見なきゃ損!今、韓ドラ界の激熱ワードは「超能力者」!【見ればキレイになる⁉韓流ドラマナビvol.37】

エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。今回は、ただ今、絶賛、韓ドラ界で盛り上がっている「超能力者」をテーマにした3作品に注目!

第2の「イカゲーム」⁉ 全世界で話題沸騰の大作「ムービング」

 九尾の狐に人魚に宇宙人……。韓国ドラマでは、そんな人間を超えた存在が主人公となる物語が度々大ヒットを飛ばしていますが、すでに周知の事実ですね。ともすると、陳腐になりがちなこの手の設定を、夢と愛情あふれる名作として完成させる巧さには、いつも感心させられることしきりなのでありますが、2023年中盤の韓ドラ配信作では、こちらも通常を超える存在「超能力者」を主人公にしたドラマがなんと3作品もラインナップされているではありませんか。
「ムービング」のリュ・スンリョン、ハン・ヒョジュ、チョ・インソン
主要キャストのリュ・スンリョン(左)、ハン・ヒョジュ(中)、チョ・インソン(右)。ディズニープラス スターにて全話独占配信中。© 2023 Disney and its related entities
 さて、超能力と言えば、もれなくミステリーやサスペンスがついてくるわけですが(私の個人的見解、全てではありません、念のため)、超能力=悪や犯罪に立ち向かう完全無欠なヒーロー、として描かれていないところが、やっぱり韓ドラの韓ドラたる所以とでも言いましょうか。そうなんです、マジ良いのですよ、人間味あふれていて。

 そして、その中から見つけてしまいました、私。これまで観てきた韓ドラ作品の中でも、きっと私的“No,1”に躍り出るであろう最高傑作を。そう、それこそが、韓ドラ史上最高の制作費約650億ウォン(70億円)が投じられたことでも、リュ・スンリョン(映画「エクストリーム・ジョブ」)、チョ・インソン(ドラマ「大丈夫、愛だ」)、ハン・ヒョジュ(ドラマ「トンイ」)という豪華すぎる俳優陣がキャスティングされたことでも、配信前から話題沸騰だったこの「ムービング」なのであります。 
「ムービング」のリュ・スンリョン
回復能力者チャン・ジュウォン役のリュ・スンリョン。ディズニープラス スターにて全話独占配信中。© 2023 Disney and its related entities

回復能力、浮遊能力、怪力&快速能力をもつ3つの家族の物語。構成力にも脱帽!

 韓国で大ヒットした同名のウェブトゥーン(ウェブ漫画)を実写化したこの物語は、不死身な回復能力、空を飛ぶ浮遊能力、怪力&快速の超運動能力という特殊な力を持ちながら、そのことをひたすら隠して密やかに暮らしている3家族が主軸となっているお話です(親の能力はそのまま子供に遺伝されているという設定)。
 それぞれの親や子たちには、いろんな意味で胸がきゅ〜〜んとなるさまざまな物語がありまして、ドラマは現在と過去を何度も行きつ戻りつしながら、子ども世代と親世代のエピソードがそれぞれに丁寧にきめ細やかに綴られつつ、親と子が一丸となって闘うクライマックスへと繋がっていくという構成。

