韓ドラ界は「笑って泣ける恋愛ドラマ」が超アツい!【見ればキレイになる⁉韓流ドラマナビvol.49】

エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。今回は、恋愛を描きながらも、上質な人間ドラマを映し出す話題の作品をお届け!

“恋愛こそ人生だ!”と叫びたくなる大傑作「おつかれさま」

「おつかれさま」のパク・ボゴムとIU
主演のパク・ボゴム(左)とIU(右)。Netflixシリーズ「おつかれさま」独占配信中
 昨年から今年にかけて、ラブものが大豊作です。サスペンスやファンタジー絡みの作品(「涙の女王」「ソンジェ背負って走れ」など)から、さらりと“ながら視聴”できちゃう超軽めのラブコメもザックザクなのですね(「愛は一本橋で」「損するのは嫌だから」「あいつは黒炎竜」「ジャガイモ研究所」「わたしの完璧な秘書」などなど)。恋愛ドラマこそライフワークと思っている身としては、たまらない至福であるわけですが、なかでも、これはヒューマンなのかロマンスなのか、というか、ロマンスこそ生きる力だ、いやいやロマンスこそ人生だ、いやいやいやいやロマンスこそ全宇宙だあと叫びたくなるほどの傑作も多々なのでございます。ということで、今回はそんなヒューマン寄りの笑って泣ける名作級ロマンス作品3作をぜひ、ご紹介したく。
「おつかれさま」のパク・ボゴムとIU
Netflixシリーズ「おつかれさま」独占配信中

名俳優×名脚本家×名演出家のタッグ!面白くならないわけがない

 そのイチオシ作品が今年の賞取り最有力候補でもある「おつかれさま」。すでに視聴されているかたも多いかとは思いますが、IUとパク・ボゴムのW主演に、「椿の花咲く頃」の作家イム・サンチュンの脚本、そして「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん~」の監督キム・ウォンソクの演出という、韓ドラファン垂涎の組み合わせは、それだけですでに名作の匂い。
 案の定、観始めてみれば最初の1話からもう、ずっと泣きっぱなし。しかも、涙だけじゃなく、終始ユーモラスな笑いにも包まれちゃうわけでして。 
「おつかれさま」のパク・ボゴムとIU
Netflixシリーズ「おつかれさま」独占配信中
 物語の舞台となるのは1960年代から現代に至るまでの済州島です。韓国が世界最貧国の一つと言われていた1950年代、その済州に生まれたエスン(IU、幼少期は子役が、中年以降はムン・ソリが演じる)とグァンシク(パク・ボゴム、幼少期は子役が、中年以降はパク・ヘジュンが演じる)が物語の主人公。彼らの山あり谷ありの人生を、ドラマは時代を行きつ戻りつしながらイキイキと鮮烈に綴っていくわけですが、監督のキム・ウォンソク曰く、「物語の本当の悪役は時代そのもの」だそうで、確かにエスンたちが生きてきたのは、現代の韓国では考えられないほどの貧困と、さまざまな差別などの理不尽に満ち満ちていた時代。身を粉にして働いても貧しき者たちは食べるものさえままならなかったし、家長制度が根強い風習の中で済州の女性たちは海女か“飯炊き女”になるしかなかったし、だから、ヒロインのエスンもまたそんな時代の悪風に真っ向からさらされていくわけなのですが。
「おつかれさま」のIU
Netflixシリーズ「おつかれさま」独占配信中
 幼い頃に父を亡くしたエスンは叔父が家長を務める亡き父の実家で暮らしています。実家を追い出された母(ヨム・ヘラン)は再婚して新しい夫(オ・ジョンセ)と2人の幼子(エスンとは父違いの弟妹)と暮らしているのですが、峠一つ越えた先にあるその母の住む家に、エスンは幼いながらも母恋しさで何度も何度も訪ねます。母は、ほぼほぼヒモ状態の夫と幼い2人の子を養うために体に無理を強いながら海女をしているのですが、潜っても潜っても暮らしは一向に楽にならず、それこそ貧乏のどん底。一方、実家でのエスンはといえば、おさんどんはさせられるわ、彼女一人だけおかずのイシモチを与えられないわと性悪叔父から除け者&コキ使われているのです。だから、本当は大好きな母と一緒に暮らしたいのですが、そんなエスンを母は実家に連れ返しちゃうのです。
「おつかれさま」のIU
Netflixシリーズ「おつかれさま」独占配信中
 聡明で詩をこよなく愛する文学少女で少々勝ち気なエスンに、母は自分と同じ貧乏な飯炊き女の人生ではなく、もっとエスンらしい人生を生きてほしいと願っているわけで、そのためには進学もさせたい、となると、どん底の貧乏な自分のところよりも、少しはお金のある実家の方がその可能性があると考えるからなのです。
 この母娘愛を綴るエピソードだけでも、もはや号泣シーン目白押しではあるのですが、そこに登場してくるのが、ボゴムの久しぶりの当たり役ともいわれる、エスンと同級生のグァンシクです。済州の小さな鮮魚店の跡取り息子のグァンシクは、勉強はさほどできないけれど朴訥で実直な心優しい少年。小さな頃からエスンに一途で、実家で除け者にされている彼女のためにお店の魚を毎日毎日届けながら黙々と見守り続けています。
「おつかれさま」のパク・ボゴム
Netflixシリーズ「おつかれさま」独占配信中
 そんななか、無理がたたってエスンの母が29歳という若さで病死。エスンは大学の費用を出すという条件で弟と妹の面倒を見ながら義父のもとで暮らすことになるのですが……。

