常にアップデートしている京都の街だが、この2〜3年で変化の速度がさらに上がった。歴史的エターナルな魅力はそのままに、私たちの好奇心をさらに刺激してくれる新しいアドレスや、魅力的なコンテンツが増え、旅のスタイルまでも変化しつつある。2022年秋、新たな京都と自分を見つける旅へご案内。
【泊まる】大人の女性におすすめの京都ステイ
京都通は「郊外」に注目
街なかの喧騒を離れ、静かでゆっくり過ごす京都郊外に注目が集まっている。今話題の新生ホテルで養生する新しい京都を味わえる、八瀬の宿。
八瀬を感じ、疲れた心身を清め、解放、そして再生できる宿
moksa
歴史ある保養の地で自然、サウナ、食、お茶ざんまい
『moksa』とは梵語で「解脱」や「解放」の意。現代の暮らしに疲れた身と心を清め、生まれ変わるような体験をしてもらいたいという思いがこめられている。一歩中に入ると、ミニマルでナチュラルな空間が広がり、現代作家のアートや周辺の自然が温かく包み込んでくれる。滞在はフロントに隣接する「帰去来(ききょらい)」でお茶をいただきながら気をめぐらせることから始まる。
部屋や庭園でゆっくり過ごすのもいいが、おすすめは完全予約制のプライベートサウナ「蒸庵(じょあん)」。八瀬のかま風呂という日本最古の蒸湯文化を受けてつくられた施設で、サウナ愛好家の間で聖地と称される『サウナしきじ』の娘、笹野美紀恵氏が監修。そのことを知って訪れたゲストの中には1泊で全サウナを体験した人もいるそう。
心身のリセットはレストラン「MALA」でも体感でき、八瀬に伝わる小原女から着想したという薪焼きと大原の野菜はいずれも味わい深く、期待を裏切らないおいしさだ。
心身を清めた古人のごとく、豊かな自然や土地の力を取り込む八瀬で、新しい京都の楽しみが見つかるはず。
雄大な自然に包まれ、ホテルから瑠璃光院までは徒歩2〜3分。比叡山にも近く、叡山ケーブル八瀬駅からケーブルカーを乗り継いで山頂まで行くことができる。1時間程度で往復できる大原までのハイキングもおすすめ
プライベートサウナ「蒸庵」は八瀬の小原女文化を象徴する炭をイメージした「炭蒸」など、全3室。サウナ室と水風呂に炭を使い、全サウナの水風呂は比叡山の地下水を使用
大原の厳選した食材と新鮮な野菜を中心に、プリミティブな薪火料理を楽しめるレストラン「MALA」。カウンター、テーブル席、個室があり、料理でも心身を内外から蘇らせる体験ができる。
夕食のメインは「京赤地鶏・赤玉ねぎ・トマト」のほか、近江牛フィレ肉を選ぶことも(+¥12,000)。食事中のドリンクも宿泊代に含まれる
朝食は写真の和朝食、湯葉とゆずのお粥がメインの養生朝食、洋朝食の3種類。ごはんや味噌は大原産、平飼いたまごは宇治のものを使い、おかわり自由。
客室は全31室。高野川と日本庭園に面した部屋がある
Data
京都市左京区上高野東山町65
☎075・744・1001 1泊2食つき(ホテル内の飲み物、夜食を含む)¥77,000〜(2名1室利用時)
プライベートサウナ「蒸庵」は完全予約制。1組90分利用で¥13,200〜(最大3名)。
京都ステイの楽しみ方が変わる宿
ここ数年で京都のホテルは選ぶのに悩むほど急増し、ホテルの中でもゆっくり京都を感じられるアドレスばかり。ホテルを変えれば好奇心が刺激され、旅の味わいもより深く、広くなる。大人の女性におすすめの最新アドレスをご紹介。
祇園の白川沿いで現代美術に浸るプライベートなステイを
THE SHINMONZEN
石畳の道に町家が並び、京都らしい情緒がある祇園白川あたり。観光で「行く」だけだった祇園に、今度は「泊まる」旅、しかもラグジュアリーに滞在する旅がしてみたい。新門前通は、明治時代から続く古美術商が多く立ち並ぶ通り。その白川沿いに’21年末に開業した『THE SHINMONZEN』は、スイートルームが9室のみの隠れ家的なホテルだ。
京都の中心でリゾートのようにリラックスできる時間
