【夏の文芸エクラ大賞】“アイヌ文化”を知るための本から見えてくるもの

この1年間の売れた本&話題の本をプレイバック。文芸評論家・斎藤美奈子さんと本の最前線から世の中を考える! 今回は注目度が高まっている“アイヌ文化”を知るための本をピックアップ。
斎藤美奈子

斎藤美奈子

さいとう みなこ●’56年生まれ。’94年『妊娠小説』でデビュー。’02年『文章読本さん江』で小林秀雄賞を受賞。ほかの著書に『挑発する少女小説』『出世と恋愛』など。最新刊は『あなたの代わりに読みました』(朝日新聞出版)。

『ゴールデンカムイ』のヒットから、“アイヌ文化”を知るための本、続々。

明治末期の北海道を舞台にした人気漫画『ゴールデンカムイ』が’24年1月に映画化され、大ヒット。

「作品に色濃く反映されているのがアイヌ文化。それについての本もいろいろと出ています。『ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化』を書いたのは一連の“ゴールデンカムイもの”のアイヌ語とアイヌ文化の監修者。映画がちゃんとした取材のうえで成り立っていることがよくわかります。『アイヌもやもや』は私たちがわかっていなかったアイヌ問題を、漫画をからめて優しく解説した本。実はこれらの本の背景にあるのが’07年に国連で宣言された先住民の権利保障。日本でもアイヌへの理解を深めるべきという方針がとられたことで少しずつ社会が変わり、『ゴールデンカムイ』の誕生やアイヌ関連本の出版につながった気がします。まさに文化のうねりを感じますね」(斎藤さん)

『ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化』

『ゴールデンカムイ  絵から学ぶアイヌ文化』

中川 裕

集英社新書 ¥1,650

『アイヌもやもや』

『アイヌもやもや』

北原モコットゥナシ

田房永子/漫画

303BOOKS ¥1,760

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