【山猫俳句帖〈後編〉】山本容子さんならではの感性あふれる3句を講評!

エクラ2023年1月号の付録カレンダーや最近の句会で評判を集めた山猫こと山本容子さんの俳句から、宗匠 小林恭二さんが選抜&講評! 今回は山本さんならではの感性あふれる3句を紹介。

俳句の世界に心惹かれたら、1月31日まで募集中の「うらら句会」(エクラ5月号で結果発表します)へもぜひ俳句を投稿してみてください!

浴衣脱ぎ袋帯干す花野かな

講評

「浴衣脱ぎ」という行為には一定のエロティシズムがあります。しかしそこが句のキモではなく、その証拠に脱衣という行為はすぐに「袋帯干す」というお片づけにとってかわられます。しかしこれも一句の中心ではない。これらを全部まとめるものとして提示されるのが「花野」です。花野といっても秋の花野ですから、春とは違うシックな色合いを想像しなければなりません。その中では浴衣も袋帯も主人公も皆点景となり、花野に収斂されてゆきます。秋の大景としてとらえたい句です。

 

那須五山霧の帽子はお揃ひに

講評

那須五山は那須を見守る大きな顔です。それはいってみれば歴代大統領の顔が並ぶアメリカのラシュモア山みたいなものかもしれません。その那須五山がおそろいの霧の帽子をかぶっているのだという。那須高原に起居する山猫さんの日常がよく出ています。

 

ハスカップ雨降りお月さま食べた
講評

ハスカップは童話の中の果物のような優しい形と色をしています。熾烈な生存競争の末できたというより、子供が「こんな果物があったらいいな」と画用紙にクレヨンで描いたような造形といえばいいでしょうか。それを「雨降りお月さま食べた」のだという。美しい童話の世界です。

俳名 山猫こと 銅版画家 山本容子さん

俳名 山猫こと 銅版画家 山本容子さん

’52年埼玉県生まれ。’78年京都市立芸術大学西洋画専攻科修了。都会的で洒脱な線描と色彩で、独自の版画の世界を確立。本の装丁からパブリック・アートまで幅広く手がける。俳名は「山猫」。近著に『山猫画句帖』など。
講評は山本さんの宗匠 小説家・俳人 小林恭二さん

講評は山本さんの宗匠 小説家・俳人 小林恭二さん

’57年、兵庫県生まれ。’81年東京大学文学部卒業。在学中は東大学生俳句会に在籍。’84年『電話男』が第3回海燕新人文学賞、’98年『カブキの日』で三島由紀夫賞受賞。小説、評論、エッセー等著書多数。専修大学文学部教授。
▼エクラ誌上「うらら句会」

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山本容子さんが「山猫」の名で詠んだ四季折々の句とそれに合わせた軽やかな銅版画で構成した今回のカレンダー。掲載した表紙と12カ月の銅版画・計13点をエクラプレミアム通販で数量限定で販売します。お気に入りの季節の作品をぜひお手元に!  詳細はこちら 

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表紙となった『初晴』は、新年にふさわしいにぎやかさ。¥88,000/エクラプレミアム通販 イメージサイズ15×10㎝ ソフトグランド・エッチング、手彩色 制作年/2014年

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