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更年期を迎える50代から増える「体のかゆみ」をなんとかしたい!
仕事や目の前のことに集中できず、ストレスフルな体のかゆみ。一時的にかいてのりきっても、また繰り返したりかき続けてしまい悪化する場合も。アラフィーの体の変化を知り、「かゆみスパイラル」から抜け出そう。
【50代からの「はじめてのアレルギー」まとめ】今ごろになってなぜ?アレルギーの検査方法&対策
アラフィーはナゾの不調が出やすい!
その日は突然やってくる。読者の困惑初体験エピソード。同様の症状に思い当たる人は、この特集をぜひチェック!
ポカポカ陽気から、いきなりの雪。寒暖差に咳とくしゃみを連発!
「春みたいに暖かいと思ったら翌日は雪。くしゃみや鼻水が急に出はじめて止まらなくなり、会社を早退。熱はなく感染症でもなさそうで、これがいわゆる“寒暖差アレルギー”⁉」(45歳・航空会社勤務)
原因不明のかゆみが大発生! かいても止まらず、どうしたら!?
「ある日突然、前触れもなく体中がかゆくなり、かいてもかいても止まらず……。特に変わったものを食べたわけでもなく、原因がわからず、またいつ起きるかと不安」(55歳・主婦)
閉経したら体温が上がると全身に蕁麻疹が出るように……
「閉経後、走ったりのぼせた状態になると蕁麻疹が出るように。婦人科でホルモン補充療法と抗ヒスタミン薬、漢方を処方してもらって、ようやく症状が落ち着きました」(53歳・会社員)
久しぶりに日光を浴びたら腕に赤い発疹が!
「子供と外で遊ぶ機会が増え、晴天の浜辺で潮干狩り。暑くなってきたので腕まくりをしたら、腕に赤いポツポツを発見。今までこんなことなかったのに……!?」(50歳・フラワー教室主宰)
その突然の不調、“アレルギー”かもしれません!
皮膚トラブルや鼻炎、体のかゆみ。突然のアレルギーデビューはエクラ世代特有の“事情”が関係しているようで……。
福冨友馬(ふくとみゆうま)さん
心身の変化が免疫の過剰反応に拍車をかける
「大人になって発症するアレルギーは、子供のアレルギーと同様に鼻炎から食物、皮膚炎などさまざまです」と福冨さん。
「子供のアレルギーは男の子のほうが多いのですが、大人のアレルギーは女性のほうが断然多いです。生物学的な違いが関係しているようですが、理由はハッキリとはわかっていません。アレルギーとは、体内に入った特定の物質に対して免疫が過剰に反応して症状が出ることで、ストレスや不規則な生活などいわゆる『大人のライフスタイル』は、免疫の働きのバランスをくずす要因になります。エクラ世代だとこうした生活の積み重ねに、仕事での重責、身近な人との死別、ホルモンバランスの乱れなど心身や生活の変化が加わることも。これらがからみ合って、大人になって初めてアレルギーになるという人も多く、環境的な要因も大きいのが子供のアレルギーとの違いです。
アレルギーの症状は、ほかにも細胞で反応が起こるタイプ、化学物質過敏症のような厳密にはアレルギーではないものまで、実はとても多岐にわたります。ただ、もともとアレルギー体質でなかった人に突然症状が出る場合は、生活が乱れているときであるというのは、多くの患者さんを診てきた中で実感することです。アレルギーは、重篤な場合は命にかかわることもあるため軽く見てはいけませんし、症状がひどくなったり避ける必要のあるものが増えて生活に支障をきたすようであれば、正しい診断を受けるべき。ただ、ある程度自分で対処法がわかっていれば、生活改善などで症状をやわらげながらうまく付き合っていくこともできるのです」
Q.大人になってアレルギーデビューしやすい人は?
A.集中力を必要とする仕事の人がなりやすい傾向に
「一概にはいえませんが、診察する中での実感としては、根をつめてやるインドア系の仕事のかたは多い気が。集中力を維持するために砂糖やカフェインを多く摂取するなど、食生活の影響が大きいと考えられます。意外なところでは保育士さんも。食物アレルギーでは、特定の食物を頻繁に扱う職業のかたが、その食物にアレルギーを発症することがあります。また、もともと花粉症があり、その影響から食物アレルギーになるかたも今とても増えています」
Q.大人のアレルギーで多いのは?