建築設計は安藤忠雄、内装はフランス人デザイナーのレミ・テシエ。オーナーは、京都の古美術を愛し続ける世界的な美術コレクター。南仏にある『ヴィラ・ラ・コスト』の姉妹ホテルとして、10年以上かけて新門前通に理想のホテルを開業した。
広々としたスイートルームには、欅(けやき)材や大理石など上質な天然素材が用いられ、アメニティにもこだわりがあり、すべてが五感を贅沢に満たしてくれる。客室やパブリック空間にさりげなく配された数々のアート作品が、著名な現代美術作家の作であることにも驚くはず。
モダンフレンチの巨匠ジャン・ジョルジュ・ヴァンゲリスティンが手がけるレストランは、11月に本格開業予定。それまでは、テイスティングメニューをラウンジでいただくことができる。
新門前通の古美術店を訪問する際には、コンシェルジュが個別に案内してくれることも。ホテル内では世界レベルの現代美術と食とに満たされ、周囲の古美術で審美眼を養う、ちょっと大人の京都時間を過ごしてみたい。
ラウンジのテラスでは、オーナーが南仏に所有する畑で産するビオワインを味わって
9室の客室のうち7室には、檜の浴槽が備わっており、お風呂時間も大充実
玄関ののれんをくぐると、別世界へと誘いざなわれるような通路が続く、コンクリートを用いた安藤建築
ベッドルームが畳素材敷きで、イワタ製のオリジナル布団を備えるスイートも。ベッドと布団の中間くらいの、心地よい寝心地。
建物は、外からは2階建てに見えるけれど実際は4階建て。京都の伝統的な建築にのっとった造りだ。4階の客室「SUISHO」には、新門前通を見下ろすテラスも設けられている。陰が心地よい。
リバーサイドテラスからは、白川沿いの巽橋付近がすぐそこに
Data
京都市東山区新門前通西之町235
☎075・533・6553 全9室
¥130,000〜(2名1室利用の1泊料金、朝食、税・サ込、宿泊税込)
新旧の建築、豊かな食を紡ぐ今話題のエリアで新しくて懐かしい滞在を
丸福樓
話題のオールインクルーシブであれこれ悩まずに自由に楽しめる
1880年創業の任天堂の発祥地に今年4月に誕生したホテル。事務所と創業家・山内家の住居などがあった旧本社社屋を客室などに改装し、新築の宿泊棟ともども安藤忠雄氏が設計監修。既存の建物は当時の様式や内装を残すレトロなインテリア、新築棟はシンプルでモダンな空気感や機能美がきわだち、客室の延長として設けられたライブラリーやラウンジも独創性あふれる空間だ。宿泊は、食事とドリンクフリーのオールインクルーシブプランがおすすめ。料理家・細川亜衣さんが監修する夕朝食や軽食、夜食やバーを好みのスタイルで楽しめ、ホテルの中ですべてが完結する。チェックアウトまでずっとホテルにこもって過ごす人が多いというのも納得がいく。
細川亜衣氏監修のディナーの前菜「魚の幸のサラダ」。季節の食材を生かした「新しい日本の洋食」がコンセプト
安藤忠雄氏が手がけた新築のレジデンシャルスイート。客室は全18室あり、すべて内装や調度品が異なる。
新築の客室内には設計した安藤氏のサインが
Data
京都市下京区正面通加茂川西入ル鍵屋町342
☎075・353・3355 1泊3食つき(飲み物や夜食を含む)¥75,000〜(1室2名利用時)、朝食のみのプランも。レストラン「carta.」のビジター利用はHPで告知。
町家の風情とホテルの機能性が共存する暮らすように過ごせる宿
nol kyoto sanjo
利便性がいいのに、静か。京都の日常をカジュアルに過ごす
伏見の日本酒造「キンシ正宗」の販売所として使われた町家を改修した建物が通りに面してあり、その奥の宿泊棟は増築されたもの。3タイプある客室は快適なヒバ材の風呂、電子レンジ、洗濯機を全室に備え、室内は長期滞在しても疲れない和の要素を取り入れたモダンなインテリア。今と昔、日常と非日常の間にある心地よい時間を醸し出し、宿泊者限定のラウンジも快適にしてもとの面影を残す。夕方はキンシ正宗をフリーで楽しめ、朝食は地元の仕出しで対応。滞在するうちに京都を体感でき、心地よさが増す。
建物外観はそのまま残し、宿泊者専用のロビーとして活用。客室は全48室
客室の一角に丸いヒバの浴槽を設けたコンパクトな「壺湯スーペリア」。