 心がじわ〜〜っと温かくなるような、胸をぎゅ〜〜っと締め付けられるような、思わずハラハラしてしまうような、常にワクワクしてしまうような、そして、そうさせる心憎い伏線が、ここにも、あ、ここにも、あ、あっちにも!と、それはそれはわかりやすくも巧みに仕組まれていて、それらが観ている自分の中で「なぁるほど」とつながった日にゃあ、もう、めちゃくちゃたまらないわけなのです。
「ムービング」のイ・ジョンハ
キム・ボンソク役のイ・ジョンハ。ディズニープラス スターにて全話独占配信中。© 2023 Disney and its related entities
 で、序盤の1話から7話までは現在を生きる子ども世代のお話から。これがまた、かわいいのなんのって。親からの能力をそれぞれに受け継いでいる3人の子供たちはチョンウォン高校という同じ学校に通う高校3年生。
 その一人キム・ボンソク(俳優イ・ジョンハ=この役作りで30キロ増量)は、ぽっちゃりした体型もかわいらしく、人の良さそうな優しい性格が顔からも滲み出ている男子。「南山とんかつ」という店を女手一つで営む母イ・ミヒョン(女優ハン・ヒョジュ=なんと母親役!)と二人暮らしなのですが、毎朝、母から渡されるのは何十キロという重りの入ったバックと足に巻くずっしりと重いウェイト。そう、彼が受け継いでいるのは浮遊能力。特大トンカツをモリモリと食べさせられ、日に何度となく2リットルボトルのお水をがぶ飲みし、同級生たちともあまり交わらないようにしながら、体が宙に浮いてしまうのをなんとか阻止しているボンソクなのですが、どうしても止められない場合もあるのですね。
「ムービング」のハン・ヒョジュ
ボンソクの母、イ・ミヒョン役のハン・ヒョジュ。ディズニープラス スターにて全話独占配信中。© 2023 Disney and its related entities
 それは、心が浮かれてしまう時。感情が大きく動くと、それに呼応して止めようとしても止められず体が自然と浮いてしまうという。それでも今まで、心浮かれないように頑張ってきたボンソクなのですが、彼の心を大きく揺れ動かしてしまう女子がチョンウォン高校に新しく転校してきてしまうのです。
 それが、3人のうちの紅一点、チャン・ヒス(コ・ユンジョン=ドラマ「還魂」にも出演)。幼い頃に母を亡くし、冴えないフライドチキン店を新しく開業した不器用な父チャン・ジュウォン(リュ・スンリョン)が心配でならないヒス。彼女が受け継いでいるのは回復能力。実は、大学入試を間近に控えたこの時期に転校してきたのも、その能力と無関係ではないのですが(その経緯はドラマで確認を)、物おじすることなく、飾ることなく、素のままがイェップン(綺麗な)彼女(性格は母譲り)にボンソクは心ときめいちゃうのを止めようもなく……というわけなのです。
「ムービング」のコ・ユンジョン
チャン・ヒス役のコ・ユンジョン。ディズニープラス スターにて全話独占配信中。© 2023 Disney and its related entities
 一方、ヒスもヒスで優しいボンソクに好意を抱くわけなのですが、急速に仲良くなっていくそんな二人を脇から複雑な思いで観察しているのが、もう一人、怪力&高速能力を持つイ・ガンフン(キム・ドフン)。クラスの委員長をする優等生の彼ですが、家には彼の帰りをずっと店先の縁台で待つ知的障害の父イ・ジェマン(キム・ソンギュン=主なドラマに「D.P. -脱走兵追跡官-」)がおり、自分の能力に対して何やら野心も抱いている感じがあったりもするんですね。

前半は胸きゅん学園もの⁉ 後半からは涙なくしては観られない物語が目白押し!