A.花粉症、食物、咳ぜんそくが大人の3大アレルギー
「鼻炎、なかでも花粉症による鼻炎がとても多いですね。次いで食物アレルギーも多く、今や成人の10人に1人はなんらかの症状があるとも。咳ぜんそくの症状のかたもいます。一方、子供に多いハウスダストは大人ではそれほど多くありません。多数派ではないにしろ、化粧品や金属によるかぶれ、日光による皮膚炎などさまざまなものを含めると、アレルギーは本当に種類が多いのです」
花粉症
スギやヒノキのほか、草の花粉でも発症。主な症状は鼻炎。近年の傾向では草の花粉が減り、カバノキ花粉に反応する人の割合が増加。
食物アレルギー
特定の食物を食べると皮膚の蕁麻疹、のどや口内の違和感や腫れが起きる。運動が加わるとアナフィラキシーを起こすことも。
咳ぜんそく
花粉やダニ、黄砂などによって気道に炎症が起き、1カ月以上空咳が続く。慢性的な炎症で気道が狭く、過敏になっている状態。
Q.アレルギーかどうか、自分で見極められる?
A.検査でしか判断不能! ただし検査でもわからないものも
「一般的なアレルギーは、IgE抗体の値が決め手で、これは検査しないとわかりません。IgE抗体が関係しないそのほかのアレルギー症状に関しては検査でもわかりません。いずれにしても自分で『アレルギーである』と判断するのはむずかしいでしょう」
Q.自然に治ることはある?
A.心身の状態がよくなると症状が出にくくなる場合が
「心身の状態が悪いときに発症したかたは、生活が整って心身の状態が改善すると自然にアレルギー症状も出なくなることが多いようです。アレルギー物質に完全に反応しなくなるという根本的なものではなく、症状としては出なくなると考えてください。あとは、加齢に伴って免疫の反応が鈍くなることで、症状が出にくくなることもあります」
アレルギーかな?と思ったら、知っておきたい4つのこと
病院は何科を受診する?診察や検査、治療はどんなものが?「そのとき」に備えて、流れや注意ポイントを把握しておきたい。
1.そもそもアレルギーって何?
異物を攻撃するIgE抗体が体に炎症を引き起こす
アレルギーにはⅠ~Ⅳ型の4つのパターンがあり、花粉症や食物アレルギーなどはⅠ型で、エクラ世代を悩ませるアレルギー症状の約半分がこれ。
「Ⅰ型の特徴は、アレルギーを起こす物質(アレルゲン)が体に入ってきたときにIgE抗体という免疫物質が作られること(下図参照)。これが皮膚炎や鼻炎などの症状を引き起こします。Ⅰ型のアレルギー反応が全身で同時に起こることを『アナフィラキシー』といい、急速に進行してひどいと亡くなるケースもあります。食物ではまれで、ハチ毒によるアナフィラキシーが多いです」(福冨さん、以下同)。
アレルギー反応はこうして起こる
1.アレルゲンが体内に入る
2.IgE抗体が産生される
3.マスト細胞にIgE抗体が結合
4.再度アレルゲンが体内に入る
5.IgE抗体と結合してヒスタミンなどが放出
6.アレルギー反応が起こる
特定の食べ物やハチ毒、花粉などが体内に入ると、まずIgE抗体という免疫物質が形質細胞で作られる。それが血液や皮膚、腸などにある「マスト細胞」に結合し、そこに再び入ってきたアレルゲンがつくとヒスタミンなどの化学物質が放出され、アレルギー症状が出る。アレルギーがたくさんある、いわゆる「アレルギー体質」の人は、さまざまな物質に対してIgE抗体が作られやすい体質といえる
症状は似ているけれどアレルギーではないことも
「何か特定のものが体に合わない・拒否反応を示すことを『アレルギー反応』といいますが、正確には免疫の反応でないものは『アレルギー』ではありません。例えば、香りの強い生活用品などに含まれる微量な化学物質に反応して頭痛や皮膚炎などを起こす『化学物質過敏症』、牛乳や乳製品を食べると下痢を起こす『乳糖不耐症』などはその代表例です。とはいえ、症状の出方やそれを避けることで発症しない点などは、アレルギーとよく似ています。ただIgE抗体の反応ではないため、アレルギー検査では特定できません」
2.病院での診察や検査は?
【診察】問診が重要! 記録を持参しよう
アレルギー反応が出たら、まずは症状に応じた診療科を受診するのが基本。
「皮膚炎なら皮膚科、鼻炎は耳鼻科、咳なら呼吸器科といった具合です。アレルギー専門医も兼ねていればなおよし。症状が多岐にわたっていたり原因不明の場合などはアレルギー科も考えます。診察はまず問診から入りますが、症状について詳しく聞かれるため、症状が出たときの記録をとっておくことが大切。問診のあとはアレルゲンを特定するためのアレルギー検査をします。食物アレルギーの場合は、必要であれば原因と考えられる食物を食べてみる検査を行う場合も」(福冨さん、以下同)。
問診▶︎検査▶︎必要に応じて負荷検査
問診ではこれまでのアレルギー経験、直近の症状がいつどのような状況で起き、どの程度だったかなどを聞かれる。自分なりのメモを作って持参するとスムーズ。詳細な問診ができれば、ある程度原因と対策が絞り込める
【検査】血液を採取してIgE抗体の値を見る
アレルギー検査はIgE抗体の値を見るもので、方法は主に2つ。
「ひとつは問診をもとに医師が検査項目(アレルゲン)を決めていくオーダーメイドの検査。もうひとつは39種類など一定数の項目がセットになっているもので、前者のほうが原因の特定と対策がしやすい。ただし、たとえ検査で陽性が出ても症状が出ていなければそのアレルゲンを除去する必要はなく、検査結果は絶対ではありません。まず症状ありきなのです」。
採取した血液を測定すると、それぞれのアレルゲンに対するIgE抗体の「測定値」と「クラス」がわかる。クラスは0~6の7段階で0が陰性、1が偽陽性、クラス2~6が陽性
複数アレルゲンがパッケージになった検査では原因がわからないことも
「39項目などセットの検査だと、多くの項目についての値が一度に出るため症状と結びつけるのがむずかしく、原因がわからない場合も。その結果、少しでも陽性が出たら『とりあえず食べないで』などの大ざっぱな指導になり、本来は食べてOKなものまで我慢しなければならないなど、デメリットが生じることもあります」
3.どんな治療法があるの?