50㎡の「坪庭スイート」。町家の趣とホテルの機能性を両立させ、畳の部屋も
Data
京都市中京区堺町通姉小路下ル大阪材木町700
☎075・223・0190
1泊¥21,000〜(1室2名利用の1室料金※9月3日現在の10月料金)、朝食つきのプランもあり、「湯葉丼とおばんざい」は1人¥2,970。要予約
ラウンジやメディテーションルームも。ホテルで過ごす楽しみが満載
ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 京都
アクセスも居心地もいい大人の女性のリアル上質がここに
天井から床まで広がる窓は、開放感たっぷり。白やグレートーンの落ち着いた色使いも素敵。レジデンス調の雰囲気ある客室に、比較的リーズナブルに滞在できるのが、’22年4月に開業した『ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 京都』。烏丸御池駅から徒歩約2分という利便性はもちろん、ホテル内の施設やサービスが充実しているのが魅力だ。2階のラウンジはすべての宿泊者が利用できて、午後は「サダハル・アオキ・パリ」のスイーツを、夕方から夜は、「シンクロニア ディ シンジハラダ」によるアペタイザーやアルコールを含む飲み物を自由に楽しめる。大浴場のほかに、個性ある2つのメディテーションルームもあり、ホテル内で過ごす時間を大切にしたくなる。
コーナーバルコニーの客室は、開放感たっぷりの角部屋。バルコニーにも出られ、祇園祭の巡行時には特等席にもなる。
ラウンジを使いこなして滞在を楽しんで。
ミストが満ちるメディテーションルーム「blank」。大浴場のあとや朝活にも利用してみたい
Data
京都市中京区東洞院通御池上ル船屋町420
☎075・241・1110 全125室 スタンダード¥21,600〜、コーナーバルコニー¥52,000〜(2名1室利用の1泊1名料金、朝食つき、税・サ込、宿泊税別)
京都のリノベホテルや個性派ホテルに注目
新次元に入った京都のホテル選び。ビジネスホテルに泊まって、観光しまくり、という従来の“あくせく型”から、個性あるホテルを使いこなす“体験クリエイト型”の京都旅へ。京都通のトラベルライター2人が注目のホテルをピックアップ。
ふふ 京都
南禅寺や京都市京セラ美術館にも歩いてすぐ、琵琶湖疏水の近くに’21年4月開業。街に溶け込むような外観で、疏水からの水を引き込んだ日本庭園は、しっとりした趣がある。全40室に檜風呂の温泉つき。
ホテルオークラ京都 岡崎別邸
修学院離宮にインスピレーションを受けたシンプルで気品ある建築。「GO ON」や京都を拠点とする気鋭作家の工芸品や意匠で満たされた、大人の隠れ家だ。開業は’22年1月。8月からラウンジで宿泊者限定フリーフローのサービスを開始。
すみや亀峰菴
嵐山からトロッコで終点亀岡駅へ。そのまま送迎車で行ける、湯の花温泉を代表する歴史ある温泉旅館。アートルームのほか、ロビー&ギャラリーも現代美術家の柳幸典が手がけた空間。オーストリアワインが多彩にそろう宿としても知られている。
ⒸHayato Wakabayashi
ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts
地下鉄の北大路駅からタクシーで約15分。市街地からすぐなのに、鷹峯の山々を見晴らすロケーションは、まるで高原リゾート。“アナザー京都”を満喫できる。プールも一部の客室も温泉。’21年9月開業
ザ・ホテル青龍 京都清水
明治2年開校、昭和8年に現在の地に移転新築された清水小学校を、ヘリテージホテルに改築。館内には小学校時代の面影を残し、歴史や文化を体感できるのも興味深い。別棟に、ビストロ「ブノワ 京都」もあり人気。’20年3月開業。
Genji Kyoto
五条の鴨川沿いに、’22年4月開業したラグジュアリアスなブティックホテル。19室の客室には、和の意匠や素材が用いられ、リラックスできる畳スペースもある。ラウンジで提供する料理や飲み物は、客室でも屋上のスカイ・フォレスト・ガーデンでも好きなところで気ままにいただけるのが人気。
