ヴーヴ・クリコの最高級ライン「ラ・グランダム 2008」が登場。その優雅さに酔いしれたい!【飲むんだったら、イケてるワイン/特別編】

ドミニク・ドゥマルヴィル氏にインタビュー

新しくリリースされた「ヴーヴ・クリコ」の最高級ライン「ラ・グランダム」は、個性的な魅力に満ちている。唯一無二のその魅力を最高醸造責任者が語ってくれた。
ヴーヴ・クリコの最高級ライン「ラ・グランダム 2008」が登場。その優雅さに酔いしれたい!【飲むんだったら、イケてるワイン/特別編】_1_1
ランスにあるメゾン。中は“クリコ・イエロー”に彩られ、とても華やか。一般のビジットも可能。
 華やかさで多くの女性を魅了する「ヴーヴ・クリコ」から、今年4月、同社の最高峰キュヴェ「ラ・グランダム 2008」、「ラ・グランダム ロゼ 2008」が登場、早くもシャンパーニュファンをざわめかせている。

 シームレスな口当たりとフレッシュでフルーティーな味わい。10年の熟成を経ても失われない若々しさに、ワインのプロフェッショナルも「これは、これから20年熟成可能なワイン」と太鼓判を押すほど見事な仕上り。
ヴーヴ・クリコの最高級ライン「ラ・グランダム 2008」が登場。その優雅さに酔いしれたい!【飲むんだったら、イケてるワイン/特別編】_1_2
ドミニク・ドゥマルヴィル氏。「ヴーヴ・クリコ」最高醸造責任者。大手シャンパーニュメゾンを経て、2006年ヴーヴ・クリコ入社。前最高醸造責任者の後継者指名を受け、2009年に10代目の最高醸造責任者に就任。大の親日家で、いつか妻とふたりで日本国中を旅するのが夢。毎年来日しているが、桜の季節は今回が初めて。「京都の美しい桜に感動しました」。
 その理由は、なんといってもヴィンテージの素晴らしさにあると、最高醸造責任者のドミニク・ドゥマルヴィル氏は語る。

「2008年はピノ・ノワールにとって今世紀最良と言ってもよい年でした。『ヴーヴ・クリコ』ではふくよかで華やかなピノ・ノワールを主要品種としていますが、2008年にはその美しさが最大限に表現されていました」。

 ドゥマルヴィル氏はこの個性を生かしたいと思い、ピノ・ノワール比率を92パーセントまで上げた。これによってコクや深みも増したという。

「でも、ブラン・ド・ノワール(黒ブドウのみのシャンパーニュ)をつくろうとは思いません。8パーセントのシャルドネできらめくような酸味を加味し、ピノ・ノワールのふくよかさを引き立てたいと思っています」。
ヴーヴ・クリコの最高級ライン「ラ・グランダム 2008」が登場。その優雅さに酔いしれたい!【飲むんだったら、イケてるワイン/特別編】_1_3
ブージー村にある「クロ・コラン」の畑。ここは、マダム・クリコのお気に入りの場所だった。「ここでいつもマダム・クリコと心の中で会話をします」とドゥマルヴィル氏。
「ラ・グランダム」とは“偉大なる女性”の意。1772年に創業したクリコ社の2代目フランソワ・クリコの妻で、夫亡き後メゾンを大きく発展させたバルブ・ニコル・ポンサルダン(マダム・クリコ)へのオマージュとして1962年に誕生したものだった。

 マダム・クリコは18世紀半ば、まだ女性がビジネスに携わるなど考えられなかった時代に、「品質はただひとつ、最高級だけ」という信念を掲げてメゾンを統率、ナポレオンが発したヨーロッパ大陸経済封鎖の下、自社のシャンパーニュをロシアに売り込み、メゾンを大きく発展させた。当時の桂冠詩人プーシキンや文豪トルストイも“クリコ社のシャンパーニュ”を飲んだことが記録に残っている。

 また、彼女がシャンパーニュづくりそのものに与えた影響も大きい。瓶口に澱を集める動瓶作業“ルミュアージュ”の発明や、ブレンドスタイルのロゼにいち早く着手するなど、革新の気概をもっていた。一方で、退職者のための“リタイアハウス”を用意するなど、愛情に満ちた人柄でスタッフからも慕われていた。ドゥマルヴィル氏によれば、“ラ・グランダム”とは、当時の従業員たちがマダム・クリコにつけた愛称であったという。

 類まれなる美しさを備えたシャンパーニュは、大切な人と大切な日に開けたい。白い花束のようなフローラルな香りが、幸福な時間を彩ってくれるはずだ。
ヴーヴ・クリコの最高級ライン「ラ・グランダム 2008」が登場。その優雅さに酔いしれたい!【飲むんだったら、イケてるワイン/特別編】_1_4-1