みんながんばって生きている!全ての登場人物が尊くて泣ける

 ということで、ここから時は移り、IU&ボゴム演じる青春期のエスンとグァンシクの怒涛のロマンスへと移るわけですが、キャベツ売りの場面から始まって、菜の花畑、釜山への逃避行、雨と涙の連絡船と、胸焦がすシーンがそりゃあもう次から次へと。IUの可愛さ+絶妙のコメディセンスとボゴムの不器用だけど誠実なキャラの掛け合わせが絶品で、特に「恋のスケッチ〜応答せよ1988~」でボゴムペン(=ファン)になったかたなら何度も悶絶せずにはいられないはず。
「おつかれさま」のパク・ボゴムとIU
Netflixシリーズ「おつかれさま」独占配信中
 そうして、さまざまな騒動を起こしながら二人はドラマチックに結ばれます。とはいえ、そんなハッピーエンドだけで終わらないのが人生。子を授かり、出産し、そこでもさまざまな狂おしいほどの嵐が吹き荒れて、やがてエスンとグァンシクにもシワやシミが刻まれていき、その分成長した子供たちは、自分たちと同じように恋に落ち、新たな愛がまた生まれ、育まれ、そして、繰り返されていくという具合。本当に人生は“おつかれさま”……というか。
「おつかれさま」のパク・ボゴムとIU
Netflixシリーズ「おつかれさま」独占配信中
 中年以降のエスンとグァンシクはムン・ソリとパク・へジュンにスイッチされ、IUは二人の長女クムミョンとして登場します。そんなドラマ後半は、親と子のそれぞれの愛と想いが描かれていくわけですが、こちらももちろん涙、涙の連続。思い返してもいろんな名シーンが胸に浮かぶのですが、なかでも父グァンシクと大学生の娘クムミョンのバス停のシーン。未視聴のかたはティッシュ一箱、用意しておいたほうがいいかもしれません。20年ずっと娘に片想いしている無骨な父の不器用だけど大きな愛と、親についキツイ態度をとってしまう都会に暮らす娘の素直になれない愛と。
「おつかれさま」のムン・ソリ
エスンの大人時代を演じるムン・ソリ。Netflixシリーズ「おつかれさま」独占配信中
 サクセスストーリーでも、ありきたりのハッピーエンドでもないエスンとグァンシクの物語は、ひょっとしたら、そのまま私たちの人生そのものなのかもしれません。人が人に恋をして、結ばれて、そして、ずっと互いを大切に思い続ける。夫が妻を、妻が夫を、親が子を、子が親を思い合う愛情の深さは、ただそれがあるだけで、どんなに辛い出来事が起きたとしても再び前を向いて歩いていくこともできるし、紆余曲折ばかりのちっぽけな人生だって幸せに満ちていくのだなあと、ひしひし。エスンとグァンシクはもちろんだけど、彼らの親も子供も、近所のおばちゃんも、敵役の奴らでさえ、なんか全ての登場人物に泣けるというか、みんなそれなりに頑張って人生を生きていて、だから、存在しているだけでそりゃあそりゃあ尊いのです。みんなボロボロで顔なんか真っ黒けっけなんだけど、もうまばゆいほどにキラッキラ。
「おつかれさま」のパク・ボゴム
Netflixシリーズ「おつかれさま」独占配信中
 もうすぐゴールデンウィーク突入ですが、未視聴のかたはこの機会に、ぜひ、ながら観でなく没入しながら一気観してほしい。すでに観たかたも、改めてじっくり2周目してみるというのもおすすめ。新たな感動をさらにいっぱい発見できるはずですから。愛あふれるヒューマンロマンスはやっぱり見応えが半端ありません。
■Netflixシリーズ「おつかれさま」独占配信中