HOTEL THE MITSUI KYOTO
二条城のすぐ目の前、豪商三井家ゆかりの地に立つラグジュアリーホテル。品格と落ち着きのある空間と確かなサービスには定評がある。10月からシグネチャーレストラン「TOKI」が、コンセプトも新たに登場。’20年11月開業。
アマン京都
洛北の閑静な森にたたずむ『アマン京都』。通常は訪れることのできない寺院を訪れたり、庭で日本画家から絵の手ほどきを受けたり、とゲストだけに許された一生の思い出に残る体験を提供する。ヘリコプターでの京都上空遊覧も人気。
トラベルライター。エクラでも連載ホテル情報ページを担当。長年にわたり、国内および海外の旅やホテルに関する取材を続けている。京都では、琵琶湖疏水から高瀬川あたりの「水」にまつわる土地が好き。
●西村晶子
関西在住ライター。京都をはじめ主に関西方面の旅や食の記事を手がける。確かで上質な審美眼で、老舗料亭から話題の新店まで、信頼が厚く、長年エクラ京都取材班の中心的メンバー。
【買う】とっておきの掘り出しものと出会う
一生もののヴィンテージグラス
世界中から集まる「美しい器」との出会いも京都で過ごす醍醐味のひとつ。なかでも繊細な細工や華やかな色をたたえた、ヴィンテージグラスとの一期一会はそれだけを旅の目的にしてもいいくらいの一生ものの体験に。
毎日の暮らしを豊かにするアートのようなグラスたち
ギャラリーグレース
バカラやロブマイヤーをはじめ、19世紀から20世紀半ばのヴィンテージグラスをそろえる。「かつての品は貴族の注文が中心で、今よりずっと贅沢なつくりでした。現代の技術ではつくれないクオリティやストーリーをもつものに惹かれます」と店主の小寺志乃さん。シンプルなタンブラーにもエッチングやエナメル絵付けが施され、ぱっとまわりを華やかにする存在感がある。「飾って眺めるだけでなく、近ごろは実用の時代に。ヴィンテージグラスは日常にも使えるアートなんです」。
イニシャル入りのタンブラーは19世紀のバカラやサンルイ、¥30,000〜¥40,000。イニシャルとの出会いは一期一会。ねらったものがあれば迷わず手に入れたい。
Data
京都市東山区新門前花見小路東入ル2の245
☎075・561・7770
11:00〜18:00
㊡火曜
先代が営む日本や中国の骨董から、1989年西洋骨董を扱う『ギャラリーグレース』に。グラスのほか1920〜30年代のアールデコの照明も扱う。
ミニマルな機能美の存在感。北欧からのヴィンテージ
ビージェネレイテッド 寺町店
家具や照明から、テーブルウエアまで、店主の岩井芳樹さんが自らの足で買い付けた北欧ヴィンテージが広い店内にぎっしり並ぶ、北欧好きにはたまらない空間。岩井さんがそろえるガラスは1950〜60年代にフィンランドでつくられたものが中心。なかでもタピオ・ヴィルカラ、ティモ・サルパネヴァ、カイ・フランクのデザイナー作品に惹かれるという。「装飾性を排除した美しいシルエットデザイン。カラフルな色合い。研ぎすまされたフィンランドデザインがなによりの魅力です」。
カイ・フランクのデザートボウル#1369はガラスボウルとチークのソーサーがセット。1955〜67年の生産。各¥25,000
カルティオなど現在まで受け継がれているシリーズも、かつては職人によるマウスブロウでつくられていたため薄さや微妙な揺らぎをもち、味わいをもたらす。ニュアンスのある色使いも特徴的で心惹かれる
Data
京都市中京区永楽町234 SKビル2F西側
☎ 075・708・2378
13:00〜18:00(土・日曜、祝日〜20:00)
㊡水曜
営業時間以外でも対応可能な場合あり、問い合わせを。予約制の宇多野福王子店も。2002年に創業。寺町店は2020年から稼働。
圧倒的品ぞろえでフランス文化を伝えるきらめくテーブルウエア
アンティックかとう
