介護の疑問にプロが回答!こんなとき、どうする?介護保険制度Q&A

いざ介護が必要になったときに慌てないように、読者アンケートで目立った悩みや疑問をピックアップ。それに対する専門家のアドバイスはいかに!?
教えてくれたかた
河北美紀さん

河北美紀さん

かわきた みき●銀行に10年勤務後、’13年、アテンドを設立し、高齢者リハビリデイサービスを開所。著書に『身近な人の介護で「損したくない!」と思ったら読む本』(実務教育出版)など。

Q.見た目が元気な親は、どんなタイミングで認定の申請をすればいい?

A.まずは冷蔵庫をチェックしてみて

離れて暮らしているうえに、身体的には問題がなさそうな親の場合、介護が必要かどうかの判断がむずかしい。「帰省の際、ぜひ確認してほしいのが冷蔵庫。同じ食品が大量にあったり、冷凍品が冷蔵スペースに入っていたりするようなら、認知症が始まっているかもしれません。今まで片づいていた部屋が散らかっている、動線上に物が置かれていて危険な状況にある、薬を正しく服用していない、エアコンが適切に使えていないなども、危険信号です。また、日中家に閉じこもっていたり、友人知人や地域との交流が途絶えている場合も要注意なので、何げない会話から探ってみましょう」(河北さん)。

Q.親が遠くに住んでいる場合の手続きはどうしたらいい?

A.要介護認定の代行や相談は無料です

申請は、本人または家族が、本人が住んでいる市区町村の担当窓口で行うのが基本。ただし、両者ともになんらかの事情で手続きできない場合、本人の居住地の地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などに申請の代行を依頼できる。「介護サービス利用を希望する際は、介護サービス事業所の紹介もしてくれます。なお、要介護認定の代行や相談は無料です」。

Q.親が介護認定を受けたがらない場合、どう説得したらいい?

A.実際に親にとって困り事があったときに提案を

「頑(かたく)なに介護認定を拒否していた親が申請しようという気になるのは、体調不良で動けなくなり、子供も遠距離や仕事ですぐに助けてもらえないと痛感したときが多いですね。そのタイミングで、『介護事業所と契約しておけば、緊急時に駆けつけてもらえる』とすすめてはいかがでしょう。『衰えたからではなく、今後も安心して自立した在宅生活を続けるために介護認定の申請をするんだ』と認識できれば、親もプライドを傷つけられず、受け入れやすいだろうと思います」

介護保険

Q.親が介護サービスをいやがる場合、こんなときはどうする?うまく利用させる方法は?

A.親本人が「助かる」と実感できるサービスから始めて

そもそも介護サービスは、困り事を解決するために利用するもの。なので、親が何に困っているかを観察し、その解決策になるサービスから始めて。重いものの買い物がつらいようなら、それをヘルパーに代行してもらい、親に「これは助かる」と実感してもらうといった具合。「デイサービスの利用を促したいなら、少し先に家族旅行など楽しい予定を設けては? 『子供や孫と出かけるためなら、デイサービスでの運動もがんばれる』という利用者は少なくありません。『いつまでも元気でいてほしいから、体力づくりに行ってほしい』と、ストレートにお願いするのもおすすめです」。

Q.全額自己負担になる費用もあるらしいので心配です……

A.介護保険負担限度額認定の検討を

介護施設の居住費や食事などは全額自己負担だが、親の入居先が特別養護老人ホームのような介護保険施設で、住民税非課税世帯ならば、介護保険負担限度額認定を活用して。自ら申請しなくてはならず、預貯金の額など細かい条件をクリアする必要があるが、認定されれば施設の居住費と食費が軽減される。「要介護4~5や重度の認知症なら、特別障害者手当の申請も検討を。承認されると、年間約33万円受給できます。また、独自の介護費用補助を行っている自治体もあるので、一度調べてみるとよいでしょう」。民間の介護保険に加入し、備えるのも一案。商品によって条件などが異なるので、しっかりリサーチし、自分たちに適したものを選んで。

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