【心ときめくガラスを探して】京都、北欧、そして南砺へ。光と影を操る鈴木玄太さんのガラス

“本物”は、豊かな土地と文化の中にある。上質さと現代の空気感を兼ね備えた、エクラ世代に人気の作家鈴木玄太さんが工房を構える南砺(なんと)へ。お気に入りの作家の工房への訪問は、唯一無二の旅のデスティネーションにもなりそうだ。

Genta Glass

126型吹き技法で作る和ガラス
126型吹き技法で作る和ガラス。泡がない透明度の高い仕上がりは、高い技術があるからこそなせる業。光を通すと美しい影が現れ、優しい揺らぎに魅せられる。陶器にはない楽しみ

透明感を大切に南砺の自然の中で製作

祖父・鈴木表朔さん、父・睦美さんはそろって京都を代表する漆作家であり、幼少より器作りを見て育った玄太さん。自身は家にあった北欧のガラスに心惹かれ、大学卒業後はスウェーデンのコスタグラススクールに入学。吹きガラスの基本を学び、その後も、スイスやドイツ、イタリア・ベニスなどで修業を行い、腕と感性を磨いた。

帰国後、スタジオを構えるために、さまざまな土地を見て回ったが、現在スタジオを構える南砺のこの地を見た際、直感的に“ここだ”と思ったそう。目の前には田園が広がり、遠景には立山が連なるのどかな景色。自然が豊かで、修業したスウェーデンの風土にどこか似ていたという。

工房では、常に緑と光を感じながらガラス作りが行われている。「光がないと影も楽しめませんし、ガラスと光は仲よしなんです」と、鈴木さん。鈴木さんのガラスは高い技術で作られるため、気泡がなく、みずみずしい透明感が特徴だが、光を通すと、より透明度の高さを感じ、テーブルや壁に落ちる影までも息をのむほどに美しい。
ガラス製作は山から吹く風、降り注ぐ光を感じながら行われる
ガラス製作は奥さまの智奈美さんと二人三脚で。工房の扉を開け放ち、芝生やたんぼの緑、山から吹く風、降り注ぐ光を感じながら行われる
三角屋根の水色の一軒家が鈴木さんが暮らし、ガラス制作を行うスタジオ
三角屋根の水色の一軒家が鈴木さんが暮らし、ガラス制作を行うスタジオ。南側には芝生の庭が設けられ、その向こうには散居村の風景が広がる。「トスカーナのよう」とたとえる訪問者も
現在、「白marunouchi」で個展を開催中(8/6まで)。その後は、9/7~12「一畑百貨店」、10/4~10「新潟伊勢丹」、11/1~6「大阪髙島屋」、12/1~6「銀座 日々」で個展を開催予定
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