 そんな3人にフォーカスした前半は、特殊能力者の胸きゅん学園トライアングルロマンスか?と思いきや(事実そうなのではありますが)、それと並行する形で、宅配業者を装うフランク(リュ・スンボム)という謎の男(実はCIAから派遣されている)が、元韓国の工作員だった特殊能力者たちを次々と殺害していくという、俄然、サスペンスな闇の案件が交錯してくるわけなのです。
「ムービング」のリュ・スンボム
謎の宅配業者フランク役のリュ・スンボム。ディズニープラス スターにて全話独占配信中。© 2023 Disney and its related entities
 と、ここで、あれ?主演の一人、俳優チョ・インソンが出てないのですけど、と気づいたあなた、ご安心ください。ここからたっぷりと魅せてくれますから。チョ・インソンが演じるのは、浮遊能力を持つブラックと呼ばれた元特殊工作員キム・ドゥシク。そう、実はボンソクの父親で、ボンソクの母ミヒョン(超感覚という能力がある)も、ヒスの父ジュウォンもみんな元工作員なのですが、8話からは時代を1990年代に遡って、親世代のエピソードにバトンタッチされていくという次第。どうやってボンソクが生まれることになったのか、ヒスが生まれることになったのか、そして、なぜ、ガンフンの父イ・ジェマンはガンフンの帰りをずっと待っているのか。もう、この8話からは毎回胸がギュンギュンと力強く、なのに心地よく締め付けられるような、涙なくしては観られない物語の目白押し。
「ムービング」のチョ・インソン
浮遊能力者キム・ドゥシク役のチョ・インソン。ディズニープラス スターにて全話独占配信中。© 2023 Disney and its related entities
 秘密を抱える高校生3人の初恋物語と、親世代の切ないラブストーリーと、親と子の愛情と。そうして、クライマックスは北朝鮮の“特殊能力者”たちとの凄まじすぎる能力と能力の闘い合いになっていくのですが、この北朝鮮の面々にもそれぞれ過酷すぎる物語があるという……(これも全てまたいい!)。
 なぜとんかつなのか、なぜ南山なのか、なぜチキンなのか、その他にもあれもこれも。登場するいろんなアイテムに意味があり、いろんなセリフに感慨があり、だからこそ、散りばめられたその“つながり”という宝物を一つずつ見つけながら、思う存分胸躍らせ、心ときめかせて観て欲しい、そんなドラマ。
「ムービング」のキム・ソンギュン
ガンフンの父イ・ジェマン役、キム・ソンギュン。ディズニープラス スターにて全話独占配信中。© 2023 Disney and its related entities
 脇役も含め一人一人のキャラの描き方の奥深さはもちろん、ドラマ冒頭に登場するタイトルロゴの毎回違うあしらいとか、隅々までエモいセットや小道具とか、特殊能力&闘いシーンのCG技術とか、傷口までリアルなメイクとか、これみよがしでなく細部に至るまで徹底された心憎いエンターテイメントへのこだわりは、めちゃ自然なのにめちゃハイクオリティ&ハイセンス。ドラマのお金の使い方はこうでなくては!とつくづく。そうそう、最終回のエンドロール。シーズン2あるよね的シーンがおまけに入るので、チェックもお忘れなく。
■ディズニープラス スターにて全話独占配信中

こちらも見逃せない!「超能力者」が主人公の、2023年韓ドラ傑作選!

「ヒップタッチの女王」

 壮大なるSF超能力ものとは一線を画すとでも言いましょうか、くすりくすりと笑いながら軽〜く楽しめる作品ならこちら。超能力を持つ主人公となるのは、女優ハン・ジミン演じるイェブン。高校時代に最愛の母が自殺し、のどかな農村の動物病院を営む祖父の家に引き取られるのだけれど、反対を押し切って結婚した母のせいか、祖父はイェブンに口さえきいてくれない冷たさ。それでも、祖父の後を継ごうと頑張って獣医になったイェブンですが、その腕はお世辞にも優れてるとは言えない感じで病院は経営難。そんななか、イェブンは牛の治療中に落雷に遭い、突然、超能力に目覚めてしまい……。それは、人の過去の出来事が全て見えてしまうというサイコメトリー的な力。でも、そこには少々問題があり、その人や動物のヒップ、つまりお尻に触らなければ能力が発揮されないという。
「ヒップタッチの女王」のハン・ジミンとイ・ミンギ
「ヒップタッチの女王」の主人公ハン・ジミン(右)とイ・ミンギ(左)。Netflixシリーズ「ヒップタッチの女王」独占配信中
 そんなイェブンに絡んでくるのが、俳優イ・ミンギ演じるもう一人の主人公、熱血刑事のジャンヨル。ソウルの敏腕エリート刑事だったのにも関わらず、この小さな町に左遷されたジャンヨルは、早く手柄を立ててソウルに戻りたいと思っているわけなのですが、偶然にもイェブンの能力を知り、彼女に協力を無理やり求めるわけなのです。なのに事件といえば、ジャガイモ行方不明事件など、どれもこれも他愛ないご近所トラブルばかり。ところが、そんななか、こののどかな町で連続殺人事件が起こってしまうのですね。しかも、のどかさとはかけ離れた、包丁でのめった刺しという凄まじさ。果たして、犯人は? 街の住人がどれもこれも、怪しいなか、果たしてイェブンは犯人のお尻に辿り着き、果たしてそのお尻を触ることができるのか……。
「ヒップタッチの女王」のハン・ジミン
主人公イェブン役の女優ハン・ジミン。Netflixシリーズ「ヒップタッチの女王」独占配信中
 とにかく、凄いのは、え〜〜〜この人が殺されちゃうの!?というくらい、簡単にいろんな人が次々と殺されちゃうところ。なのに徹頭徹尾、緊張感ゼロ。こんな殺人ミステリーは初めてかもしれません。それは、そもそもがお尻を触るという設定のせいなのか、はたまた軽〜いコメディに徹しようというこだわりのせいなのか。いずれにせよ、ハン・ジミンとイ・ミンギの実力派スター同士のケミ(相性)は楽しさそのものだし、そうそう、EXOのスホも、重要な役割で配役されていたりするし、見どころは満載。頭を使わずに、気楽に殺人ミステリーを楽しみたい人はこちらを。至る所に散りばめられたドラマ「私の解放日誌」や「二十五、二十一」への面白過ぎるオマージュもドラマ好きにはたまりませよ。
■Netflixシリーズ「ヒップタッチの女王」独占配信中