「ハンドグラヴィールの繊細さやカットグラスの輝きの美しさとともに、1930年代のフランスのテーブルの上を想像させ、食文化をも伝えられたら」と店主の西野みさをさん。ガレやドームといったアールヌーヴォーから、ボヘミアのガラスをそろえる中で、種類や形も豊富にそろうのがバカラだ。ジャポニズムの影響を受けた19世紀のオールドバカラから、日常使いしやすいもの、ミュージアムピースのようなアートピースまで。ビギナーでもコレクターでも心わく空間。
エナメルの絵付けやカットなど、美意識が凝縮するリキュールグラスは旅先でも求めやすい。¥13,200〜¥35,200
Data
京都市東山区新門前通梅本町258
☎075・561・1580
10:30〜18:00
㊡火曜
2階にはルネ・ラリックを扱う「ギャルリーオルフェ」がある。ヴィンテージグラス のほか、マイセンの陶磁器やティファニーのシルバーなどもそろう。
オーナーのこだわりが光るセレクトショップ
長い時を経てきた町家をリノベーションし、新たな息吹を吹き込んだ新ギャラリーたち。そこに並ぶ厳選された手仕事のもつ力を感じて、店主のつくり上げる世界観に感性を研ぎすますひと時を過ごして。
生活を彩る器と“リペア”の精神。京都に受け継がれる美を見つめる
ヌヌカライフ
御所西の名店『SHOP & GALLERY YDS』が10周年を機に屋号と拠点を一新。哲学の道に近い古民家でリスタートした。「今は京都という足もとをしっかり見つめたいと、京都ゆかりの職人の手仕事を中心にセレクトしました。同時に器のお直しや、20年の経験をもつ染物屋の仕事、空間リフォームも手がけていきたい」と店主の高橋周也さん。土や蕎麦殻のディスプレイも印象的な空間で、新たな世界の扉を次々と開く存在に。
YDS時代から引き続いて扱う鶴野啓司さんの器を手にする高橋さん。築80年ほどの家をリノベーションし、写真の2階のほか土間と砂で彩られた1階も展示スペースに
古民家のたたずまいが作品を引き立てる。やかんは非売品。器は鶴野啓司さんの作品
Data
京都市左京区浄土寺南田町10
☎075・708・8369
金・土曜のみ11:00〜17:00 それ以外は予約制で営業。
展覧会中は〜18:00。10月22日〜30日は陶芸家・山極千真沙展を予定。
京都とフランスの感性が融合し、美意識が満ちる新たなサロン
ア リトル プレイス
庭師であり骨董コレクターでもある成井大甫さんと、30年にわたりパリを拠点に衣食住のバイヤーとして活躍してきた宇佐見紀子さん。ふたりがタッグを組み、ギャラリーを構えたのは端正な町家だ。そこに並ぶのは花器を中心とする古物、苧麻(ちょま) の絣(かすり)を洋服に仕立てたコレクションなど、時を経て輝きを増してきたものたち。美がちりばめられた空間では、茶道家による呈茶や花の会などイベントもさまざまに開催され、サロンとしての役割も果たす。
成井さんが選ぶ古物は「名のあるつくり手ではなく、人の目人の手をくぐって大切にされてきたもの。琴線に触れるものであれば空き缶でも」
「MAISON HERMÈS」にて活躍してきたロラン・ステファンによる「ACCALMIE Laurent STEPHAN」の革製品も扱う。バッグ¥500,000〜。抹茶碗は成井さんの見立て
成井さんが敬愛する華道家・西川一草亭と画家・津田青楓の生家だった町家。手を加えすぎることなく空間を整え、庭には骨董の鳥も
Data
京都市東山区新門前花見小路東入ル2の245
☎075・561・7770
11:00〜18:00
㊡火曜
先代が営む日本や中国の骨董から、1989年西洋骨董を扱う『ギャラリーグレース』に。グラスのほか1920〜30年代のアールデコの照明も扱う。
【体験する】心と体を整える
早朝の坐禅や、特別公開のお寺、ここにしかないトリートメント。せわしない毎日に疲れた心と体を癒し、活力を与える京都ならではの「整え儀式」に身をゆだねて。
体をほぐして陰陽を整える爽快感もひときわの坐禅時間
大徳寺 大慈院の朝座禅
