【田中圭さんインタビュー<前編>】作品がおもしろくなれば、俳優・田中圭はどうでもいいかなって

男と女のごたごたを描くビターなコメディに出演
軽やかなストライプのジャケットを、フワリとほどよい抜け感ではおる田中圭さん。映像に舞台に引っぱりだこだ。それもそのはず、どんな役を演じてもその作品のもつ空気に田中さん自身を絶妙に溶け込ませてしまう。
「お芝居おもしろかったです、といってもらえるのが一番うれしい。極論すれば俳優・田中圭なんてどうでもいいとすら思っているんです。こういうお芝居にしたい、すごいシーンにしたいと、演じ方見せ方にこだわりをもっている俳優は少なくない。でも僕にはよくも悪くもそういうのはありません。それでもどうしたって、見た目、声、姿……自分が役のどこかには出てしまうものだと思います」と語る。
ふだんの私服はたいていスウェットだという。それも着心地がよければあとはこだわらない。そんなスタイルも、常にフットワーク軽く作品に向かい合おうとする姿勢に重なって見える。でも田中さんは苦笑いしながらこう加える。
「すごく個性の強い役でも、なぜだか作品になじんじゃうんです。身内にも“すごいよね。誰もがみんな役の個性をどうやって出そうか考えて芝居してるときに、役の個性消す俳優ってすごいよ”と。けっこう傷ついた記憶があります(笑)」
この5月、1年ぶりに舞台を踏む。上流階級や中産階級を背景に洒脱なコメディを描いてきたイギリスの劇作家ノエル・カワードの作品で、彼の喜劇の最高傑作とされる『陽気な幽霊』だ。
舞台は’40年代のイギリス。作家チャールズ・コンドマインは2度目に結婚した妻ルースと暮らしている。探偵小説の取材のために霊媒師を呼んで降霊会を催すが、なんと先妻のエルビラが姿を現してしまう。
「男女の駆け引きや欲望など、夫婦のごたごたをおもしろおかしく描いていますが、演出が熊林弘高さんなので絶対にそれだけじゃない何かを入れ込んでくださると思います」と目を輝かせる。
熊林演出の舞台にはこれまで何度も出演してきた。チェーホフの『かもめ』では、女優志望の若いニーナを翻弄する作家トリゴーリン役。奇しくも今回演じるチャールズも作家だ。
「作家といえば詩的なもののとらえ方をする人というイメージですが、それよりも『かもめ』のときの熊林さんの演出を思い出して寒気がしています(笑)。“ニーナの着ている物を一枚一枚脱がすような気持ちでこのセリフいってください”といわれ、“え、どういうことだろう!?”と思いました。『夜への長い旅路』(ユージン・オニール作)のときも、僕と(満島)真之介くんに、“ふたりで飲みにいってきてください”といわれ、冗談だと思ったらホントにいってこいという意味だったので、ホントにふたりで飲みにいきました(笑)。毎公演、最後まで頭抱えて悩むし、楽なんてさせてもらえないですが、熊林さんのオンリーワンの感覚、駆け抜けたあとの充実感、心地よさがたまらないんです」
さらに今回の座組には、若村麻由美をはじめキャリア豊富なキャストがそろった。
「先輩たちが多いのも楽しみです。皆さん肩の力が抜けていて、ちょうどいいタイミングで本気出してくるあの感じ。僕の場合、後輩が同じ座組にいるとどうしても“あ、今悩んでるな。これどう伝えようかな”とか、座長っぽいことをしなければと思ってしまいます。でも先輩ばかりだとそんな必要もなく、ひたすらお芝居に向かっていけそうです」とニヤリ。

(インタビュー後編へ続く)

舞台『陽気な幽霊』
初演は’41年、ロンドン。1997回ものロングランを記録し、ノエル・カワードの喜劇の最高傑作とされる。演出はシェイクスピアからミュージカルまで数々の話題作を手がける熊林弘高。出演は田中圭、若村麻由美、門脇麦ほか。
5/3~29、シアタークリエ
問☎0570・00・7777
※大阪、福岡公演あり

田中 圭
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