「無駄なウソ-誰にも言えない秘密- 」

 そもそも「あなたの真実なんていらない、嘘でいいので優しさだけください」的スタンスなのですね、私。それもこれも、人の嘘も真実も簡単に見抜けないからこそなのではありますが。だから、この能力を持つヒロインにはかなり同情してしまうというか。キム・ソヒョン演じるヒロインのソルヒが持っているのは、面と向かって“嘘”の言葉を聞くと、頭の中でカ〜〜ンと鐘が鳴ってしまうという力。それは生まれた時から備わっているようで、人がどれほど嘘をつく生き物か、人の嘘がどれほど人を傷つけているかを散々見てきたせいか、今はライアーハンター(嘘をお告げとして依頼者に知らせる商売)として生計を立てているのですが、誰のことも信じられない実は寂しい女性になってしまっているわけなのです。
「無駄なウソ-誰にも言えない秘密-」のキム・ソヒョン
ヒロイン・ソルヒ役のキム・ソヒョン。U-NEXT独占配信中。© STUDIO DRAGON CORPORATION
 そして、そんな彼女の隣の部屋にいつもマスクで顔を覆い隠している男が越してくることから物語が展開。この男、ファン・ミンヒョン演じるキム・ドハは印税収入1位の天才作曲家。実は5年前の学生時代、初恋の相手オムジを殺害した容疑者として捕まるのですが、オムジの遺体が見つからなかったことやアリバイ証言があったことから無罪放免になったという経緯があり。でも、世間は彼が殺っているのに違いないと思っているわけなのですね。そのため、対人恐怖症かつ不眠症で外出時にはマスクが手放せないのですが、ソルヒは彼の言葉にはどれも嘘がないことを感じ取り、興味を抱き始めるわけなのです。そして、そこに現れるのが3年前に別れたソルヒの元カレの刑事ガンミン(ソ・ジフン)。その別れも実はガンミンの嘘を聞いたことが原因なのですが……。こうして、トライアングル交えた心に傷を持つもの同士のラブコメが展開するという次第です。
「無駄なウソ-誰にも言えない秘密- 」のファン・ミンヒョン
天才作曲家役、ファン・ミンヒョン。U-NEXT独占配信中。© STUDIO DRAGON CORPORATION
 オムジの兄が復讐のため執拗にドハを探し回っていたり、それにより5年前のオムジ事件の真相が再び掘り起こされることになったりと、ファンタジー×ロマンス×ミステリーがいい感じのバランスで楽しませてくれるのですが、それにしても、あなたのお顔が超能力でない?的麗しすぎるミンヒョンvsどこまでも人間味あふれるガンミン役のソ・ジフンのライバルの構図が私的にはかなりの眼福ものでして。どっちも捨て難い魅力があって選べない〜(ま、私が選ぶ必要はないのだけれど)。もちろん、嘘=悪とずっと思い続けてきたソルヒの心の変化と成長も、しっかりと見届けさせていただいております。嘘と真実が混在しているからこそ、人生は面白い、かどうかは定かではありませんが。
■U-NEXT独占配信中
山崎敦子

山崎敦子

旅行記事に人物インタビュー、ドラマ紹介、実用記事から、着物ライターとさまざまな分野を渡り歩き、今では美容の記事を書くことも多くなったさすらいのライター。襲いかかるエイジングと闘いながら、ウキウキすること、楽しいことを追い求め続ける日々を送る。

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