症状や炎症を抑える治療と根治を目ざす治療の2本柱
アレルギー治療の基本は、原因物質を避けること。そのうえで「症状や炎症を抑える治療」と「免疫反応を抑える治療」などを選ぶ。「鼻炎や皮膚炎に対しては抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬、ステロイドといった炎症を抑える薬による治療があります。鼻炎だと粘膜にレーザー照射する治療もあり、これらはすべて症状や炎症に対するアプローチ。一方、アレルゲンに対して体が反応しなくなるような“根治”を目ざすのが、アレルゲン免疫療法。アレルギーの種類や症状、ライフスタイルに合わせて選びます」(福冨さん、以下同)。
アレルゲン免疫療法
花粉、ハウスダスト
アレルゲンをごく少量ずつ体に取り込むことによってアレルゲンに慣れ、免疫が過剰に反応しなくなることを目ざす治療法。以前は注射のみだったが、近年は舌の下に入れる「舌下製剤」ができ、子供にも使えるように。注射はダニ・花粉・カビ、舌下製剤はスギ花粉・ダニに使用される。食物アレルギーは子供の場合は少しずつ食べる「経口免疫療法」を行う場合があるが、大人には効果が弱いとされ、あまり行われない。
注射は病院で、最初は週2回から維持期は月1回打つ。舌下治療は自宅で毎日の服用が必要。どちらもアレルギー治療に詳しい医師のもと、2年以上(3~5年間がベスト)続ける
ステロイド薬
咳・ぜんそく、花粉、皮膚炎
吸入や注射、点鼻、点眼のほかに飲み薬など内服するタイプと、皮膚に塗るタイプがあり、症状に応じて使い分ける。内服のものは長期の服用で副作用があるが、炎症個所だけに効果が出るように工夫もされているので、適切に使用していればほとんど心配はいらない。
抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬
皮膚炎
抗アレルギー薬は細胞からヒスタミンなどのアレルギー物質が出るのを防ぐのが目的なので、アレルギー反応が出る前から使いはじめる。抗ヒスタミン薬はヒスタミンが出たあとの症状を抑えるのが目的。抗ヒスタミン薬には眠くなるものもあるので、注意が必要。
4.自分でできる予防法は?
砂糖を控えると症状が改善する人が多数
生活改善によって症状を緩和したり出にくくして、アレルギーの「本格デビュー」を防ぐことは可能。なかでも効果が出やすいのは食事の見直し。「特に砂糖を減らすとテキメンによくなるかたが多く、鼻炎や咳などには効果が高いようです。そのほかにもタンパク質やミネラルなども意識的にとることが大切です。運動もできればベターですが、体調が悪いときに無理に動くとかえって悪化したり怪我につながる場合も。食事で体調が上向いたらそこからでOKです」(福冨さん、以下同)
砂糖をできるだけ減らす
砂糖に含まれるブドウ糖や果糖を代謝する際にビタミンやミネラルがたくさん消費され、健康な体を維持する栄養素が足りなくなってしまうことで、アレルギー症状が重くなると考えられる。砂糖はコーヒーシュガー、お菓子、清涼飲料水、菓子パンなどさまざまに含まれるため、知らないうちにとりすぎていないか、振り返ってみて。
タンパク質を十分にとる
筋肉や骨格を作るもととなるだけでなく、酵素やホルモン、免疫物質の材料でもあるタンパク質。一日の摂取量の目安は、体重50㎏の人なら50gを目安にしたい。肉類だけでとるには相当な量を食べる必要があるため、大豆製品や卵などを組み合わせると◎。
ミネラル類はサプリも◎
体の機能を維持するには、ビタミンやミネラルも欠かせない。特に近年はビタミンDの欠乏はアレルギー症状を重くすることがわかってきている。マグネシウムもぜひ積極的にとりたい栄養素。食事から十分量をとるのはむずかしいので、サプリを活用するのもおすすめ。
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