住職の戸田惺山さんは天龍寺僧堂で禅の修行とともに東洋医学を学んだ経歴から、心と体の両方を整える坐禅を提案。「心のモヤモヤは体を力ませます。体をほぐすことで呼吸が深くなり、心の落ち着きをもたらします」と戸田さん。ストレッチをはさんだ2回目の坐禅では、よりいっそう、静かな気持ちになれるはずだ。
大きく枝を伸ばした羅漢槇と苔が美しい庭を眺めながら坐禅とストレッチを行う。ストレッチは想像以上に本格的。動きやすい服装で
坐禅のあとは、参加者にお茶が振る舞われ語り合う茶話の時間。戸田住職の話に耳を傾けたい
Data
京都市北区紫野大徳寺町5
☎090・1144・2355 通常は非公開。
朝坐禅は戸田さん不在時以外、毎朝6:00〜8:00ごろ開催。
日曜坐禅8:00~。前日までに問い合わせを。
体験料¥1,000。ほかZoom坐禅などもあり、詳細はHPで。
サーマルスプリングと陰陽五行で、京都ならではのスパ・ジャーニー
HOTEL THE MITSUI KYOTO
THERMAL SPRING SPA
二条城に面し、三井家ゆかりの地にあるラグジュアリーホテルの大きな魅力は敷地内に湧く天然温泉。地下に設けられたサーマルスプリングSPAは、水と石の空間で心と体を癒す。SPAトリートメントは陰陽のバランスを整える陰陽五行の思想に基づくボディケアや、日本のあんま技術から発展したフェイシャルと、フランス・ビアリッツのオーガニックコスメブランドなどを組み合わせる独自のメニュー。東洋と西洋が融合するトリートメントを、歴史ある京都の地で楽しみたい。
日本初上陸のアラエナを使ったシグネチャーリチュアル by Alaena 90分¥46,800(税・サ込)
石垣が二条城を思わせる坪庭のあるトリートメントルームは地下とは思えない開放感。シングルとツインがある
Data
京都市中京区油小路通二条下ル二条油小路町284
☎075・468・3125(スパ予約)
10:00〜22:00(最終受付はメニューにより異なる)
無休
時シグネチャージャーニー90分¥33,000(税・サ込)。
ビジターはスパの利用でサーマルスプリングの利用が可能に。
手技と香りによる自然療法で心もほぐすヘッドスパの時間
kokyu
明るい街並みから一転、非日常へ誘う町家の趣ある空間。用意されているのは、東洋の手技やアロマテラピーを合わせた自然療法によるヘッドスパだ。メニューは「呼吸スパ」のひとつのみ。ヘッドスパでありながらガウンに着替えるのは、手や足のツボ刺激マッサージも行われるから。「深い癒しをもたらすには、体をほぐすことが大切」とセラピストの中馬さん。頭部はお湯で優しく刺激する頭浸浴もあわせて効果を高める。体の隅々までほぐされ整う、そんな時間が満喫できる。
トリートメントには、TOKIO、SHIGETA、OWAYのオーガニック系ブランドを組み合わせて使用する
足湯から始まり、好きな香りを選ぶアロマカウンセリング、フットマッサージ、ハンドマッサージ、頭皮のクレンジング、シャンプー、頭浸浴、ヘッドマッサージ、ドライと続く。施術中は温めたストーンをおなかに置き、内臓の動きも活性化
Data
京都市中京区布袋屋町509の2
☎075・256・1005
11:00、13:30、16:00、18:30の予約制
㊡火・水曜
呼吸スパ(120分)¥15,000
1階は循環がテーマの古物のアートギャラリー「kokyu kyoto」
11:00〜19:00
㊡火〜木曜
狩野永徳・松栄筆の障壁画を描かれた当時の姿で見る喜び
大徳寺 聚光院の特別公開
千利休の菩提寺でもあるこの寺院が有するのは、桃山時代の天才絵師・狩野永徳とその父・松栄による本堂障壁画46面だ。ダイナミックにして繊細な永徳の世界に浸り往時に思いを馳せたい。同時に公開されるのは、’13年に奉納された日本画家・千住博さんの障壁画「滝」。現代の襖絵も圧巻。
舞い降りた鶴が描かれた「花鳥図」は本堂室中に描かれている。「琴棋書画図」とともに永徳24歳の作品。天才とされながら現存する作品が少ない永徳だけに貴重な機会となる
書院を彩るのは構想から16年の歳月をかけて完成した「滝」。鮮やかなブルーと水の白とのコントラストが美しい
