天国の父へ 柚子のパウンドケーキ

ノスタルジーを感じるものって、人それぞれにあると思います。私の懐かしい香りは柚子。
京都の実家には、植えて50年近く経つ柚子の高木が2本あります。
一般のものより小ぶりな実で、ゴルフボールくらい。
父が脚立に上って採ってくれた果実を、冬至のお風呂に入れたり、米焼酎と氷砂糖で柚子酒を作ったり。
作業中は匂い立つ香気で、アロマテラピーのようです。
父が伏せって数年は、帰省の際にひっそり持ち帰っていた私。
慣れ親しんだ柚子には違いない、でも何か別物のように感じていました。

そして枝の刺で腕を傷つけながら収穫してくれた父は、1年前に他界しました。

暮れに母から送られてきた荷物に、柚子の実が10個入っていました。
手紙で「今年はあまり取れなかった」とのこと。
豊作と凶作の年は、ほぼ交互に来るもの。
でも主がいないことを木も悲しんでいるのでは…そう思えました。
柚子のパウンドケーキ
柚子の皮を甘く煮た「ゆずピール」と白味噌で、丸いパウンドケーキを焼きました。
自分のおやつ用に小さめに作るため、卵は1個の配合で。

パウンドケーキは普通、柔らかくしたバターに砂糖、卵、小麦粉を順に入れます。
でも今日は卵と砂糖を湯煎で泡立ててから、小麦粉と溶かしバターを入れるタイプで。
スポンジケーキの作り方で、カステラみたいな感じ。
空気を抱き込んで、口当たり軽く仕上がります。
空気の澄んだ日、青い空に父のにこやかな顔が浮かびます。
今度帰る時にも焼いて、お供えしよう。

次の冬には、金色の実が鈴なりの姿、見られたらいいなあ。
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yako

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大阪府在住。夫と娘の3人家族。おしゃれ、台所仕事、本 etc好きなものを自分の言葉で綴ります。

Instagram:yako_sugar

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