なんと見事な定家の書。

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百人一首の選者として知られる、藤原定家。これまでにも小倉色紙などは目にしていたはずですが、このたび初めてその手蹟にときめきました。しかも2mくらい手前から。東京国立博物館で開催中の、『美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―』でのことです。

作品は、宮内庁三の丸尚蔵館蔵の『更級日記』。シャープで洗練されたかな書とはまるで違うタイプの文字が、びっしり。濃墨の太めの線がところどころ主張し、やや平体ががったところも。そして、なんと連綿ではない。ほぼ正方形の冊子の形とあいまって、この見開き全体が一種の「デザイン」として目に飛び込んできました。

病弱だった人物の老境の書なので、単純に「晩年の境地」と言えるのかどうかわかりませんが、なんとも無骨な味わいが魅力的。実に手慣れたもので、現代のポップな和文フォントのご先祖なのではと感じました。奥書によると、人に貸した定家蔵書の『更級日記』が失われたため、それを別の人が過去に写した本をもとにして、自ら書写し直したのがこちらの作品なのだそう。

失われた経緯は不明ながら、もしもそれが意図的な「借りパク」だったとしたら、日本のどこかにまだ原本が眠っていたりするのかな…と妙な欲を抱いて2階の会場へ上がりますと、久隅守景、池大雅、与謝蕪村たちの描く、ほんわかとした世界に浄められます。大雅の『前後赤壁図屏風』の左隻で、鶴に乗って飛ぶ仙人のようになれたらいいのに。

展覧会は、6/2までの開催ですのでお早めにどうぞ。
(編集B)

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