京都のリノベホテルや個性派ホテルに注目!新しい「ホテル選び」をトラベルライターが対談【前編】

新次元に入った京都のホテル選び。ビジネスホテルに泊まって、観光しまくり、という従来の“あくせく型”から、個性あるホテルを使いこなす“体験クリエイト型”の京都旅へ。京都通のライター2人が「京都のホテル選び」を語る前編は、注目エリア岡崎にニューオープンしたホテルや、話題のリノベホテルなどをピックアップ。

今、注目したい滞在エリアは文化施設も多い岡崎

坪田三千代(以下T) この数年、京都には個性あるホテルがたくさんオープンしています。個人的にお気に入りは『THE SHINMONZEN』。古美術の街に溶け込むように造られた物語性が素敵。世界的なホテルのトレンドである“ナラティブ”なホテルです。

西村晶子(以下N) 関西在住者としては知人にホテルをおすすめする際には、まず場所を重要視します。最近は、街なかにこぢんまりとした素敵なホテルができてきましたね。『nol kyoto sanjo』は、街なかの堺町通にありますが、夜も静かでゆっくり休めます。

 以前は、ホテルは夜に寝るだけのところで、昼間は観光、夕食は懐石、といったパターンでした。今、旅上手な人は、自分が京都でしたい体験や過ごしたいシーンに合わせて、ホテルや滞在エリアを選んでいます。

 滞在エリアで、注目したいのが岡崎です。毎月ほぼ10日に平安神宮で蚤の市があったり、陶芸家・村田森さんのお店があったり。京都市京セラ美術館や京都国立近代美術館、南禅寺や平安神宮なども歩いてめぐれます。生活感もほどよくあり、観光地も文化もある岡崎に、ホテルが増えました。

 岡崎の無鄰菴のすぐ隣に昨年できたのが『ふふ 京都』。今年1月には、東本願寺岡崎別院の隣地に『ホテルオークラ京都 岡崎別邸』が開業と、岡崎エリアには部屋数の少ない、落ち着いたスモールラグジュアリー系のホテルが多いですね。

 『THE HOTEL HIGASHIYAMA by Kyoto Tokyu Hotel』も三条通りに7月オープン。南禅寺の門前に昨年開業した『眞松しんしょうあん)』は、今年、紹介制の予約のみになりました。懐石料理店の「緒方」さんの支店が入っているので、本店は予約がとれないという人も、ちょっと贅沢だけれども、ここに泊まると朝食もいただけます。

 滞在エリアとしては、洛中ではなくて郊外方面も気になります。洛北に昨年開業した『ROKU KYOTO,LXR Hotels & Resorts』は、山々を見晴らすサーマルプールがとても気持ちよくて、京都だけれど滞在はリゾート気分。あと、京都の奥座敷にはなりますが、亀岡の『すみや亀峰菴』には、今年、現代美術家の柳幸典作のアートルームがオープンして話題です。
 

▼対談の中で紹介されたホテル

『THE SHINMONZEN』

『TH E SHINMONZEN』

Data

京都市東山区新門前通西之町235

☎075・533・6553 全9室

¥130,000〜(2名1室利用の1泊料金、朝食、税・サ込、宿泊税込)

https://theshinmonzen.com

『nol kyoto sanjo』

『nol kyoto sanjo』

Data

京都市中京区堺町通姉小路下ル大阪材木町700

☎075・223・0190

1泊¥21,000〜(1室2名利用の1室料金※9月3日現在の10月料金)、朝食つきのプランもあり、「湯葉丼とおばんざい」は1人¥2,970。要予約

https://www.nolhotels.com/kyoto-sanjo/

 
『ふふ 京都』

南禅寺や京都市京セラ美術館にも歩いてすぐ、琵琶湖疏水の近くに’21年4月開業。街に溶け込むような外観で、疏水からの水を引き込んだ日本庭園は、しっとりした趣がある。全40室に檜風呂の温泉つき。

ふふ 京都
ふふ 京都

Data

京都市左京区南禅寺草川町41

☎0570・0117・22

www.fufukyoto.jp

 
『ホテルオークラ京都 岡崎別邸』

修学院離宮にインスピレーションを受けたシンプルで気品ある建築。「GO ON」や京都を拠点とする気鋭作家の工芸品や意匠で満たされた、大人の隠れ家だ。開業は’22年1月。8月からラウンジで宿泊者限定フリーフローのサービスを開始。

