クセになるカッコよさ。名優ユン・ゲサンの魅力が止まらない!【見ればキレイになる⁉韓流ドラマナビvol.40】

エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。今回は、カリスマ性あふれる中堅俳優として確固たる地位を築いているユン・ゲサンに大注目!彼の魅力が存分に味わえる作品をご紹介。

ユン・ゲサン史上、最高傑作かも⁉ '23年の隠れた超名作「誘拐の日」

「最高の愛〜恋はドゥグンドゥグン」というラブコメをご存じですか。落ちぶれた元人気アイドル(演じるのはコン・ヒョジン)と全国民から愛されてやまないトップスター俳優(演じるのはチャ・スンウォン)のドタバタ恋愛ドラマ。まあ、くだらないといってしまえば、実にくだらない内容なのではありますが、にも関わらず、見始めたら一気見、そして何度もおかわりしたくなるほど夢中になってしまう、知る人ぞ知る名作なのです。
「誘拐の日」のユン・ゲサン
「誘拐の日」のユン・ゲサン。©ASTORY Co.,Ltd ©KT StudioGenie Co.,Ltd ©ENA
 実は「冬ソナ」にも全く反応しなかった私が、これほど深く激しくずぶずぶと韓流沼へとのめり込むことになったのもこの作品があったからこそでして。最初は “こりゃあ、ないない”濃い顔系代表チャ・スンウォン演じるスター、トッコ・ジンなのですが、それが見進めるほどに次第にかわいく見えてくるわ、切なく胸をキュンと締めつけられるわ、そして韓流食わず嫌いだった私の心に深く深く入り込んでくるわ、なんてことになるなんて、よもや想像だにしなかった。それはまさに韓流ドラマの不思議というかマジックというか。

カリスマ性あふれる名優は、実は“演技ドル”の元祖だった!

 ということで、今、観るとかなり古臭い印象ではありますが(2011年放送)、お暇があったらぜひともチェックしてみてほしいなあと思うのですが、いいたいのはチャ・スンウォンではなく、そう、表題のユン・ゲサンです。私が彼の存在を知ることになったのもまさしくこの作品。
「誘拐の日」のユン・ゲサンとユナ
「誘拐の日」のユン・ゲサンとユナ。©ASTORY Co.,Ltd ©KT StudioGenie Co.,Ltd ©ENA
 ヒロインの落ちぶれタレント、ク・エジョン(女優コン・ヒョジン)を、濃い顔チャ・スンウォン扮するトッコ・ジンと奪い合うことになる漢方医のユン・ピルジュ、つまり2番手役を演じていたわけですが、眉尻やや下がり気味の朴訥な太眉と一重まぶたの組み合わせは、当時の私としてはイケてるのかどうなのか判断つきかねるお顔立ち。なのに、みょうに後を引く味があり、ドラマの序盤では「トッコジンよりやっぱり漢方医でしょ!」みたいに思っていたわけです。最終的にはトッコ・ジンに夢中になりましたが。
 それにしてもやけに後味引くなあと思っていたら、なんと、ユン・ゲサン、第1期K-POPボーイズグループ「god(ジーオーディー)」のメンバー。J.Y. Parkことパク・ジニョンが初めてプロデュースした1999年デビューの5人組で、「国民グループ」と親しみを込めて呼ばれるほどの大人気アイドル。つまり、ユン・ゲサンこそ、ジュノやチャ・ウヌ、ロウンにパク・ヒョンシク、イム・シワンなどなど、今をときめく“演技ドル”の元祖というわけなんですね。
「誘拐の日」のユン・ゲサンとユナ
「誘拐の日」のユン・ゲサンとユナ。©ASTORY Co.,Ltd ©KT StudioGenie Co.,Ltd ©ENA
 今でこそアイドルも演技も両方こなす“演技ドル”の存在は誰もが認めているところですが、当時は厳しい意見(どちらかが疎かになるとか)もあったようで、そのためなのかグループを脱退したり(後に復帰)、すぐに兵役に行っちゃったりと、彼なりに苦悩した模様で、それを乗り越えて今があるといいますか。女優ハ・ジウォンと共演した「チョコレート:忘れかけてた幸せの味」などジェントルなイケオジから、マ・ドンソク主演の映画「犯罪都市」の狂気的な悪役ヤクザなど、幅広いキャラクターを縦横無尽に渡り歩くカリスマ性あふれる中堅俳優(年齢は45歳)として確固たる地位を築いている、というのが今のユン・ゲサン様なのであります。

