銀座八丁目、資生堂ビルの地下にある「資生堂ギャラリー」で開催されている「うたう仲條 おどる仲條 ―文字と画と、資生堂と」展を拝見しました。
仲條正義さんは、日本を代表するグラフィックデザイナー。東京藝術大学卒業後、資生堂の宣伝部に入社し、生涯長きにわたり資生堂をはじめ、多くのデザインを手掛けられました。2021年に逝去されましたが、今回の展示は資生堂のポスターやパッケージ、アートディレクターを務められた『花椿』など、厳選された代表的作品を見ることができるとのことです。
1階から地下に階段で降りていくと、白いスペースに華やかな展示が広がります。
壁面に飾られているのは、メンズラインの「タクティクス」のポスターでしょうか。80年代のデザインだそうですが、カッコいい! 手前に並んでいるのは、資生堂パーラーの紙袋。これも仲條さんのデザインだったんですね。
仲條さんは、資生堂パーラーのクッキー缶や、人気のチーズケーキの箱も、たくさんデザインされてきたのでした。こうして並んでいるのを見ると、圧巻ですね。どれも強く、美しく、おしゃれで、時代を超えたデザイン。また会場の奥には、仲條さんが長年アートディレクションをされていた『花椿』が展示され、多くの方が手に取って眺めていました。展示されていたのは1982~2011年の花椿でしたが、どれも自由でおしゃれで楽しいこと! リアルタイムで読んでいたのを覚えている号もあり、当時のことを懐かしく思い出しました。
シオヤは資生堂の方々とは長くお仕事をご一緒させていただいてきたので、中には仲條さんのことをよくご存じな方々から、そのお人柄を伺うこともありました。多くの方に敬愛されつつ、2021年に逝去されて今年で5年。仲條さんの生み出されたデザインも、同じようにこの先も愛されていくのだろうと思います。
「うたう仲條 おどる仲條 ―文字と画と、資生堂と」展は、6月28日まで、銀座の資生堂ギャラリーにて開催中です。
さて、6月のある週末、資生堂のもう一つの文化施設に足を運びました。場所は静岡県の掛川市。掛川には資生堂の工場のほか「資生堂アートハウス」という施設があります。 こちらの写真の左側に映っている円形の建物が、それです。こちらが6月27日で閉館されると聞き、最後の展示を拝見しに伺いました。
「資生堂アートハウス」は、1978年に開館。建築家の高宮眞介氏、谷口吉生氏が設計し「日本建築学会賞(作品)」を受賞した、建物そのものがアートピースのような施設です。入口には資生堂書体で館名が記されています。
今回、新幹線に乗って掛川までやってきたのは、開催中の展示「小村雪岱 -江戸を夢見る-」が一番の目的でした。小村雪岱(こむらせったい 1887~1940)は、
大正から昭和にかけて活躍し、資生堂意匠部に所属していたこともある、資生堂と縁の深い美術家です。先ほど「資生堂書体」と書きましたが、今でも使われているこの美しい書体を作るのにも関わっていたのだとか。
シオヤは以前、都内の美術館で行われていた展覧会で、雪岱の日本画や装丁、舞台美術などを拝見し、その洗練された表現に深い感銘を受けました。
今回は資生堂が所蔵する作品が展示されているとのことで、とても楽しみにしてきたのです。
入口から入ると、印象的な黒い階段があり、上った先をぐるりと囲むガラスの向こうには美しいグリーンのお庭が見えます。
数週間後に閉館するとのことで、多くのお客様が訪れていましたが、この日は大混雑!というほどではなく、ゆっくりと落ち着いて作品を見ることができました(作品の写真を撮っておらず、恐縮ですが……)。
もう一つの展示「工藝を我らにセレクション 2026 -美しく暮らす、四季のしつらえ-」も楽しく拝見しました。若い頃よりも、用の美、工藝の愉しみをずっと身近に感じられるようになったのは、エクラ世代になったからでしょうか(笑)。
お土産もいくつか買いました。実は資生堂のデザインを用いたカードや文房具は、シオヤはいろいろ既に持っているのです……(素敵すぎて、もったいなくて使えていない)。が、可愛さに抗えず、クリアファイルとレターセットを購入。
購入したお土産を入れてくださったカッコいいブルーの袋には、アートハウスと並んで、すぐそばにあり11月に閉館した企業資料館の名が。アートハウスは閉館後、建物もお庭も残されるそうですが、素晴らしい施設がなくなるのは、ちょっと寂しいですね……。今回、閉館前に掛川へ行こう!と決めてから、その話を資生堂の方にすると「私も見に行きたいんです!最後じっくり見てきてくださいね」とお声をかけていただいたりして、社内外の多くの方から愛されてきた場所なんだなということがよく分かりました。
さて、2022年の12月から126回にわたり連載させていただいたこの編集長コラムも、シオヤの担当は今回が最後です。約3年半の間、拙い文(と写真も)を読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。30年以上女性誌の編集をしてきましたが、署名原稿でコラムを書くのは初めて。最初は試行錯誤でしたが、コラムを通して新たなトライをしたり、多くの方と出会うこともでき、とても貴重な場所でもありました。
皆さま今後とも、Webエクラをどうぞよろしくお願いいたします!