ホテルオークラ京都 岡崎別邸
ホテルオークラ京都 岡崎別邸

Data

京都市左京区岡崎天王町26の6

☎075・771・5777

okazakibettei.hotelokurakyoto.com

『すみや亀峰菴』

嵐山からトロッコで終点亀岡駅へ。そのまま送迎車で行ける、湯の花温泉を代表する歴史ある温泉旅館。アートルームのほか、ロビー&ギャラリーも現代美術家の柳幸典が手がけた空間。オーストリアワインが多彩にそろう宿としても知られている。

京都のリノベホテルや個性派ホテルに注目!新しい「ホテル選び」をトラベルライターが対談【前編】_1_9
ⒸHayato Wakabayashi

Data

亀岡市ひえ田野町湯の花温泉

☎0771・22・7722

www.sumiya.ne.jp

『ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts』

地下鉄の北大路駅からタクシーで約15分。市街地からすぐなのに、鷹峯の山々を見晴らすロケーションは、まるで高原リゾート。“アナザー京都”を満喫できる。プールも一部の客室も温泉。’21年9月開業

ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts
ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts

Data

京都市北区衣笠鏡石町44の1

☎075・320・0111

www.rokukyoto.com

 

地元では小学校をリノベした“思い出ホテル”が話題

 京都には、明治以降に建てられたいわゆるモダン建築も多く残ります。『ザ・ホテル青龍 京都清水』や『ザ・ゲートホテル京都高瀬川 by HULIC』など、小学校だった建物を改築したホテルも京都らしくていいですね。建物に対する愛着や想いもあり、地元でも小学校をリノベーションしたホテルは話題になりますね。

 『ザ・ホテル青龍 京都清水』は、京都のホテルでは初めてだったルーフトップバー「K36 The Bar &Rooftop」が大人気。鴨川沿いにオープンした『Genji Kyoto』にも、東山を眺めるゲスト専用の絶景ルーフトップガーデンがあります。ここで、朝食やアペロを楽しむと新しい京都体験になりそう。4月に開業した『ノーガホテル 清水 京都』にもレストランにルーフトップバーがあって、これはこれまでになかった新潮流かも。

 空間を楽しむレトロ建築としては、『丸福樓』も話題ですね。『Genji Kyoto』もですが、これまであまり注目されてはこなかったエリアに、ホテルやレストランが増えてきそうです。

▼対談の中で紹介されたホテル

『ザ・ホテル青龍 京都清水』

明治2年開校、昭和8年に現在の地に移転新築された清水小学校を、ヘリテージホテルに改築。館内には小学校時代の面影を残し、歴史や文化を体感できるのも興味深い。別棟に、ビストロ「ブノワ 京都」もあり人気。’20年3月開業。

ザ・ホテル青龍 京都清水
ザ・ホテル青龍 京都清水
ザ・ホテル青龍 京都清水

Data

京都市東山区清水2の204の2

☎075・532・1111

www.princehotels.co.jp/seiryu-kiyomizu/

 
『Genji Kyoto』

五条の鴨川沿いに、’22年4月開業したラグジュアリアスなブティックホテル。19室の客室には、和の意匠や素材が用いられ、リラックスできる畳スペースもある。ラウンジで提供する料理や飲み物は、客室でも屋上のスカイ・フォレスト・ガーデンでも好きなところで気ままにいただけるのが人気。

Genji Kyoto
Genji Kyoto

Data

京都市下京区波止土濃町362の3

☎075・365・3001

https://genjikyoto.com/jp/

『丸福樓』

『丸福樓』

Data

京都市下京区正面通加茂川西入ル鍵屋町342

☎075・353・3355 1泊3食つき(飲み物や夜食を含む)¥75,000〜(1室2名利用時)、朝食のみのプランも。レストラン「carta.」のビジター利用はHPで告知。

https://marufukuro.com

●坪田三千代
トラベルライター。エクラでも連載ホテル情報ページを担当。長年にわたり、国内および海外の旅やホテルに関する取材を続けている。京都では、琵琶湖疏水から高瀬川あたりの「水」にまつわる土地が好き。

●西村晶子
関西在住ライター。京都をはじめ主に関西方面の旅や食の記事を手がける。確かで上質な審美眼で、老舗料亭から話題の新店まで、信頼が厚く、長年エクラ京都取材班の中心的メンバー。

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