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「恋するムービー」

「恋するムービー」のパク・ボヨンとチェ・ウシク
主演のパク・ボヨン(左)とチェ・ウシク(右)。Netflixシリーズ「恋するムービー」独占配信中
 どこかいたいけなチェ・ウシクとキュートな演技派パク・ボヨンに、「その年、私たちは」の脚本家、というこちらもロマンスもの鉄板の組み合わせ。面白くならないはずがありません。一応、ラブコメジャンルに入りそうではありますが、見進めるほどにこれがやっぱり一捻りもふた捻りもあるわけなのですね。韓国の原題は「メロムービー」。メロは韓国では恋愛を意味するのですが、つまりは「恋愛映画」というタイトル。映画ではその草創期からそれはそれはいくつものロマンスが描かれているわけですが、でも、人はなぜ、それほどまでにロマンスを求めるのか……。
 というわけで、まずはウシク演じるロマンスの主人公コ・ギョムから。小さい時から映画を見るのが大好きで「世界中の映画を見ることが夢」という純正の映画オタク。幼い頃に両親を亡くし、11歳離れた兄コ・ジュン(キム・ジェウク)と二人で暮らしていて、大人になった今も、兄と一緒に映画のビデオを観る時間を何よりも大切にしているのです。これほど好きな映画なら、いっそ映画の中に入っちゃえ〜とばかりに成人したギョムは、俳優を目指すのですね。ところが、その才能は全くなし。なのに、飄々と人の懐にスッと入っちゃう人たらしなところがありまして、オーディションでは落ちたはずの映画の現場にちゃっかりエキストラとして入りこんじゃっていたりするのです。
「恋するムービー」のチェ・ウシク
Netflixシリーズ「恋するムービー」独占配信中
 でもって、その現場で働いているのがパク・ボヨン演じるヒロインのキム・ムビ。いつも自分を置き去りにして現場に向かう今は亡き助監督の父がつけた“映画”という名に、複雑な思いを抱いているムビ。父が自分のことよりも愛した映画の世界に拒否感を抱きながらも、成人した今、父と同じ助監督として働いているという具合です。
 映画をこよなく愛するギョムは、ムビという名前を聞いたと同時にムビに一目惚れするように惹かれていくわけですが、父のこともあって人の愛を信じられないムビは、なんやかんやと自分に親切にしてくるギョムを、いたってクールに突き放しちゃうのです。でも、実はムビ、捨てられた子犬をそのままにしておけないなど、かわいそうなものについ手を差し伸べちゃうところが根にあり、拒否しながらも、いたいけなギョムが気になって仕方ない。で、次第に惹かれていきます。ついに結ばれるか……、と思ったその矢先、ギョムが突然姿を消してしまうのです。そして、その5年後、映画監督となったムビの前に映画評論家となったギョムが現れて……という展開。
「恋するムービー」のパク・ボヨン
Netflixシリーズ「恋するムービー」独占配信中
 なぜ、ギョムは姿を消したのか。人の愛を信じられないと話すムビが撮るのはいつだって恋愛映画なのだけど、それはなぜなのか。ドラマは、二人の深層心理を探りながら、その心の奥の喪失感を浮かび上がらせていきます。ということで、恋愛っていいなあと改めてしみじみ涙するといいましょうか。
 キム・ジェウクの隠しきれない色気があふれちゃう、ギョムの兄の存在感が心に残るし、イ・ジュニョン(「おつかれさま」にも登場)とチョン・ソニ(「寄生獣-ザ・グレイ-」など)のサブのラブラインストーリーにも泣かされます。
■Netflixシリーズ「恋するムービー」独占配信中

