「脱皮してみるとさらに気持ちがいい世界が広がっていたという感じです。これまでは競走馬だったのが、野原を走り回る放牧された馬みたいになっているのかもしれませんね」
さらに10年後は、日本でモンテッソーリの幼稚園を開きたいという夢がある。「日本の、他を慮(おもんぱか)り、みんなが心地よく過ごせるよう心がける教育はすばらしいと思います。それにさらに、個性を伸ばす要素を加えてあげられれば……。一人ひとり違う自分の『大好き』を見つけるお手伝いをして、その子が輝く瞬間に立ち合いたいですね」
心地よさから踏み出した一歩
今、勤めているモンテッソーリ幼稚園の先生のほとんどは20代から30代。50代に入ると、若いときと違って体力や知力の衰えを感じることも多くなるが……。「そこは受け入れていて、睡眠や食事など、健康には気をくばるようにしています。でも、『一度きりの人生だから』が私のモットー。人に迷惑をかけなければ、当たって砕けろの精神でとにかくやってみて、だめだったら『失礼しました〜』と引けばいいやと。逆にこの年になると心臓に毛がはえていますから(笑)、自分が痛い思いをするだけで、じゃあ今度はこっちと方向転換も早くできる。たまたま私は子供が大好きだったから幼稚園の先生になろうと思いましたが、先生たちもみんな若いから大丈夫かなという不安もなかったわけではない。でも、実際に働いてみたらその不安も一掃されて、やっぱりこの仕事が好きだと思えた。一歩を踏み出して本当によかったと思います」
幼稚園では1クラス18人の生徒を2人の先生が担当する。久保さんのパートナーは独身の28歳。
「彼女からの学びが日々あって、この前も3歳の子がお気に入りのぬいぐるみを家に置いてきてしまって、お昼寝ができなかったんです。そんなとき、彼女がさらっと自分のトレーナーを脱いで、くるくるっとまるめて耳を出し『とっておきのお人形を作ったよ!』といったのを見て、わお! こういう手もあったのねと。毎日知らないことが見つかるので脳も活性化されますし、それを知りたいと思い、調べることによって引き出しが知識であふれる喜び! 会社に勤めていたときは忙しくてインプットする時間がなかったので、世界が広がりました。毎日自転車通勤していたら、体力がついて、前より元気になったかもしれません。アメリカの税金や保険は複雑なので、数字に対してはちょっと億劫(おっくう)に感じていたのですが、それすらできると思えるようになって、いろいろな意味で強くなりました。それまでの居心地のよい暮らしから一歩を踏み出せた気がします」
「一人ひとり違う自分の『大好き』を見つけるお手伝いをして、その子が輝く瞬間に立ち合いたい」
日本国内にとどまらず、グローバルに活躍している久保さん。その精力的な活動の一端をご紹介しよう。
「モンテッソーリ教育」の教師としてニューヨークの幼稚園に勤務
感覚を養うものや算数、絵を描いたり、地理や言語と、さまざまな分野があるモンテッソーリ教育の「おしごと」。自分で選んだ「おしごと」を試行錯誤しながら完成させることで、達成感や幸福感が生まれ、次にまたがんばろうという挑戦の気持ちがわいてくる。久保さんたちガイドの役目は、それぞれの子供たちがいかに自分らしく過ごせるかをサポートすること。「どうしたら子供たちがハッピーになれるか、14歳と21歳になった娘たちや夫にも相談して、そのつど、アドバイスをもらっています」。
「世界寺子屋運動」をライフワークに
久保さんは日本ユネスコ協会連盟の「世界寺子屋運動」の広報特使も務めている。「家事やきょうだいの世話に追われて夢をもてない子供たちが『学びの喜び』を体感できるならと二つ返事でお受けしました」。写真は、以前カンボジアを訪れた際に、寺子屋に参加していた母親に抱っこされていた当時5歳のソダさん(左)と、’19年に10年ぶりに再会したときのもの。母親の教育のバトンが子供たちに受け継がれていることを実感したそうだ。
翻訳家として絵本を出版
「言葉」をライフワークのテーマのひとつにしている久保さんは、絵本の翻訳を数多く手がけている。今年2月に出版されたのは、トーベ・ヤンソン原案の「はじめてのMOOMIN」シリーズの翻訳絵本『ムーミンとなかよし』と『おやすみなさいムーミン』(文化出版局)。「絵本は子供の体温や息づかいを感じながら物語を共有できるのが素敵なところ。私には見えていなかったところを見ていたり、同じ世界を違う目線で冒険している感じがします」。
久保純子
チャレンジするのに年齢は関係ないと思いつつ、その一歩を踏み出すには勇気がいるものだ。現在はニューヨークに暮らすフリーアナウンサーの久保純子さんは、その一歩を踏み出し続けている女性だ。前中後編の前編では、2022年から働き始めたモンテッソーリ幼稚園について伺った。
チャレンジするのに年齢は関係ないと思いつつ、その一歩を踏み出すには勇気がいるものだ。現在はニューヨークに暮らすフリーアナウンサーの久保純子さんは、その一歩を踏み出し続けている女性だ。前中後編の中編では、10年ごとに迎えているという人生の転機について伺った。
尾上右近さんが歌舞伎俳優を目指すきっかけとなった「春興鏡獅子」。三才で夢見たその景色が、2025年4月の歌舞伎座で現実のものとなる。DREAMS COME TURE。後々、「尾上右近の鏡獅子の初演を観た」と語り草になるに違いない伝説の始まりの舞台。その熱量を「形にできるものは形にしたい」と、大事な小道具のひとつ、手獅子をあらたに自分のために作り、弥生役の衣裳も新しく作ることに。右近さんが求めたのはどんな手獅子なのか。そして衣裳の仕上がりは? ここでは松竹衣裳部にお邪魔し、その衣裳制作の最終段階を見せてもらった。
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尾上右近さんが歌舞伎俳優を目指すきっかけとなった「春興鏡獅子」。三才で夢見たその景色が、2025年4月の歌舞伎座で現実のものとなる。DREAMS COME TURE。後々「尾上右近の鏡獅子の初演を観た」と語り草になるに違いない伝説の始まりの舞台。その熱量を「形にできるものは形にしたい」と、大事な小道具のひとつ、手獅子をあらたに自分のために作り、演じる弥生の衣裳も新しく作ることに。右近さんが求めたのはどんな手獅子なのか。そして衣裳の仕上がりは? 後編は、いよいよ右近さんが制作途中の手獅子と対面!
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尾上右近さんが歌舞伎俳優を目指すきっかけとなった「春興鏡獅子」(しゅんきょうかがみじし)。三才で夢見たその景色が、2025年4月の歌舞伎座で現実のものとなる。DREAMS COME TURE。後々、”尾上右近の鏡獅子の初演を観た”と語り草になるに違いない伝説の始まりの舞台。その熱量を「形にできるものは形にしたい」と、大事な小道具のひとつ、手獅子をあらたに自分のために作り、弥生役の衣裳も新しく作ることに。右近さんが求めたのはどんな手獅子なのか。そして衣裳の仕上がりは? まずは手獅子が作られた過程に密着する。
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