キャンティ・クラシコとは、イタリア・トスカーナ地方で造られるサンジョヴェーゼ種主体の赤ワインのこと。なかでもワイナリーがあるガイオーレ・イン・キアンティは、2400年前からブドウ栽培がなされていた“キャンティの魂”ともいえる歴史的な土地。オーナーのエマヌエラ・ストゥッキ・プリネッティさんは、ブドウの質の向上に努めたり、女性初のキャンティ・クラシコ協会会長に就任するなど、懸命に仕事に取り組んできた。「古きよき時代の“本物のキャンティ”を伝えたい」という強い思いからだった。
実は彼女は、かのメディチ家の末裔(まつえい)でもある。今でこそワイン業界で活躍する女性は多いが、仕事を始めたのは、まだ女性への偏見もあった時代。「雑用からのスタートよ」と、“お姫さま”は柔らかな笑顔を見せる。
このワインなら、イタリアンのほか、すき焼きなどの和食にもよく合う。優雅さの奥にある親しみやすさが最大の魅力だ。造り手を映したような深みのあるワインを手にすると、自然に背すじがのびるから不思議だ。