襖絵が納められた本堂は重要文化財に指定されている
Data
京都市北区大徳寺町58
☎075・231・7015(京都春秋)
〜’23年3月26日 10:00〜16:00受付(毎時00分、20分、40分のツアー形式)
拝観休止日あり
拝観料¥2,000
【食べる】京都在住のライターおすすめグルメスポット
ライター・天野準子さんおすすめ
街なかからも近い注目エリアには、ホッピングも楽しい実力店が続々
河原町松原散策
「今、行くべきは四条より南。四条河原町から歩いて5分ほどの河原町松原に店が増えています」(天野さん)。’21年の大晦日に登場した『suba』を皮切りに人気店が続々と登場。「ほかにも夫婦そろって名店出身のベーカリー『Slō』や、人気ブラッスリーが始めたフランス式ハンバーガー『バーガーイレブン』など、まさに新店ラッシュ! 行くたびに新しい何かが見つかります」(天野さん)。
ともみジェラーto
イタリア修業を経て開業した店主の森兼ともみさんが作るのは、「素材の味がダイレクトに伝わるジェラート」(天野さん)。定番のミルク以外は、日本各地から取り寄せる旬の果物や野菜を使った季節の味がそろう。4種のジェラートと果物を使った本日のパフェは¥2,000〜。ジェラートはすもも¥660、きゅうり¥550など常時12〜13種類がラインナップ。
Data
京都市下京区西橋詰町759 KAKIZO河原町五条ビル1F
☎なし
13:00〜20:00(2階イートインは19:30LO)
㊡水・木曜
suba
『炭火焼く鳥 ソリレス』やフルーツサワーが名物の『sour』系列の最新店は、京都では珍しい立ち食いそば。京春菊天¥700、温泉玉子トッピング+¥100など個性ある具材と力強いだしのそばは、新世代を感じる上質さ。さらにインパクトを残すのはテーブルや丼などのひそかなアート作品。「テーブルは100万超えの工芸品。東京でも話題に」(天野さん)。
Data
京都市下京区木屋町通松原上ル美濃屋町182の10
☎075・708・5623
12:00〜20:00
不定休
大鰐温泉もやしなどの季節メニューも。
ライター・大和まこさんおすすめ
ミッドセンチュリーのモダニズム建築の傑作に浸る
NIWA café
日本初の国際会議場として1966年に建てられた「国立京都国際会館」は丹下健三に師事した建築家・大谷幸夫による設計と、剣持勇による家具や室内装飾で知られる名建築。「国際会議ではロビー活動の場として使われるというラウンジは、会議場同様に凝った内装。2020年からはカフェとして広く利用が可能になって、建物や空間の魅力を満喫できるように。剣持勇の代表作のひとつ、六角椅子に実際に座れるのも贅沢です」(大和さん)。
Data
京都市左京区岩倉大鷺町422国立京都国際会館1F
☎075・705・2111
10:00〜17:00(16:30LO)
不定休
利用できるのは月に数日のオープンデーのみ。HPで確認を。
京みやげの新定番はこれ!予約困難な人気店の調味料たち
名店の調味料
思いたって足を運んだ京都では、予約をとるのがむずかしい料理店も多い。とはいえオリジナルの調味料を手に入れれば、食卓に“あの味”が再現できる幸せが待っている。「季節によって青と赤の2種類がある『食堂おがわ』の柚子胡椒。トマトにかけるだけでもいい『ブランカ』のヤムダレ。『茶楼 ファームーン』の香辣醤は炒め物にも。『じき宮ざわ』の薄垂惣酢は、まさに和食のためのソースと思える上品さに驚きます」(大和さん)。
食堂おがわ
食堂おがわの 脳天逆落し 柚子胡椒 ¥1,100
Data
京都市下京区木屋町通四条下ル船頭町204
☎なし
受け渡し時間12:00〜21:00
㊡水曜、毎月最終火曜
辛味もしっかり。店では鶏の唐揚げに添えられる。
ブランカ
Data
京都市中京区御幸町通三条上ル丸屋町334
☎075・255・6667
18:00〜23:00
㊡日曜、祝日
ナンプラーに数種のハーブを合わせた、味の決め手のオリジナル。
茶楼ファームーン
茶楼 ファームーンの 香辣醤 ¥1,500
Data
