盛岡の受け継がれる伝統が生む普遍のぬくもり 五選

2017年8月5日
受け継がれる伝統が生む普遍のぬくもり、初々しいぬくもり。eclat9月号では盛岡の新世代に受け継がれた老舗ならではの腕前で人々から愛され続ける「古くていいもの」をご紹介。

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1.『光原社』
香(かぐわ)しく凜とした民藝の発信地

掃き清められ、自然の光がたっぷりと注ぎ込む凜とした空間。焼きもの、漆、織物など「作り手の感性や人間性も含めて納得のいくものだけを並べる」という、ピンと一本のすじが通った潔さ。宮沢賢治がその名をつけたという光原社は、夫である先代から店を継いだ及川倭香さんが、全スタッフとともに盛り立てる。民藝を根底とした展示会を年に数回行っており、今秋には新たな試みとしてミナ ペルホネン展(10/29〜11/5)を企画。老舗として守るべき道すじを、しなやかな視点で歩み続ける。

岩手県盛岡市材木町2の18 ☎019・622・2894
10:00~18:00 ㊡毎月15日(15日が土日祝の場合は翌日)
2.『鈴木盛久工房』
藩主とともに時を刻む南部鉄器

1625年、南部家の御用鋳物師として召し抱えられたところから始まる鈴木盛久工房・鈴木家の歴史。無形文化財指定を受け、製作した鉄瓶が記念切手の絵柄となった歴代も。すべて手作業で製作するため、型取りから仕上げまで手をつくす時間は丸2カ月。鉄瓶は月20個仕上げるのがやっとという。まもなく16代盛久を継ぐ鈴木成朗さんは、グラフィックデザイナーとして東京で活躍した経歴をもつことからさまざまなコラボを手がけ、シンプルでデザイン性の高い作品で注目を集めている。

岩手県盛岡市南大通1の6の7 ☎019・622・3809 
9:00~17:00 ㊡日曜
3.『直利(ちょくり)庵』
地粉の風味あふれる老舗そば

暖簾(のれん)をくぐるといっせいに「いらっしゃいませ」の声がかかる。133年の歴史をもつ老舗らしい声の張りとタイミング。のどごしのいいそばに合わせるだしは鰹と鯖ですっきりと濃厚な風味に。名物のわんこそば(19:30LO)目当ての客も多いが、39年前から夏の人気商品となっているのが「つめたい野菜そば」。シャキシャキの野菜とそばのコシに酸味を加えただしがからまり絶妙な味と食感を生む。古くていい店が仕掛ける新感覚のおいしいもの。ここにしかない小粋な清涼感で満たされたい。

岩手県盛岡市中ノ橋通1の12の13 ☎019・624・0441 
11:00〜20:00LO ㊡水曜(祝日の場合は営業)
4.『愛染横丁』
蔵の中でいただく東北地酒

愛染明王の祠(ほこら)がある小道の愛称だった「愛染横丁」。今はそこから細い路地を入ったところにある古い蔵を利用した居酒屋として名を残す。20年ほど前から家族で営む店には、店主のおめがねにかなった岩手や東北の銘酒がそろい、それをかごの中から好みのお猪口(ちょこ)を選んでいただくという仕掛けが楽しい。お酒に合うよう手が施された料理は、岩手の海や山のものを使った家庭的な味。店で交わされる盛岡ことばを耳にしながら、ほんのり酔える大人の心地よさを、横丁で楽しみたい。

岩手県盛岡市中ノ橋通1の3の21 ☎019・651・9052
17:00~22:00LO(土曜〜21:00LO) ㊡日曜、祝日
5.『クラムボン』
自家焙煎の芳醇なコーヒーを

〈クラムボンはかぷかぷわらったよ。〉――宮沢賢治の童話『やまなし』に登場するクラムボン。その不思議な名の響きが子供のころから好きで、そのまま店名に。入口わきにあるのは30年の年月をともにしてきた、手入れの行き届いた焙煎機。焙煎は時間ではなく、目と耳で豆の状態を判断し、青空に突き出た煙突からふわりと白煙が上がるころには、店内も芳醇な香りで満たされる。ひきたての豆を一杯ずつペーパードリップしたコーヒーに「ああ、おいしい」と、無意識に喜びの言葉が口をつく。

岩手県盛岡市紺屋町5の33 ☎019・651・7207
10:00~19:00 ㊡日曜

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