誘拐犯と天才少女のスリリングな逃亡劇から目を離せない。

 そんな彼の最新作が‘23年に配信されたドラマ「誘拐の日」。昨年配信されたドラマ作品では、総制作費70億円ともいわれる「ムービング」や、待望のシーズン2だった「D.P. -脱走兵追跡官-」など配信前から話題を集めた鳴り物入りの傑作が評判通りに大ヒットしましたが、「誘拐の日」は、日本ではアマプラで静かにひっそりと配信が始まったこともあり、ついつい見過ごされがちだったのです。でも、実はこれが隠れたかなりな名作。何がいいって、それこそ彼、ユン・ゲサン!
「誘拐の日」のユン・ゲサンとユナ
誘拐犯役のユン・ゲサン(右)と天才少女役のユナ。©ASTORY Co.,Ltd ©KT StudioGenie Co.,Ltd ©ENA
 元妻ヘウン(キム・シンロク)との間に生まれた一人娘のヒエを溺愛するシングルファザーのキム・ミョンジュンというのが彼の役どころ。これまでは悪役やっても2番手やっても、でもイケメン、といういい男路線のキャラクターが多かったゲサンですが、ボサボサ頭に無精髭、緩んだフェイスラインと体つきに、人の良さだけ滲むボーッと締まりのない表情。そう、なんとも冴えない中年オヤジなキャラクター。おまけにその日の生活もギリギリという貧乏暮らし。
 そんなある日、娘のヒエに難病が発覚するのですが、もちろんミョンジュンには治療費を捻出する余力も裁量もないわけでして。そんなミョンジュンに元妻のヘウン(これがなかなかのクセもの)が誘拐を持ちかけるのですね。これまで犯罪やアコギなこととは無縁の気弱で心優しいミョンジュンなのですが、娘のためにビビりながらも誘拐を決意。
「誘拐の日」
元妻ヘウン役のキム・シンロク。©ASTORY Co.,Ltd ©KT StudioGenie Co.,Ltd ©ENA
 で、ポイントは、誰を誘拐するのか、というところ。元妻にいわれるまま、狙った豪邸に向かったミョンジュンなのですが、なんと誘拐対象であるロヒ(ユナ)という少女が突然その家から飛び出してきてミョンジュンの車にぶつかり気絶。そのままロヒを家に連れ帰るわけなのですが、車にぶつかった衝撃からかロヒは記憶喪失に。目覚めたロヒに咄嗟に自分が父親だとごまかすミョンジュンですが、実はこのロヒ、頭が良すぎてIQが測れないほどの天才少女だったのですね。

こんなカッコいいユン・ゲサン見たことない!最後は号泣必至!

 ロヒを演じている、子役のユナは、500人もの候補者の中から選ばれた逸材。韓国ドラマでは驚くような天才子役に出会うことも多々あるのですが、このユナもまたその一人。ちょっとまのぬけた気弱な誘拐犯と何ヶ国語もペラペラと操れる超天才少女と、そうなれば当然、心優しいおまぬけミョンジュンはロヒにアゴで使われちゃうわけで、この関係性が実に愉快。ユナ演じるロヒの大人が束になっても叶わない頭脳とそれでもまだまだ子供という揺れ動きの演技も絶妙で、人のいい気弱なゲサン演じるミョンジュンとのケミ(相性)に思い切り笑わされ、ハラハラさせられ、そして何度も何度もジーンとさせられるという次第。
「誘拐の日」のユナ
その演技力で魅了した子役のユナ。©ASTORY Co.,Ltd ©KT StudioGenie Co.,Ltd ©ENA
 ロヒの両親が他殺死体で見つかったことから、ミョンジュンは殺人犯として追われることになってしまうのですが、警察だけでなく、かなり危なげな不穏な輩までロヒとミョンジュンを執拗に追走してくるからハラハラも止まらないというか。この不穏な輩は何なのか、なぜ、ロヒを追ってくるのか、両親を本当に殺害したのは誰なのか。そして、ミョンジュンは殺人犯として追われながらも、このロヒをそんな魔の手から救うことができるのか。
 力もお金もないけれど、見た目はボロボロよれよれだけど、ない頭を絞り、持てる体力を全て出し切りながら、ロヒを守ろうと悪戦苦闘するミョンジュン。いやあ、こんなにもカッコいい、こんなにも心に残るゲサンは、私的には初めてかもしれません。眉尻やや下がり気味の太眉と一重まぶたの組み合わせは、無精髭が生えていようと、頭ボサボサでも、フェイスラインもお腹も少々緩みがちでも、ダサダサの中年オッサンビジュアルでも、やっぱり鉄板のイケメンなんだなあと改めて心に刻みつきました。
「誘拐の日」のユナ
©ASTORY Co.,Ltd ©KT StudioGenie Co.,Ltd ©ENA
 ちなみにラスト2話はぜひともハンカチのご用意を。いつも強がっていても実は淋しい天才少女と、気弱だけどとことん懐の大きい誘拐犯のケミに何度となく涙あふれること必至です。
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こちらも見逃せない! ユン・ゲサンの魅力を堪能できる傑作選!