京都市左京区北白川東久保田町9
☎なし
11:00〜17:00
㊡月〜木曜
料理人・船越雅代さん作。一休寺納豆や黒酢、花椒などが入る。
じき宮ざわ
Data
京都市中京区堺町四条上ル東側八百屋町553の1
☎075・213・1326
12:00〜13:45最終入店、18:00〜20:00最終入店
㊡水曜不定休
上品な味のソース。
ライター・小長谷奈都子さんおすすめ
イタリアンの名店が展開する、グロサリーで食材を手に入れる
manina
京都を代表するイタリアン『cenci』が展開する食材のセレクトショップ。「オーナーの坂本健さんは生産者とのつながりをとても大切にするかたで、レストランで使っている思い入れのある食材や調味料を扱っています。ここのオリーブオイルやバルサミコ酢で料理をすると、料理の腕前が上がったのかと錯覚するほど。お菓子とお茶のペアリングイベントや、不定期で発売されるシュークリームなど、今目が離せない一軒」(小長谷さん)。
オーガニックグラノーラ アマゾンカカオ 200g ¥1,500
イラストレーター・ハヤシコウによる、タイベック素材のオリジナルエコバッグ¥1,900
Data
京都市左京区難波町211の5
☎なし
11:00〜16:00
㊡月・火曜
営業日はInstagram@manina_cenciで確認を。
食のクリエーションを体感し、体を内側から整える菜食料理
美素食
素食研究家の松永智美さんが台湾で学んだ素食をベースに、精進料理や旬の食材を融合。新たに作り上げた食の世界を体験するサロン。「紹介制や曜日限定などエクスクルーシブ感のあるお店も増えていますが、こちらは『美素食』のサロン。南禅寺など東山の名刹を一望するアトリエで、体を内側から清め、心を穏やかにしてくれる菜食料理をいただけます。内装や器使いにも松永さんの美意識が満ちて、感性が刺激されます」(小長谷さん)。
Data
住所・電話非公開
問い合わせはメール(meisushi.art.eat@gmail.com)で。
美素食会、イベントなどはHP https://meisushi.official.ec/Instagram@meisushi_kyotoで告知。
料理は¥11,000〜。営業日時は応相談、人数は8名まで。
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ライター・西村晶子さんおすすめ
西洋アンティークと布の世界を町家で存分に楽しむ
DEN PLUS EGG KYOTO
“エイジング”を楽しむ住まいを提案する「DEN PLUS EGG」が京都に展開するショールーム。大正時代に建てられた町家は手を加えすぎることなく改装され、ヨーロッパの家具や雑貨が調和する世界観を伝えてくれる。「現地で買い付けたアンティーク雑貨、リトアニアのリネンなどを扱い、暮らしを彩るカーテンや家具、小物に出会えます」(西村さん)。
テキスタイルショップ「FLUFFYAND TENDERLY」も併設。イギリスの染織家、キルステン・ヘクターマンの手染めベルベットクッションなど、ここにしかない出会いも。
「FLUFFY AND TENDERLY」にそろうリネンはニュアンスカラーが美しい。カーテンやベッドリネンをオーダーできる
リネンを使ったオリジナルハンカチーフやキッチンクロスは色も豊富にそろう。
キルステン・ヘクターマンによる半貴石を使ったジュエリーやマドエレンのルームフレグランスなども
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京都市中京区橘町616(押小路通麩屋町東南角)
☎075・741・6508
12:00〜17:00
㊡火〜木曜(営業日変更の場合あり。http://www.denplus.co.jpで確認を)
空間を共有するかたちで「FLUFFY AND TENDERLY」があり、オーダーなどの相談も。
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