「星がウワサするから」

「星がウワサするから」のイ・ミンホとコン・ヒョジン
主演のイ・ミンホ(左)とコン・ヒョジン(右)。Netflixシリーズ「星がウワサするから」独占配信中
 実を申しますとこのドラマ、私の周囲ではあまりいい評判を聞かず、「え〜、私的にはめちゃ好きなんですけどぉ」というと、「山崎さんは韓ドラに超甘口だから」とまでいわれる始末。確かに本国韓国でも視聴率振るわず、日本をはじめ、世界のどこでも話題にならなかったのは事実であります。私の感覚がまずいのか、何かを見誤っているのか。主演のイ・ミンホとコン・ヒョジンのロマンスケミ(相性)の問題か。宇宙を舞台にしている点がまずかったのか(これまでも韓国のSFものは大概コケている)。もちろん、ついオイオイと声が出ちゃうようなツッコミどころはいろいろ満載ではありますが、宇宙×生命の誕生という壮大かつ神秘なロマンを、庶民的なお手軽タッチで描いているそのバランスが私的にはかなり新鮮というか、これまでなかったタイプのファンタジーだなあと酔いしれちゃうのでございますが。
「星がウワサするから」のイ・ミンホ
Netflixシリーズ「星がウワサするから」独占配信中
 ということで物語なのですが、イ・ミンホ演じる産婦人科医のコン・リョンが、宇宙旅行の客として宇宙ステーションへ向かうところから展開します。実はこの旅行、財閥MZグループ会長による密命があり、それは、会長の亡くなった息子の精子と、その妻の卵子を人工授精させること。もちろん、宇宙空間での人間の人工受精は研究対象としても禁止されており、バレたら医師免許剥奪はもとより、逮捕されかねないというバリバリの違法行為。それでも、息子の精子は無重力でしか受精できないらしく、会長はこのために旅行費用として700億ウォン支払い、秘密裏のうちに受精が成功した暁には、リョンと会長の娘の結婚を許すことにするという一世一代の大博打を打ったわけです。
 一方、リョンの世話をするハメになった宇宙飛行の探査団リーダーのイブ・キム(コン・ヒョジン)は、真面目な完璧主義者。大金を支払って能天気に宇宙旅行するリョンを当然快く思わないわけです。なのですが、ハエやマウスの生殖を宇宙ステーションで見守る研究者でもあるイブは、命の大切さが第一と考える女性で、その点が、実は産婦人科医のリョンと通じるところもあり、そんな二人が互いに惹かれ合うようになり……というのが物語の流れ。はたして、リョンは密命を成功させることができるのか。イブとリョンのロマンスはどうなるのか。
「星がウワサするから」のコン・ヒョジン
Netflixシリーズ「星がウワサするから」独占配信中
 法律も倫理もなんのその、命を救うためならば、それがどんな小さな命であろうとも自分の危険も顧みずまっしぐら。実はバカがつくほど純粋一直線なリョンのキャラクターとイ・ミンホの相性が意外にもピッタリだったし、コン・ヒョジンは相変わらず泣かせてくれるし、何よりも製作費500億ウォンという作品の舞台となる宇宙ステーションの無重力撮影が素晴らしく、それだけでも見応えたっぷり。ステーションから地球に帰還した飛行士たちの“無重力から帰ってくるとこうなるんだ”的演技もめちゃ笑えます。ある意味奇想天外というか、え?こんな顚末あり?的なストーリーではありますが、私的には、ある意味無謀なその顚末に生命というものへの壮大なロマンを感じちゃうわけなのですが。韓国でも世界でもあまり話題にならなかった作品ではありますが、ぜひ、勇気を持って観ていただきたい。そして、私と同じように「なかなか面白かったよ」というかたは、ご一報いただければと存じる次第。
■ Netflixシリーズ「星がウワサするから」独占配信中
山崎敦子

山崎敦子

旅行記事に人物インタビュー、ドラマ紹介、実用記事から、着物ライターとさまざまな分野を渡り歩き、今では美容の記事を書くことも多くなったさすらいのライター。襲いかかるエイジングと闘いながら、ウキウキすること、楽しいことを追い求め続ける日々を送る。今年に入って、インスタ(@harurikuumi)も始動。ドラマシーンのイラスト&勝手な解説を挙げてます。
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