映画「犯罪都市」

「犯罪都市」のユン
© 2017 KIWI MEDIA GROUP & VANTAGE E&M. ALL RIGHTS RESERVED
 めちゃくちゃ悪なユン・ゲサンを堪能したいなら、やっぱりこの作品。映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」で世界的大スターとなったマブリーことマ・ドンソク主演のご存じ大ヒット作です。実はこれ、韓国で実際に起こった事件がベース。1990年代、韓国ソウルの加里峰洞(カリボンドン)に多数の朝鮮族などの朝鮮系中国人が移り住むようになり中国人街が築かれるのですが、そこに程なく朝鮮族暴力団が入り込み、多くの犯罪組織が乱立、住人を巻き込む抗争が頻発するようになるのです。で、2004年、その地域を管轄する衿川(クムチョン)警察が、そうした朝鮮族組織一掃作戦を敢行。黒社派事件といわれるこの実話を元にエンターテイメントなクライム作品として脚色したのがこの映画。
「犯罪都市」のユン・ゲサン
主演のマ・ドンソク(左)とユン・ゲサン(右)。© 2017 KIWI MEDIA GROUP & VANTAGE E&M. ALL RIGHTS RESERVED
 主演のマブリーが演じるのはこの衿川警察署の強力班の刑事マ・ソクト。これが強いのなんのって。鋭利なナイフで襲ってくる暴力団の面々を素手でもって、ぶんぶん殴り倒していくわけなのですが、通常なら「な、わけないでしょ」と思いがちなところを、あのマブリーの体格です。これが、リアリティ満々なわけなのですね。いやあ、ホント。でもって、ゲサンは、チャン・チェンという朝鮮族マフィア黒竜組のボス役。これがまた、救いどころゼロのスレギ中のスレギ(ゴミ)な悪党でして。対抗相手を、もう、斧でもってザックザックと八つ裂きにしてしまうわけなんです。斧ですよ、斧! 女・子供だって容赦なしです。マジで震えるほどの恐ろしさ。眉尻下がり目の太眉&一重まぶたがこれほどまで残忍に見えるとは。でも、そこはゲサン。肩先まで伸びたロン毛を無造作にまとめる姿には、スレギ極まりないはずなのに、なんかセクシーさが感じられるというか(私だけか)。「犯罪都市」はシーズン4まで作られる大ヒットシリーズに。まだ、観ていないかたはこの機会にぜひ。
■U-NEXTで配信中

ドラマ「チョコレート: 忘れかけてた幸せの味」

「チョコレート: 忘れかけてた幸せの味」のユン・ゲサン
Netflixシリーズ『チョコレート: 忘れかけてた幸せの味』独占配信中
 韓国ドラマ的正統派イケメンのゲサンを味わうならこの作品。演じるのは、心を閉ざした冷たい(でも、実は優しい)脳神経外科医師のイ・ガン。ほら、もう正統派な匂い。相手役というかヒロインに扮するのが、あの「シークレット・ガーデン」のハ・ジウォンなのですが、彼女演じるチャヨンは食べる人を幸せにする美味しい料理を作るシェフという役どころ。実は、幼い頃に温かいご飯を食べさせてくれた少年を忘れられないでいるわけなのですが、その少年こそゲサン演じるガンというわけです(韓国ドラマあるある設定)。でもって、大人になったチャヨンは、とあることからガンと再会し、そこから彼への片思いをずっと胸に秘めるようになるのですが、そんな二人が、ガンの祖母が運営するホスピスでチャヨンは料理を作る人として、ガンは医師として一緒に働くようになることから二人の物語が改めてスタートするというわけです。
『チョコレート: 忘れかけてた幸せの味』のユン・ゲサンとハ・ジウォン
主演のユン・ゲサン(左)とハ・ジウォン(右)。Netflixシリーズ『チョコレート: 忘れかけてた幸せの味』独占配信中
 ホスピスが舞台ということで、ドラマは縦軸に二人のロマンスを綴りながらも、横軸には入院患者たちの一人一人の生にフォーカスし、その最期の時を迎えるまでが描かれていきます。それゆえヒューマンドラマとしても見応えあるのですが、ホスピス、幸せを呼ぶ美味しい料理、そして、迎える最期の時……というピースをそろえながらも、二人の思うように進まない恋愛ドラマが主体的な流れになっているために、ロマンスもヒューマンもどちらもちょっぴり消化不良気味な感じがしてしまうのがちょっと残念なところ。とはいえ、涙なくしては見られないエピソードも満載。メロ(恋愛もの)を演じる正統派イケメン、ゲサンの繊細かつ大人な表情も、ぜひぜひチェックしてくださいませ。ちなみに今や世界のセブチとなったボーイズグループSEVENTEENがこのドラマのOSTにも参加。心を優しく包み込むようなその曲も、ぜひお聴き逃しなく。
■Netflixシリーズ『チョコレート: 忘れかけてた幸せの味』独占配信中
山崎敦子

山崎敦子

旅行記事に人物インタビュー、ドラマ紹介、実用記事から、着物ライターとさまざまな分野を渡り歩き、今では美容の記事を書くことも多くなったさすらいのライター。襲いかかるエイジングと闘いながら、ウキウキすること、楽しいことを追い求め続ける日々を送る。

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