熱海の「南蛮」は、目でいただきます。

2018年10月16日

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熱海のMOA美術館の特別展。天正遣欧少年使節の足跡をたどった杉本博司さんの新作、信長ゆかりの品々とともに、かなりの数の南蛮美術が集まっていて魅力的です。

そば・うどんにおける「南蛮」はネギ一択ですが、「南蛮美術」は、西ヨーロッパ(および航路途中のアジアも含む)の影響を受けた桃山時代の絵画から工芸品まで、多岐にわたっています。

3枚目は、西洋画の技法を学んだ日本人画家による屏風絵です。岩絵の具ながらピンクと水色を多用しているため、夢見心地な雰囲気が漂っています。

陰影や遠近表現など、部分的に見ればよく描けているものの、4枚目では羊のサイズ感が明らかにおかしい。左隻はこのチビ羊があちこちうごめいているせいで、右隻ほど成功していません。
インスタグラムでは「そこがチャーミングでいいんじゃない♡」で済ませましたが、なぜこんな誤解をしたか推理するのも楽しいものです。

おそらくこの画家が最初に羊を知ったのは、キリスト教の図像「神の子羊」を通してだったのでしょう。聖母子像などで、赤ちゃんキリストがじゃれついたりする受難の象徴のアレです。その大きさで「羊」を頭にインプットしてしまった画家は、その後、別のソースから「成羊」「羊は群れる」といったイメージを獲得するものの、結局、サイズ感については更新されないままだったのではないでしょうか。

また、もうひとつ謎なのが、6枚目の螺鈿の塗箱。蓋表の中央には花唐草を配し、その周囲を七曜文、さらに卍と花クルスで囲むという風変わりな文様構成です。「南蛮漆器」というと、平蒔絵と螺鈿を組み合わせて文様を入れ、形も西洋人の発注に合わせて作る輸出仕様のものが一般的。7枚目の「宝箱」形は、その典型です。しかし6枚目の作品は、モチーフには南蛮文化の影響がありつつも、軽快な螺鈿は何とも朝鮮風。これが日本で作られたものだとすると、実に国際色豊かな作品ということになります(こちらはたぶん国内向け)。

他にも、『聖フランシスコ・ザビエル像』をはじめとする日本人画家の宗教画、近代まで残った舶来の銅版画などなど、豪壮な金碧障壁画だけはでない「桃山文化」を知ることのできる絶好の機会となっています。会期は思いのほか短く、11/5まで。ぜひ相模灘の眺めが爽快な晴れの日を見つけて、お出かけください。
(編集B)

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