思っている子供もいれば、子供に迷惑をかけたくないという親もいるのが、今の時代ならでは。こうした親子間ギャップが、モヤモヤを生み出すのでしょう」と、小野寺さんは分析。

そもそも親子は、「大好きだけど、わけもなく冷たくしてしまう」など、相反する感情を抱きやすい関係だとか。子供は、親の子供であり続けたい気持ちと、独立したひとりの人間だという気持ちの間で揺れ動き、親も、いつまでもかわいいわが子という思いが拭いきれない。そんなふうに、両者が依存と自立の間を行ったり来たりしていると、こうした“アンビバレント(相反)な関係”に陥りやすいそう。

「親子といえども、別人格で、別の人生を歩んでいるわけです。優先すべきは、自分の人生であり、生活。時代も変化しているのですから、古い慣習にとらわれず、第三者の手を借りつつ、無理のない範囲でケアをすればいいのではないでしょうか」(小野寺さん)

高齢者の自立は、今後ますます求められるはず。それをサポートするのも、親のケアのひとつかもしれない。

親の重さ
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