1/2

ヴーヴ・クリコの最高級ライン「ラ・グランダム 2008」が登場。その優雅さに酔いしれたい!【飲むんだったら、イケてるワイン/特別編】_1_4-2

2/2

「ラ・グランダム 2008」750ml ¥19,400(税別)
ピノ・ノワール92%、シャルドネ8%。洋梨やイチジク、アーモンドの香り。繊細な酸味となめらかなテクスチャー。初ヴィンテージは1962年で、72年に初リリースされた。ブドウの作柄が極めてよい年にしかつくられず、今回で16回目のエディション。「『ラ・グランダム』はシルキーさとフレッシュさを大切にしています」とドゥマルヴィル氏。7月以降順次発売。

「ラ・グランダム ロゼ 2008」750ml ¥38,400(税別)
「ラ・グランダム 2008」をベースにブージー村のピノ・ノワールからつくった赤ワインを14%ブレンド。チェリーやラズベリーの香りとスパイスのニュアンス。ピンクゴールドのローブも美しい。ブージー村にはマダム・クリコ別邸があり、彼女はこの村をこよなく愛したという。白もロゼもブドウはすべてグラン・クリュ(特級畑)のもの。8月以降順次発売。

Follow Us

What's New

  • 気取らぬもてなしににじむ、能登への深い愛『能登イタリアンと発酵食の宿 ふらっと』【「金沢・能登」 心ほどく大人旅】

    『ふらっと』は能登イタリアンと発酵食の宿。オーストラリア人シェフのベンジャミン・フラットさんと、生粋の能登人、船下智香子さん夫妻が営む。宿特製のイカの魚醤「いしり」によって、唯一無二の奥深い味わいのひと皿に。アジや米などの発酵食「ひねずし」や「巻ぶり」ほか、絶滅の危機にある郷土食を上品に提供することで伝えている。また夫妻は震災で倒壊や解体した家屋から、手放さざるを得ない「輪島塗」を引き受けつなぐ活動も。ここにくれば、古きよき能登のくつろぎを味わえる。

    旅行&グルメ

    2025年12月18日

  • 自然美をひたすら一枚の和紙に映し出して『能登仁行和紙』【「金沢・能登」 心ほどく大人旅】

    ジル サンダーのアートブックの装丁にも使われた『能登仁行(にぎょう)和紙』。戦後まもなく、初代が自然をそのまま紙に漉(す)く手法を考案。三代目の遠見和之さんは代々の美学を忘れず、山間の工房で黙々と製作に勤しむ。その姿は職人そのもの。「美しいかどうかがすべて」と、一枚の和紙に自然が息づく能登を描き出す。

    旅行&グルメ

    2025年12月18日

  • “能登饗藝料理”でこの地の食文化を未来へ『 ヴィラ デラ パーチェ』【「金沢・能登」 心ほどく大人旅】

    西七尾湾に位置するオーベルジュ『 ヴィラ デラ パーチェ』。窓越しに広がる穏やかな情景が、心ほどく最初のひと皿だ。イタリア料理出身の平田明珠シェフは震災を機に能登への思いを深化し、食文化を紐解き、郷土料理を現代流に解釈した“能登饗藝(きょうげい)料理”を提供している。例えば能登野菜、沢野ごぼうの伝統料理「七日炊き」や、冬には能登の七面鳥も食材に。わざわざ訪れる意味がある、能登を未来へとつなぐ料理だ。

    旅行&グルメ

    2025年12月18日

  • 心整う能登島。有永浩太のガラスが生まれるのびやかな地【「金沢・能登」 心ほどく大人旅】

    わずかに色の気配を感じる有永浩太さんのガラス。作品は能登島にある自身の工房『kota glass』で製作されている。取材時はボウル作りの真っ最中。淡々と、しかもまたたく間に。毎日10〜18時に集中。移住は現実的な理由だったが、火を扱い、同型を複数作る仕事には向いていた。意外に東京への移動も楽で、アートからソラキのダンスまでインプットにも事欠かない。「ルーツを知り、今を確かめる。自分の仕事を客観的に見ています」。雑念とは無縁の地で、感性を研ぎすませる。

    旅行&グルメ

    2025年12月18日

  • 『海辺の食堂 杣径』でのモダンな食体験【「金沢・能登」心ほどく大人旅】

    塗師の赤木明登さんの漆器で、北崎裕さんの日本料理を提供する『海辺の食堂 杣径(そまみち)』。輪島の山中にオーベルジュを開いて程(ほど)なく被災。海沿いの輪島・門前に移転し、ランチをメインに営業する。この地の野菜をかつお節は使わず、昆布や干し椎茸などで炊き上げる。まさに土地をそのまま味わう料理だ。ともすれば地味に映る料理が、端正な赤木さんの漆器と出会い、美意識が響き合う食体験に。店近くで美しい夕景を見ることも。

    旅行&グルメ

    2025年12月18日

Feature
Ranking
Follow Us